古川節子
チェンマイで季語を体験したいと思っています。なるべく毎日投稿を目指しています。
古川のエッセイをまとめました。
渋滞のスクンウィットで年季の入ったタクシーを拾った。瀬戸さんに教えてもらった通りの名前と番地を伝えると、運転手は軽くうなずいた。 なにしろバンコクの土地勘は…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月21日 ワイパーに潰れる羽虫慈雨あがる 正式な発表はまだだが、このところ毎日のように夕方に雨が降り、いよいよ雨季に入った感じがする…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月20日 捕虫網の旗高々に二人乗り 捕虫網ゆく農学部試験場 近所にある農学部のキャンバスにはいろいろな試験場があり、かなり広い。時々…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月19日 夏暁や月橘の香の白白と 早朝、庭に出ると花の香りがする。庭のドークゲーオ(和名:月橘 ゲッキツ)の花かと思ったが、もっと濃厚…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月18日 莢付きの焼きそら豆のきうと鳴く 昨日はzoom句会だった。約10名のメンバーがいるチェンマイ句会は、日本、チェンマイ、アメリカと…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月17日 病廊のジャカードカーテン襞涼し 入院中の写真家の先生が病院内で撮影したカーテンの襞の写真を見せてくださった。治療の副作用が…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月16日 夕虹やオーロラグラスの曲線に 尊敬する先輩のお宅にくちなしの小さな花束を持っていくと、これに挿せばいいかなとオーロラガラス…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月15日 喜雨そそぐ鳳凰木の緋の枝垂れ 鳳凰木咲くや夏空焦がすごと チェンマイは鳳凰木の花が満開の季節を迎えている。 ホウオウボク…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月14日 畦を焼く翁に在りし異国の日 周囲の田んぼがどんどん減っていく。北部タイでも農業に従事する若者が減っていて、農地を手放す農家…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月13日 巣立つ日を巣ごと狩られぬ仏桑花 タイ北部語でピッチャリウ(和名コウラウン)という野鳥がいる。タキシードのような黒い背にぴん…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月12日 あこがれてふ言葉まぶしき夕立晴 昨日は雨に降られて足元はびしょ濡れ。合羽で死守したはずの鞄は、少しだけ雨が染みこんでいて、…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月11日 手遅れの路肩に広ぐ夏合羽 デラウェアほどの日照雨に打たす顔 きつぱりと煙害去りて夏の空 スーパーのレジに並んでいると、入口…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月10日 蟻地獄天国空き家の軒しずか 帰国中はたくさん散歩をした。車の多い大通りよりも小さな道を選んで歩いたが、ずいぶん空き家が多い…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月9日 ほほ骨を高くほほえむ青林檎 頂きものの青林檎がふたつ。色といい、形といい、あんまりきれいなので冷蔵庫に入れずにテーブルに置い…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月8日 制服の素足の指に珊瑚片 去年の日記を見たら、ちょうど5月8日はプーケットでの取材が終わった日とあった。取材の準備が大変だった…
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月7日 すずしさや主なき椅子そのままに 帰国中、チェンマイの友人から、父親が亡くなったという連絡があった。 お葬式には間に合わなかっ…
2023年3月24日 19:13
渋滞のスクンウィットで年季の入ったタクシーを拾った。瀬戸さんに教えてもらった通りの名前と番地を伝えると、運転手は軽くうなずいた。 なにしろバンコクの土地勘はほとんどゼロなので、渋滞もあるし遅れないようにと早く出てきてしまったら、約束の時間より40分も前に着いてしまった。 空を見上げると薄っすらと青空が見えていて、PM2.5でこのごろは世界最悪の空気汚染を誇るチェンマイより、ずっと澄んでい
2024年5月21日 21:54
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月21日ワイパーに潰れる羽虫慈雨あがる正式な発表はまだだが、このところ毎日のように夕方に雨が降り、いよいよ雨季に入った感じがする。空気も綺麗だ。雨季に入ると、待ってましたとばかりに現れるのが、羽虫だ。タイ語ではマレンマオという。シロアリの一種で、乾期が終わる頃の雨あがりの夜に一斉に羽化し、明かりを目指して地面から飛び立つ。その数はおびただしく、外灯には羽
2024年5月20日 22:04
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月20日捕虫網の旗高々に二人乗り捕虫網ゆく農学部試験場近所にある農学部のキャンバスにはいろいろな試験場があり、かなり広い。時々、ウォーキングに出かけると、捕虫網を持った農学部の学生さんたちが試験場の田んぼの畔をうろうろしていることがある。きっと遊んでいるのではなくて、害虫かなにかの調査なのだろう。日が暮れる頃には、バイクで2人乗り、時には3人乗りで、
2024年5月19日 21:44
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月19日夏暁や月橘の香の白白と早朝、庭に出ると花の香りがする。庭のドークゲーオ(和名:月橘 ゲッキツ)の花かと思ったが、もっと濃厚で清々しい。蜂の羽音がする方を見ると、隣の家の庭の植木が白い花をいっぱいに咲かせている。あんまりきれいなので写真を撮って隣人に送ったら、ドークゲーオ・ヒマーライ(和名:ナガミゲッキツ) という植物で、一般的なドークゲーオより
2024年5月18日 23:29
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月18日莢付きの焼きそら豆のきうと鳴く昨日はzoom句会だった。約10名のメンバーがいるチェンマイ句会は、日本、チェンマイ、アメリカと住む場所がばらばらなので、対面での句会はできないが、最初にオンラインによる句会「 夏雲システム」で7句提出&選句をして、後日行われるzoom句会で、お互いに質問や意見交換をしている。zoom句会は、進行役の先輩がとても上手
2024年5月17日 18:37
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月17日病廊のジャカードカーテン襞涼し入院中の写真家の先生が病院内で撮影したカーテンの襞の写真を見せてくださった。治療の副作用が出て辛い状態にも関わらず、目の前の世界から美を見出すことを諦めない姿勢に、強く心を打たれた。✍️昨日、noteユーザーのフォロワー数の多い方からフォローしていただき、フォローをお返したら、その後どんどんフォローする方が続い
2024年5月16日 19:12
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月16日夕虹やオーロラグラスの曲線に尊敬する先輩のお宅にくちなしの小さな花束を持っていくと、これに挿せばいいかなとオーロラガラスのまるい花器を出してきてくれた。表面が波打ったデザインで、光の加減でカーブに虹みたいなマーブル模様が浮かぶ。まるで大きなしゃぼん玉が消えずにいつまでも手のなかにあるような、楽しさと儚さが混在する素敵な花器だ。その花器が先輩
2024年5月15日 22:32
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月15日 喜雨そそぐ鳳凰木の緋の枝垂れ 鳳凰木咲くや夏空焦がすごと チェンマイは鳳凰木の花が満開の季節を迎えている。ホウオウボク(鳳凰木、学名:Delonix regia)は、マダガスカル原産でマメ科ホウオウボク属の熱帯性落葉高木。よく間違えられる火焔樹と同様、熱帯三大花樹のひとつで、見上げるような大木に育ち大きな木陰を作るため、街路樹や公園、校庭な
2024年5月15日 00:12
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月14日畦を焼く翁に在りし異国の日周囲の田んぼがどんどん減っていく。北部タイでも農業に従事する若者が減っていて、農地を手放す農家が増えている。隣国からの労働力が大きな頼りという現状だ。かろうじて残っている近所の小さな田んぼは、ささやかな私の心のオアシスになっていて、遠回りになってもこの田んぼの脇を通り、景色に癒やされてから町に出る。そのオアシスの片
2024年5月13日 21:47
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月13日巣立つ日を巣ごと狩られぬ仏桑花タイ北部語でピッチャリウ(和名コウラウン)という野鳥がいる。タキシードのような黒い背にぴんと立つトサカ、赤い頬が特徴。なんともいえない良い声で鳴く。今、この鳥の繁殖期だ。比較的人の気配のする場所を好むようで、我が家の庭のハイビスカスの茂みにも毎年ピッチャリウが巣を作る。私はこのかわいい野鳥の巣に、あまり注意を向け
2024年5月12日 18:48
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月12日あこがれてふ言葉まぶしき夕立晴昨日は雨に降られて足元はびしょ濡れ。合羽で死守したはずの鞄は、少しだけ雨が染みこんでいて、買ったばかりの分厚いノートが波打っていた(涙)。最近何かで「憧れの人」を心に持つことが大切だと読んで、単純な私はそうだな、憧れる人って誰だろうと自問してみた。すると、すぐに答えが出ない。あれ? 以前の私なら考えなくても良かっ
2024年5月11日 22:10
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月11日手遅れの路肩に広ぐ夏合羽デラウェアほどの日照雨に打たす顔きつぱりと煙害去りて夏の空スーパーのレジに並んでいると、入口から猛烈な風が吹き込んできた。これは雨が降りますね、とレジ係の女性が言う。待ちに待った雨だが、濡れるのは嫌だ。風で飛ばないよう、バイクのカゴにトイレットペーパー12巻入りの大袋をしっかりくくりつけた。どうか袋に穴が空いていませ
2024年5月11日 00:14
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月10日 蟻地獄天国空き家の軒しずか帰国中はたくさん散歩をした。車の多い大通りよりも小さな道を選んで歩いたが、ずいぶん空き家が多いなあと感じた。とあるお宅の庭には檸檬の木がたわわに実を付けたまま、今年の花を咲かせていた。誰も住まない民家の軒下は蟻地獄が巣を作り放題かもしれない。タイにも蟻地獄がいる。まだ地獄の主の姿は見たことがないが。
2024年5月9日 22:53
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月9日ほほ骨を高くほほえむ青林檎頂きものの青林檎がふたつ。色といい、形といい、あんまりきれいなので冷蔵庫に入れずにテーブルに置いて眺めている。南国タイでは林檎はなかなか育たず、市場やスーパーで売られている林檎のほとんどが輸入品だ。中国産だとそれほど高くないが、味はなんだかぼんやりしている。数年前のコロナのお正月、日本に帰れない反動なのか、おいしい日本の
2024年5月8日 22:26
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月8日制服の素足の指に珊瑚片去年の日記を見たら、ちょうど5月8日はプーケットでの取材が終わった日とあった。取材の準備が大変だった分、無事に全て終えることができてほっとしたのをよく覚えている。プーケットでは大自然と優しい人たちにたくさん出会った。チームの人たちと別れ、夕暮れ時にひとりでホテル近くのきれいな砂浜へ行った。海が少しずつ暗くなるのをひたすらぼーっと
2024年5月7日 22:55
【チェンマイ俳句毎日】2024年5月7日すずしさや主なき椅子そのままに帰国中、チェンマイの友人から、父親が亡くなったという連絡があった。お葬式には間に合わなかった。チェンマイに戻って友人に会いに行ったものの、どんな言葉をかけたらいいか戸惑っている私を、友人は逆に気遣ってくれ、穏やかだったというお父さんの最後の様子を話してくれたり、世間話をしたりして過ごした。友人の家族はとても仲が良く