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雑記やエッセイ

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日々暮らしの中で感じたことを書いています。完全に個人的な日記だったりメモだったり。個人の感想に近いです。
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#読書

小説「あのこは貴族」 居心地の悪さこそ自由の証なのかもしれない

小説「あのこは貴族」 居心地の悪さこそ自由の証なのかもしれない

私は都内にある某私立女子大に進学し、それから10数年後、紆余曲折あって今は生まれ育った地方都市に暮らしている。

当時私の通っていた女子大は、東京生まれ東京育ちのお嬢様から、私のような地方出身者まで幅広い女子が通っていた。

だが、たまたま私の友人の9割は、都内あるいはその近郊から通う、実家暮らしの生徒だったので、地方から上京してすぐに一人暮らしをスタートした私は入学早々、「私だけみんなと違うのか

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すべてのビジネス本を手放した時のこと

すべてのビジネス本を手放した時のこと

私は約1年半ほど前に共同経営で起業しようとする直前で仲間と折り合いがつかず身を引いたという経験をした。それまでの経緯は言葉にはしきれないような深い闇のようなものになるので、ここには書かない。

私はちょうどその時に、自己啓発本なるものやビジネス本をほとんどすべて手放した。

私は24歳頃から10年間かけて相当なビジネス本を読んだと思う。
同じ年代の人と比べても読書の量だけはかなりのものだった気がす

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どうしようもなく好きな一冊 ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」

どうしようもなく好きな一冊 ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」

「自分にとって生涯手放せないであろう大事な1冊は?」と問われたら、
今の私は、ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」(岸本佐知子訳 講談社)と答えると思う。

この本に初めて出会ったときの衝撃は、今でも忘れられない。

物語の中の登場人物が、言葉が、風景が、なにもかもが鮮明で、生き生きと、まるで目の前で息づいているかのような描写の数々。
その中に、癒しようのない、人々の孤独や絶望を垣間見る。

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かつては村上春樹、今はポールオースターがそばにいる。

かつては村上春樹、今はポールオースターがそばにいる。

私が10代後半の頃、「好きな作家は?」と聞かれたら
必ず村上春樹の名前を上げていた。

彼の作品に最初に出会ったのは、彼の長編1作目である「風の歌を聴け」を読んだ、高校生の時だ。

その後、1973年のピンボール、羊たちの冒険、ダンス・ダンス・ダンスを
読み、ノルウェーの森とハードボイルド・ワンダーランド、海辺のカフカを、読んだ。

それから15年以上たった2020年現在にいたるまで、だいたい村上

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