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エッセイ

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#散文

愛し忌わし我が故郷

プチ帰省を挟んだためこの正月は2ヶ月ぶりの故郷であった。

私にとってこの町は、長く付き合って、そして一度憎しみ合って別れた昔の恋人のよう。

今では元気にしてるのか、どうしているのかを気にするほどに気持ちは着地したが、私たちが交わる、結ばれる、同じ道を歩いていくことは未来永劫ないだろう。

決して嫌いなわけではない。でも思い出が、記憶が、言葉が、文化が、街並みが忌わしい。

同時にその全てが懐か

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連作

あなたに捧ぐ連作をあなたは今どこに飾ってるだろう。
受け取った時、見たとき何を感じただろう。

私の思いは一方通行の恋みたいですね。

あなたが始めた物語の一員であり私の人生は私のものです。
だから、着地したい。

破壊も創造も紙一重だとおもいます。
私たちが願うことはきっと真逆じゃないけれど交われないくらいお互いに不器用ですね。

何をしても、何を思っても分かり合えないあなたは消えてほしいとすら

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あいたい

会えないから会いたいと思うのか、会いたいと思うから会えないのか、その真理は行方知らず表裏一体なのかしら。

あなたは今どこで何をしているのだろうと毎日気になってしまうの。

私は気にする立場でもないけれどこの2ヶ月はもう何年ものように感じるわ。

あなたはきっと丈夫だからそれなりに生きてると思う。でもちょっと繊細で気難しいところを持っているでしょ。ちがうかしら?

いつもみたいにばったり会って、小

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夢見

最近いろいろ大変なんだよね

寝てる時くらいそっとしといてって思うのに夢でばったり会うよね

嬉しいけどしんどいの。平安の時分だったら会いたいと思ってる人が夢に出てくるって、夢に会いに来るって信じられてたの。

現代は夢は無意識の世界であって、願望を満たす自己の世界だって。

あなたが現れるようになって私の願望が浮き彫りなるような感じがして怖いです。

あなたは私に会いたいですか?会った時いつも何

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わたし心と秋の空

夏、あんなに手の届きそうだった雲

秋になって、気づけば空高く、遠くに浮かんでいる。

穏やかで柔らかなひかりが降り注ぐ空には手を伸ばしても何も掴めない。

新しい季節の始まりに、手を伸ばす。

何にも届かない。

近くて遠くてそれでいて覆われている。

何も考えたくない、感じたくない私の横をいてつく秋風がかっさらっていく。

わたしは夏より弱くなった。

弱くなった訳じゃなくて、元のちからに戻っ

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カクテルの空がいく

ちょっとだけかっこいい服を着てバイクに乗っていた、原付だけど、白黒の線を渡る小学生は私を見ていた。

かっこ悪いわたしでも、大人のお姉さんに見えたのかな。

そんな子供の瞳が私は昔怖かった。なんでも見透かすような瞳が怖かった。

でも、今は素敵な水色のランドセルもお揃いの黄色い帽子も全てが宝物のように見えます。

あなた達がいて、信号があって、満タンの原付があってわたしは満足なんですよ。

機嫌が

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すきなものは

好きなものはたくさんある。

それが合ってるか、そばにあるかは別として。

好きなものは、遠くても不可能でも近づきたいものだと思う。

その光に近づこうとすることこそが好きであること、つまり愛なんじゃないか、

人間は矛盾しているから、愛があるからストレートにいかない。遠ざかるくらいなら自ら離れようとすることもある。

人間の矛盾も弱さも私はいとおしいものだと感じる、

人が最も弱くなるのはその、

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アッシュトレー

基本的に灰皿は山盛りになる。
チャコールフィルターに文字が若干見えるくらいのやつが山盛り。

この灰皿はライブグッズだから大事にしてる。洗って錆びたりしないようにちゃんと拭いて乾かしたりなんかする。

彼氏も友達も煙草なんか吸わない。だから、ずっとあたしだけの茶色い山が出来る。

でも、ごく稀に、たまに、白い吸殻が混ざったりもする。

あたしは、チープなことが大好きだからそういうことに美学なんか感

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