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「図書新聞」現代美術回顧

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撃たれる覚悟を!──2022年現代美術回顧[部分]

撃たれる覚悟を!──2022年現代美術回顧[部分]

コンセプチュアル・アートの政治利用──。「国際芸術祭あいち2022」でもっとも印象深かったのは、会場のひとつ、愛知県美術館の展示が河原温からはじめられていたことだった。言わずと知れた世界的なコンセプチュアル・アーティストである。同芸術祭の芸術監督・片岡真実は、おそらく河原温から展示をはじめることにかなり自覚的だったように思う。いや、戦略的だったといってもいい。同芸術祭のテーマ「STILL ALIV

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加速するアナクロニズム──2021年日本現代美術回顧

加速するアナクロニズム──2021年日本現代美術回顧

「警察じゃけぇ、なにをしてもええんじゃ」。映画「孤狼の血」(白石和彌監督、2018年)で役所広司が演じた大上の名台詞である。その続編「孤狼の血level.2」(同監督、2021年)で大上の跡を継いだ、松坂桃李による日岡も「全員ブタ箱叩き込んじゃる!」と啖呵を切るが、大上の恐るべき脅し文句に比べると、いかにも弱い。この迫力の差は、役者の演技や体格というより、物語の時代設定に由来していたように思われる

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純然たる表現という原理──2020年現代美術回顧

純然たる表現という原理──2020年現代美術回顧

2019年の日本現代美術は検閲によって大きく揺さぶられたが、2020年は新型コロナウィルスに襲われた。緊急事態宣言の発令下において美術館は軒並み休館。開催が予定されていた芸術祭の多くも延期を余儀なくされた。検閲はつねに自主規制を強いることで実質的な効果を発揮するが、コロナはより直接的に美術の現場に大きな制限を加えた。

むろん、美術の現場を構成する美術家や鑑賞者が少なからず損害を被ったことは言うま

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匕首の刃を研ぎ澄ませ──2019年現代美術回顧

匕首の刃を研ぎ澄ませ──2019年現代美術回顧

批評の独占──。「あいちトリエンナーレ2019」をめぐる一連の事件は、現代美術の現場に大きな混乱と危機をもたらしたが、もっとも深刻なのは公権力による批評の専有化である。公権力は「表現の不自由展・その後」を鑑賞する機会をわたしたちから奪ったばかりか、これに展示されていた一部の作品の意味を一方的に決めつけ、本展を封鎖に追い込むことで、その否定的な解釈への反論可能性をも封印した。文化庁による補助金不交付

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2018年現代美術回顧 「五輪」を引き込み、「沖縄」に飛び込む

2018年現代美術回顧 「五輪」を引き込み、「沖縄」に飛び込む

止めどない底抜けの感覚――。今に始まったことではないが、とりわけ2018年は政治社会の前提が音を立てて崩壊してしまった現実を痛感させられた。嘘に嘘を重ね、その虚偽にあわせて記録や情報を改竄して憚らない反歴史主義、あるいは弱者を露骨に切り捨てる一方、身内をなりふり構わず優遇する縁故主義。近代国民国家の大前提だったはずの三権分立や立憲主義、そして公共性ですら、今や存続の危機に瀕していると言わねばなるま

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