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ポップ人類学者の遠い肖像
デヴィッド・グレーバーは本当に学者なのか? 近年、デヴィッド・グレーバーという人類学者の本が人気のようだ。2020年にこの世を去ったらしいが、生前最後の、考古学者との共著『万物の黎明:人類史を根本からくつがえす』も評判のようであり、少し前、久しぶりに大型書店に行った時にも平積みにされていて目に留まった。とはいえ一般に売れている学者の本、有名な学者の本というのは大抵、あまり信用の置けないものであり
ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-3
手指の高次認知能力
Finger Gnosis(手指を心的に表現して識別する能力)
手指認知の神経相関に特化した研究はあまり多くはないようだが、ゲルストマン症候群を左角回皮質下の断絶症候群としたルスコーニらによるfMRI研究では、手指の単なる触知覚に関連する処理から(自分の手が見えない状態での)手指認知に特有の処理を区別する設計を試みた実験の結果、両側の運動前野および楔前部、左側の前腹側下頭
ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-2
数的能力
OTSとANS(SubitizingとEstimation)
アカルキュリアのくだりで触れたとおり、乳児にも認められる基本的な数量表現システムとしてOTS(Object Tracking System)とANS(Approximate Number System)の二つがあり、そのような能力は多くの動物種にも認められることから、個体発生的のみならず、系統発生的にも共有された長い進化
ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-1
PART1では、ピダハン族の人々とゲルストマン症候群患者との類似性を指摘した。ピダハン族には数詞も計数も計算も、手指の精緻な表現も左右の概念も欠けているようだが、それに似てゲルストマン症候群の場合、数的概念や数的操作・手指認知・左右識別能力などに障害が生じる。つまり大ざっぱに言えば、ピダハン族の認知的特徴は「ゲルストマン症候群のような」側面を持っている。とはいえ、この「ような」という表現には、ピ
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It was a cool autumn evening in LA when Kyohei Sotani found me sitting alone at a dimly lit bar, nursing a glass of whiskey. I’d been on a losing streak at the casino for weeks, and the weight of my m
もっとみるピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART1
最近、十年ほど前に買ったものの、積ん読になっていた上掲の本を読んだ。書名にある「ピダハン」とはブラジルのアマゾンに住む少数民族のことであり、この邦訳書が発売された少し後、NHKの「地球ドラマチック」というドキュメンタリー番組でも取り上げられて、当時はかなり注目を集めたらしい。なのでネット上にも多くの書評や紹介があると思うが、この本の内容を取り敢えず、AIに紹介してもらうと次のようになる。
要
とあるAIのラップ
Q:ラッパーになってChatGPTをディスってください。