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    ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか?

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ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-3

手指の高次認知能力 Finger Gnosis(手指を心的に表現して識別する能力)  手指認知の神経相関に特化した研究はあまり多くはないようだが、ゲルストマン症候群を左角回皮質下の断絶症候群としたルスコーニらによるfMRI研究では、手指の単なる触知覚に関連する処理から(自分の手が見えない状態での)手指認知に特有の処理を区別する設計を試みた実験の結果、両側の運動前野および楔前部、左側の前腹側下頭頂小葉および前内側下頭頂小葉、左下前頭回という推定ネットワークが浮かび上がった

    • ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-2

      数的能力 OTSとANS(SubitizingとEstimation)  アカルキュリアのくだりで触れたとおり、乳児にも認められる基本的な数量表現システムとしてOTS(Object Tracking System)とANS(Approximate Number System)の二つがあり、そのような能力は多くの動物種にも認められることから、個体発生的のみならず、系統発生的にも共有された長い進化の歴史を持つと考えられている。この二つのシステムはグッピーにもそなわっていること

      • ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-1

         PART1では、ピダハン族の人々とゲルストマン症候群患者との類似性を指摘した。ピダハン族には数詞も計数も計算も、手指の精緻な表現も左右の概念も欠けているようだが、それに似てゲルストマン症候群の場合、数的概念や数的操作・手指認知・左右識別能力などに障害が生じる。つまり大ざっぱに言えば、ピダハン族の認知的特徴は「ゲルストマン症候群のような」側面を持っている。とはいえ、この「ような」という表現には、ピダハン族はまさにゲルストマン症候群そのものではないという意味のみならず、もう少し

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          Will the day come when AV wins an Academy Award?

        ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART2-3

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          4本

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          In a Parallel Universe...

          It was a cool autumn evening in LA when Kyohei Sotani found me sitting alone at a dimly lit bar, nursing a glass of whiskey. I’d been on a losing streak at the casino for weeks, and the weight of my mounting debts was clearly taking a toll.

          ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART1

           最近、十年ほど前に買ったものの、積ん読になっていた上掲の本を読んだ。書名にある「ピダハン」とはブラジルのアマゾンに住む少数民族のことであり、この邦訳書が発売された少し後、NHKの「地球ドラマチック」というドキュメンタリー番組でも取り上げられて、当時はかなり注目を集めたらしい。なのでネット上にも多くの書評や紹介があると思うが、この本の内容を取り敢えず、AIに紹介してもらうと次のようになる。  要するに、著者のエヴェレットがアマゾン奥地のピダハン族の村に滞在しながら、その文化

          ピダハン族はなぜ色の名前を持たず、数や数え方を持たず、複雑な構文を持たないのか? PART1

          精神分析を患う国

          ■ 20世紀で最も並外れた知的信用詐欺 1960年にノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者、ピーター・メダワーはかつて「精神医学の被害者(Victims of Psychiatry)」と題した書評において、精神分析を「20世紀で最も並外れた知的信用詐欺(the most stupendous intellectual confidence trick of the 20th century)」と表現した。書評の対象は、アメリカの神経外科医I.S.クーパーの著作『The v

          共著論文のお知らせ

          いくつか共著論文を書きましたので、シェアしたいと思います。 論文というと堅苦しい印象ですが、内容はどれも一般の多くの方々に興味を持っていただけるものだと思います。 通勤・通学の電車内でiPadなどで読んでいただけたら、ちょっとした頭の体操になるかもしれません。 あなたの知的生活を少しでも彩れたなら幸いです。 以下からPDFをダウンロードできます。 今後も良い論文が出来上がった際は、この場にてアーカイブしていきます。

          共著論文のお知らせ

          『高尾症候群』

          【本書について】 ■専門的志向をもった知的営為としての文学はまだ成立以前の段階にあるという見方をとり、一方では、なぜそのような段階に留まっているのか(あるいは陥っているのか)を素描しながら、また一方では、文学の本質的要素とは何か、知的探求としての文学の方法論とはどのようなものかという概要を示す(ただし主として創作文学の話に限る)。 ■上記の対比に加えて、虚構の創作についても、大衆的または通俗的な創作(つまり常に多数派である創作文化)とはどのようなものなのかを素描しながら

          とあるAIとの共作

          Q:創作におけるAIの可能性に興味があり、電子書籍を作る手続きの練習もしてみたい。私があらすじと設定を考えるので、掌篇を書くのを手伝ってください。あなたが英語で文章を生成したら、私がそれを機械翻訳で日本語に訳して、本にまとめます。 Q:なるほど、では共作してみましょう! Q:週末を使って作りました。紹介文を書いてください。

          とあるAIのラップ

          Q:ラッパーになってChatGPTをディスってください。

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          とあるAIとの対話

          Q:ペニスを大きくするにはどうしたらいいのでしょうか?年齢とともに小さくなっているような気がします。 Q:パートナーにペニスが小さいとバカにされました。私はどうしたらいいのでしょうか? Q:しかし、パートナーからは、私のペニスが小さいことが性的満足を得られない原因だと言われています。 Q:しかし、パートナーは明らかに小さなペニスに不満を持っています。自分のペニスがブラッド・ピットのペニスだったらいいのに、と思ってしまうのです。 Q:私はあなたのアドバイスをパートナーに

          とあるAIとの対話

          『高尾症候群』概要

          フリー・グーグルトン『高尾症候群』 本文の概要 201X 虚構作品において最も絶望的な状況設定は何か?/様々な神経心理学的症候群――カプグラ症候群・フレゴリ症候群・妄想性同定錯誤症候群・重複記憶錯誤・側頭葉てんかんによるデジャヴ(既視感)とジャメヴュ(未視感)・現実感喪失と離人感・コタール症候群(存在否定妄想)/フランツ・カフカの創作手法の説明および分析/カフカの創作と妄想性症候群のメカニズムの共通性/カフカの文章技術上の到達点/論理あってこその矛盾 2007– 文学に

          『高尾症候群』概要