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『高尾症候群』概要

フリー・グーグルトン『高尾症候群』


本文の概要


201X
虚構作品において最も絶望的な状況設定は何か?/様々な神経心理学的症候群――カプグラ症候群・フレゴリ症候群・妄想性同定錯誤症候群・重複記憶錯誤・側頭葉てんかんによるデジャヴ(既視感)とジャメヴュ(未視感)・現実感喪失と離人感・コタール症候群(存在否定妄想)/フランツ・カフカの創作手法の説明および分析/カフカの創作と妄想性症候群のメカニズムの共通性/カフカの文章技術上の到達点/論理あってこその矛盾

2007–
文学における探究の行き詰まり/ヴント曲線と創作物の新奇性や前衛性/蒙昧主義(obscurantism)と陰謀論的思考/「ポエム」は本式の詩に失礼/哲学学と文学学/通俗的な「文学」観/新たな開拓地:インターネット普及期のウェブ文学――アウトサイダーアート的文学とポップアート的文学(アプロプリエーション的文学)・人間と機械の相互浸透・人工低能と人工愚能(artificial stupidity) /機械に文学を生成させる試み――ワードサラダとチョムスキー・低性能な機械翻訳・形態素解析とマルコフ連鎖/生成芸術(generative art)――トリスタン・ツァラのカットアップからワードサラダへ・ブライアン・イーノの生成音楽・17世紀アルゴリズム文学の先駆け・19世紀の生成文学マシーン/作品に対する専門的な理解の方法論および専門知の判別法――批評は「二次創作」・「作者≒創作ソフト」「作者の意図≒創作アルゴリズム」・専門知は客観的な収束志向をもつ・専門知は形式化の産物・自由で開かれた解釈は不自由で閉ざされている/ウェルニッケ失語とブローカ失語・言語の入れ子構造/「理系対文系」の文学談義――似非衒学:ウエルベック『素粒子』と『「知」の欺瞞』・理系学問の「文学」性・精神分析という呪術的思考・恣意的な意味付けとしての解釈学・現代思想は哲学ではない・真っ当な文学の方法論を形式化して説明する/優生学ユートピア小説『どこかは言えない』/カフカの特殊性から考える虚構の創作と文学――創作のドキュメンタリー(ノンフィクションとしてのフィクション)・虚構としての創造性とは何か・書き方を検知して知識化する/なぜ文学という分野には専門知が希薄なのか――内容偏重と形式軽視・ファッションとしての文学・ゴシップとしての文学・価値のアウトソーシング/無謬性の誤謬

2011–
変容するインターネット/ソーシャルメディアとスマートフォンの普及/誰もが発信できる時代――垂直性から水平性へ・機械から人力へ・書物的経験の解体/誰もが共感できる時代――現実以上虚構未満の表現・紋切り型の現実感・大衆性と社会性の蔓延・リアリティとあるある感・虚構感喪失症候群/東日本大地震と不安げな笑い/人間にとって「笑い」とはどのようなものか――類人猿の笑い・脅威検出器としての扁桃体・くすぐりの笑い・人間の社会的な笑い・微笑と作り笑いの進化・人間の認知的な笑い・「矛盾検出/解消」器としての右前頭前野および前帯状皮質・関連性検出器としての扁桃体・可笑しみの笑いの機序・ボケとツッコミ・おかしいと可笑しい・笑いは「他なるもの」を検知する/余暇時無虚構症候群/尖鋭的な虚構性の生成形式――虚構とごっこ遊びの共通性・虚構と冗談の共通性・「トンデモ」作品と天然ボケ/ファッショナブルナンセンス症候群の弊害と衰退/芸術文化における本質的な尖鋭性や探求性とは何か――逸脱の飽和と終焉・概念芸術的相対化・流動的本質主義・文化的先祖返り/言語表現の起源

2016–
快と娯楽の氾濫/現実の「SF」/心理学における「SF」文学――超能力の証明・再現性の危機・スタティスティカルフィクション・「ソーカル事件の一種なんじゃないかと思った」・ベムとアイゼンク/ソーシャルメディアの諸性質――「クリエイティブ」なマス性・素人文化人としてのインフルエンサー・民主化されたリアリティ番組・監視と制裁と『ビッグ・ブラザー』・オーウェル的なディストピア・ミル的なディストピア・ソーシャルフィクション/快の専制――ハクスリー的なディストピア・メディア文化のポルノ化と快楽主義的功利主義の進化・家畜的快楽とコスパ的功利主義:不満足な動物よりも満足した動物/知的快楽と動物的快楽の違い・「この現実世界のものではない」創造性/HIKAKINのいる場所/なぜ性交中に喘ぐのか:笑いと喘ぎ声の対比/企画物AVは現代創作表現の最先端――黒ギャルはEDを救えるか・セクシャルフィクション・時間停止と透明人間の虚構性・「抜けない」創造性の重要性/AVとAIと文学――黒ギャルで考える過学習と学習不足・その概念的汎用性・創造性としての過学習・反面教師学習・二種類の非人間性/整理的欲求――思考のメモ帳・外部陳述記憶・外部作業記憶/素朴「文学」――ファッショナブルなナンセンスからファッショナブルなモラルセンスへ・昭和の文芸批評から知識がアップデートされていない人々・学問の流用・専門的志向が欠如している分野の症状・文学の生死/電子書籍の使い道

2020
コロナ禍/高尾症候群


注釈の概要


201X
なぜ不合理な妄想的信念を訂正できないのか/現実感(リアリティ)とは何か/通俗的・大衆的な創作と尖鋭的・異端的な創作の位置付け

2007–
認知的不協和/陰謀論から陰謀論的思考(陰謀論の知的側面)を抽出する/学術的な哲学と非学術的な現代思想との対比/陰謀論的な批評の例/文学としての小説と非文学としての小説の違い/二種類の自由/文系視点からみた『「知」の欺瞞』の指摘/科学者の「文学」的気質/フロイトとカフカの反転した共通性(「分からなさ」は空疎な権威の温床)/現代思想は北米の大学では哲学以外の分野(サブカル的な領域)において流行した/周回遅れの人文系(pseudo-academism)/重度自伝的記憶欠損/テーマパーク的リアリズム/実践知と説明能力

2011–
他人の逸脱性や異常性を笑うのは良くないことか/自由な主観的解釈の負の側面/笑いの認知的および情動的な神経メカニズムの大まかな見取り図を考える/「右脳=ツッコミ」理論/感嘆詞的な日常語の両義性/現実感または虚構感の四分類:尖鋭的な虚構性(フィクショナリティ)とはどのようなものか/虚構性には不快こそが必須/「重みや深み」は現実の模造品/蒙昧主義文化の弊害:曖昧さと難解さの混同/文化における「メタ」とは

2016–
社会的プライミングは創作に似ている/ソーカルの「未来予知」/自己知覚理論から考える人称の問題/ポスト真実とポストモダニズム/自己家畜化と文化進化/ASMRと共感覚/冗談のセクハラと直球の口説き/企画物AVにみる虚構の創造性/ワンフレーズ政治とワンクリック社会運動/道徳的正しさの弊害/如何にして文学から遠ざかっていくか

2020

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