3 彼は早朝、花園を廻ることが日課となっていた。 快活な千の風の音や、天使のように笑う太陽を浴び、淋しげに土竜のように居座り、呆然とした目で…
2 少年は暗闇の只中、詩を書き続けていた。 サラサラと、次から次へと頁は捲られていった。 格調高く紅色に染め上げられたカアテン越しに観える鈴蘭…
「これも過去のこととはなった。 僕は、今や、美をば崇めるわざくれも知る」 (ランボー 堀口大學訳『地獄の一季』) 1 物心ついた時、既に少…
今、時間は午後9時54分である。 けれどこの時間感覚は馬鹿らしい。 ––––現在の時間は9時55分。 時間は記述速度を守らない。 時間は記述に対して、美しさの溶解に…
電車に乗っていると、多くのサラリーマンが視界に入る。 鞄を持って、出勤する人。でも彼はなにやら貧血症のようだ。暗そうな顔をしている。皆、病んでいる。何かを皮肉り…
軽い言葉。 炭酸みたいにすぐ消える 体重のない言葉。 そんな言葉を、想像してみることがよくある。 文章を書こうとすると、どうしても何か硬い殻や枠のようなものにハマ…
「芭蕉はいかなる社会体制とも自己を同一視せず、 『現世』一般の中での自己疎外を芸術家の運命と考えていた」 (加藤周一『日本文学史序説』) 松尾芭蕉は実に稀有な俳人…
少し、高校で嫌なことがあったので、論理的であることのキツさを書こうと思います。自分のためです。支離滅裂です。なぜこんなものを書くのか、私にもよくわかりません。 …
ふうかん
2024年6月14日 23:00
3 彼は早朝、花園を廻ることが日課となっていた。 快活な千の風の音や、天使のように笑う太陽を浴び、淋しげに土竜のように居座り、呆然とした目で朝を観るのであった。 少年の父母が所有する庭園は酷く美しいものだった。 彼は初めて此処を訪れた時、その広大さと造形美に目が眩み、一気に幼年期の夢想癖へと、少年を退行させた。 大量の花壇に集められた薔薇の群・・・・・・壁のように
2024年5月27日 06:16
2 少年は暗闇の只中、詩を書き続けていた。サラサラと、次から次へと頁は捲られていった。 格調高く紅色に染め上げられたカアテン越しに観える鈴蘭・・施錠された木箱と酷く静かに佇む無音…彼はサワードウのように、遠い記憶鉱を取戻すべく奮闘していたのだ。但し、少年の詩には季節感が哭かった。厭らしく独りよがりで、何より面白みに欠けた。 彼は英才教育に育った。小動物のような無邪気
2024年5月26日 22:08
「これも過去のこととはなった。 僕は、今や、美をば崇めるわざくれも知る」 (ランボー 堀口大學訳『地獄の一季』) 1 物心ついた時、既に少年は玩具に囲まれていた。なぜあんなにも人形や遊具が置いてあったのか、その多くは少年の父と母が毎週毎に褒美として与えるもので、一部少年が子供心為すままに掻き集めたものもあった。 彼の父と母は少年の周囲を玩具で敷き詰めようと画策し
2024年5月9日 22:31
今、時間は午後9時54分である。けれどこの時間感覚は馬鹿らしい。––––現在の時間は9時55分。時間は記述速度を守らない。時間は記述に対して、美しさの溶解に対してとても鈍感だ。そう、風化することを書いてみよう。そうだ、僕は小学生の頃、人は死んだら風になるとばかり思っていた。あぁ、これじゃ詩みたいだろう。たまに鉤括弧の形を不快に思うことがある。「黒歴史」という言葉に苛立つ
2024年5月9日 21:51
電車に乗っていると、多くのサラリーマンが視界に入る。鞄を持って、出勤する人。でも彼はなにやら貧血症のようだ。暗そうな顔をしている。皆、病んでいる。何かを皮肉りながら、同時に諦めている。乗客全員、スマホに顔が吸い寄せられている。異様な光景?いや、恐怖感なんてない。ちょっと面白いなと思う。でも何か違う。何を皆見ているのだろう。Tiktokだろうか。僕は高校生だけど、もうZ世代にはついていけ
2024年5月9日 20:44
軽い言葉。炭酸みたいにすぐ消える体重のない言葉。そんな言葉を、想像してみることがよくある。文章を書こうとすると、どうしても何か硬い殻や枠のようなものにハマってしまう。この透明な膜の正体は一体なんだろう?試しに文章をわかりやすくしてみる。日常の出来事から入り、中身がありそうでない、いい感じの内容。「昨日は」から始めてみよう。具体的な場面も書いて、把握しやすいように。でもまだ何か硬
2024年5月9日 19:53
「芭蕉はいかなる社会体制とも自己を同一視せず、 『現世』一般の中での自己疎外を芸術家の運命と考えていた」(加藤周一『日本文学史序説』) 松尾芭蕉は実に稀有な俳人である。 彼は江戸時代の新人気鋭の「点者(俳諧の批評家)」 として、多くの大名・愛好者と活発に意見を交え、多くの芸術的路線を開拓した。 しかしそれはある意味で「俳諧の限界」 を展望できる立場としても存在した。彼は農民の生まれであっ
2024年5月9日 19:29
少し、高校で嫌なことがあったので、論理的であることのキツさを書こうと思います。自分のためです。支離滅裂です。なぜこんなものを書くのか、私にもよくわかりません。 最近、「論理的能力」の有無がよく生徒に向けて問われるようになりました。私が所属する科でも行なわれているとおり、「命題を客観的に証明する試み」です。論理的に物事を把握することで、リテラシーを兼ね備えた柔軟な思考をつくることが、第一の目的と