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『BLUE GIANT』の宮本大は、バカじゃない。


2024年7月10日(水)朝の6:00になりました。

君のピアノは、つまらない。

どうも、高倉大希です。




宮本大は、バカじゃない。

石塚真一先生の『BLUE GIANT』の劇場版を、はじめて観たときの感想です。


映画『BLUE GIANT』


主人公の宮本大は、極めて主人公らしいキャラクターです。

世界一のジャズプレーヤーになるという夢に向かって、まっすぐに突き進みます。


それなのに、なぜかバカではありません。

悟空やルフィやナルトのように、おとぼけたキャラクターではないのです。


玉田「なんかあるべや、俺たちにできることが」
宮本「これは雪祈の問題だ」
玉田「俺たち仲間じゃねえのかよ」
宮本「ジャズは一生おなじメンバーでやるもんじゃない。いつか組む人間は変わる。そういうもんだ」

映画『BLUE GIANT』のワンシーンより


もっとも顕著だったのが、上記のシーンです。

メンバーの雪祈が自信を喪失しているときに、大はこのような発言をします。


「ジャズは一生おなじメンバーでやるもんじゃない」

雪祈からしてみれば、なかなかにグサリと刺さる言葉です。


感情的になりそうな場面でも、大は極めて冷静です。

くり返しになりますが、大はバカではないのです。


仙台出身。中3で出会ったジャズに心を打たれ、世界一のジャズプレーヤーになることを決意。高校卒業と同時に上京し、仲間を得て————

映画『BLUE GIANT』公式サイト 宮本大のプロフィールより


きっと彼は、熱だけで動いているわけではないのだろうなと思います。

むしろ、熱が冷めたあとに残っているものを拠りどころとしています。


だからこそ、ブレることがありません。

時間と共に変動する熱に、左右されることがないわけです。


熱を拠りどころにすると、熱を頼りに動くしかなくなります。

冷めたあとには何も残らず、熱を求めて転々とするしかなくなってしまうのです。


たしかに「熱い」っていう感想は、みなさんよく言ってくださるんですけど、じつは熱い漫画をつくってる感覚はあんまりないんです。もちろん「熱い」って言ってくださるのは、それはそれですごくうれしいんです。でも青春期の繊細な感じというか、あの頃のちょっとしたバランスの悪さだったり、そのへんを丁寧に描きたいと思っているんです。

ほぼ日「漫画家はJAZZをどう描くか」ストーリーディレクターNUMBER8さんの発言より


熱そのものを、否定するつもりはありません。

若いうちはとくに、熱だけで動いてしまえばよいものだと思っています。


ただ一方で、熱を帯びた判断があまり当てにならないというのもまた事実です。

そのときは魅力的に見えるのですが、後になってガラクタだったと気づきます。


熱が冷めたときに、残るものは何なのか。

何かを意思決定するときは、いつもこう考えるようにしています。






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