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自己否定と思考の深さ


2024年2月21日(水)朝の6:00になりました。

俺ね、もう暗いことで人に迷惑をかけるのはやめようと思ったんだよ。

どうも、高倉大希です。




前を向いた暗い人が、いちばんおもしろい。

ここ数年で、こんなことを思うようになりました。


自分の考えは、間違っているのではないか。

自分なんて、いない方がよいのではないか。


暗い人ほど、これまでの人生で自己否定を重ねています。

前を向いた瞬間に、そんな自己否定が思考の深みになるのです。


バフチンによる対話の定義がどういうものかというと、「いつでも相手の言葉に対して反論できる状況がある」ということです。バフチンの表現で言うと「最終的な言葉がない」。つまり、だれかが「これが最後ですね。はい、結論」と言ったときに、必ず別のだれかが「いやいやいや」と言う。そしてまた話が始まる。そのようにしてどこまでも続いていくのが対話の本質であって、別の言いかたをすると、ずっと発言の訂正が続いていくをそれが他者がいるということであり、対話ということなんだとバフチンは主張しているわけです。

東浩紀(2013)「訂正する力」朝日新聞出版


本来ならば自分の考えというものは、対話の中で他者から否定されるものです。

否定されて、更新されて、磨かれていきます。


暗い人は言わば、これをひとりでやっています。

自分の頭の中に、他者を飼っているのです。


自分で否定して、自分で更新して、自分で磨きます。

それを何度もくり返しているからこそ、出てくる言葉に深みが生まれます。


最終的に、聴き手と語り手の両方が「こんな話、するつもりじゃなかったのに」と思えるような場所にまでたどり着く取材が、ぼくの理想だ。あとはライターの自分が、うまくまとめてくれるだろう。

古賀史健(2021)「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」ダイヤモンド社


後ろを向いたままだと、そんな強みも台無しです。

自己を否定するだけで、更新する気配も磨く気配もありません。


暗いことで人に迷惑をかけているという事実にも、まるで気づいていやしません。

こういう性格だからと言い張って、暗さを相手に押し付けます。


後ろを向いた暗い人は、まったくおもしろくありません。

あくまでも前を向いた暗い人が、おもしろいという話です。


最近気づいたんですけど、面白い人って「ちょっと待てよ」と思うことが多いなと。みんなと同じものを見ても、違うふうに見えてしまう。「よい科学とは、みんなが見ていることを違った見方で見ることだ」という言葉があります。みんなが見ているものに対して「ちょっと待てよ」と思う。そして「そもそもそれって何なのか」と考える。

石川善樹(2019)「問い続ける力」筑摩書房


自己肯定感を高めよう。

このような言葉が、妙にもてはやされている気がします。


肯定するのはよいことで、否定するのはわるいこと。

そもそも、この前提から考え直さなければなりません。


自己否定を重ねよう。

そして、前を向こう。






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