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退く勇気をもった老人を目指す


2024年4月27日(土)朝の6:00になりました。

パラダイムシフトとは、世代交代である。

どうも、高倉大希です。




自分がやった方が、間違いなく早い。

チームで動いていると、こう思うことがよくあります。


べつに自慢しているわけでも、自惚れているわけでもありません。

むしろ、そう思わない方がまずいくらいです。


経験を積めば積むほど、できることは増えていきます。

そりゃあ、自分がやった方が早いと思うことも多くなって当然です。


例えばスポーツにおいてコーチが「提案させるが採用しない」「意見を言わせるが聞かない」ことを繰り返すと、選手は提案も意見も言わなくなる。やっても無駄だと学習するからだ。人が好奇心から動きたくなるのは変化する可能性があるからで、それがないとわかれば人は沈黙する。

為末大(2023)「熟達論」新潮社


じゃあ、すべてを自分がやればよいのかというとそういうわけでもありません。

後輩たちが学ぶ機会を、奪ってしまうことになるからです。


教育の分野なんかは、まさにこれです。

そりゃあ、あれもこれも大人たちでやってしまった方が簡単に決まっています。


でも、そんな機会を子どもたちに委ねます。

うまくいかない経験の中から、子どもたちは学びます。


子どもがケンカをすると、すぐに大人が割って入って仲裁しようとするけど、緊急性が高くないならまずはそっと見ていなさい、と。子どもたちは、人間関係を自分で磨き直す力を持っている。にもかかわらず、大人が「やめなさい」「謝りなさい!」などとすぐに介入するので、人間関係を自力で修復する機会を奪われ、かえって恨みを募らせることにもなるのだと。

苫野一徳、工藤勇一(2022)「子どもたちに民主主義を教えよう」あさま社


上岡龍太郎さんは、58歳で芸能界を引退しました。

小林賢太郎さんは、47歳で表舞台から去りました。


もっと、できるはずなのに。

どうして、やめてしまうのだろう。


昔はそう思っていましたが、今なら少しだけわかるような気がします。

自分がやった方が早かったとしても、退かねばならぬときがあるのです。


友達の話では、欧米の経営者は、自分の時間の七割ぐらいを次世代の育成に使うそうです。経営者の育成は経営者にしかできないという発想なんですが、具体的には、論理を外してあげる作業をしているのではないかと思うんです。

石川善樹(2019)「問い続ける力」筑摩書房


若い世代の参加を願うなら、口は出さずに金を出してください。

とあるまちの市長さんが、こんなことを言っていました。


今は、まだまだ現役です。

しかしいずれは、退く勇気をもった老人になりたいなと思います。


退くことが、誰かのためになる。

これは決して、悲しいことではありません。






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