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40代からの認知症予防 〜危険因子があれば改善を〜

●2021年11月7日記事更新●

65歳以上の高齢者をお客様とする仕事に

たずさわるようになり

同じ年齢でも理解力や記憶力が全然違うなぁ

と感じる場面が増えました。

家族や仕事など、身近に高齢者がみえる場合、

認知症にならないようにしたい

という思いを抱くのではないでしょうか。

2025年には65歳以上の5人に1人が認知症

という時代になると言われています。

また、70歳以上では指数関数的に発症が増える

とも言われます。

今日は認知症の知識と予防策について書いてみたいと思います。

認知症の危険因子

危険因子(きけんいんし)とは、

疾患発生の危険性を高める可能性がある要素

のことです。

リスク因子、リスクファクターと

呼ばれることもあります。

認知症は小児期中年期高齢期

全ての時期のリスクが関与するとされ、

少なくとも

9つの修正可能な危険因子

が報告されています。

Livingston G, et al.: Dementia prevention, intervention, and care. Lancet 2017

小児期:①教育期間の長さ(教育歴)
中年期:②難聴 ③高血圧 ④肥満
高齢期:⑤喫煙 ⑥抑うつ ⑦運動不足 ⑧社会的孤立 ⑨糖尿病

各リスク因子の寄与割合は

上記、長寿科学振興財団ホームページの図が

わかりやすいです。

③高血圧、④肥満、⑨糖尿病をみれば

メタボが認知症とも無関係ではないことが

お分かりになるかと思います。

②難聴については、

「おそらく、聴覚機能の衰えによって情報の聞き取りが不十分になることにより情報の記銘(確実に覚えること)が阻害され、認知機能の中核を担う記憶機能が低下しやすいことが考えられる。」

と、先ほどのホームページに掲載されています。

難聴は、騒音現場や音楽関係で

大音量の仕事をされている方に

注目していただきたいことがらです。

難聴の高齢者を見ていると

どうしても周りの会話に入りづらいことがあります。

結果的に社会参加を避ける要因にもなりそうです。

2020年7月には、認知症の危険因子に

外傷性脳損傷、過度の飲酒、大気汚染

の3つが追加されました。

Livingston, G., J. Huntley, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet. 2020;396:413-46.

脳の活性化のために

気軽にできそうなことを6つ挙げてみます。

1)音読

黙読の場合、後頭葉しか使われません。

声に出すことで言語野を使います。

さらに自分の声を聞くことにより

側頭葉も使うことになります。

2)おしゃべり

相手の言うことを理解し、会話することで

脳のいろいろな部位が活性化されます。

3)日記をつける

手書きにすると漢字を思い出すトレーニングになります。

テキストを打ち込むnoteは最適かもしれませんね。

4)料理をしたり、掃除をしたりする

料理や掃除には段取りが必要です。

料理や掃除を計画し、順序だてて実行する機能のことを

遂行機能(すいこうきのう)と言います。

遂行機能とは、
1.未来の目標を定め
2.その目標を実現させるための段取りをたて
3.目標に向かって実際に行動を開始・継続し
4.目標に近づくように実行状況に対して適切な調整を行なう
一連の過程をいいます。広島県立障害者リハビリセンター

ふだんの生活そのものが、

脳を活性化しているんですね。

実際、家族が「最近、ちょっと変だな」と気づくキッカケに

「得意だった料理をしなくなった」

「部屋が片付けられなくなった」

ということもあるようです。

5)水分をしっかりとる

認知症患者さんが水分をしっかり摂るだけで

認知機能の回復につながるケースがあります。

「健康のため水を飲もう」推進委員会

次のような内容を掲載しています。

のどの渇きは脱水が始まっている証拠であり、渇きを感じてから水を飲むのではなく、渇きを感じる前に水分を摂ることが大事です。水分が不足しやすい、就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後、飲酒中あるいはその後等に水分を摂ることが重要とされており、枕元に水分をおいて就寝することも重要です。水分の摂取量は多くの方では不足気味であり、平均的には、コップの水をあと2杯飲めば、一日に必要な水の量を概ね確保できます。

ここからは少し脱線します。

高齢者の方に水分補給をすすめると

「いらない」と断られることがあります。

マスク加齢によって

喉の渇きを感じづらいこともあるので

とにかく理由をつけて飲んでもらうことが多いですね。

不思議なもので「美味しいから」「時間になったから」とか

何でもいいので理由をつける

そうすると飲んでもらいやすくなります。

認知機能が落ちると水を飲むこと自体に

注意が向かなくなりますし、

特にこれからの季節は要注意ですね。

6)適度な運動をする

これまでの多くの研究で

運動は認知機能低下を抑える効果があると言われています。

有名な研究の1つである中之条研究では

認知症を予防する歩き方の基準を

「1日5,000歩/そのうち速歩きは7.5分」

と示しています。

中之条研究は、20年にも及ぶ追跡調査。

あらゆる病気を予防する歩き方は

「1日8000歩/そのうち20分の速歩き」

とされています。

ただゆっくりのんびり歩くのではなく

少し息が弾むような歩き方がポイントです。

認知症とは

認知症といえば、アルツハイマーを

思い浮かべる方が多いと思います。

そもそも認知症は、

認知機能が損なわれる症状の総称であり

病名ではありません。

アルツハイマー病は、最初の症例報告を行った

ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマー

に由来しています。

一般的には、アルツハイマー病は

認知症全体の6割程度で

脳血管性認知症が2割、

次いでレビー小体型認知症、

前頭側頭型認知症との内訳になっています。

認知症の4大原因疾患
● アルツハイマー病
● 脳血管性認知症
● レビー小体型認知症
● 前頭側頭型認知症

各疾患の詳細は割愛しますが、

もし認知機能の低下が進めば

できないことが増えることはもちろんのこと

生活における制限も増えてきます。

危ないからといって運転をさせてもらえない、

一人では外出させてもらえない。

インターネットで買い物をすることも

おそらく止められてしまうことでしょう。

2021年6月には新薬承認のニュースが

話題となりました。

「薬があるから良い」

「新しい薬が出来るかもしれないから別に大丈夫」

というメッセージとして捉えるのではなく

予防できるものは予防に努めた方が良い

というのが私の考えです。

これからの仕事で意識したいこと

私はもともと働く世代の健康づくりに興味を持っており

どちらかといえばメタボ予防

重きをおいて仕事をしてきました。

これからも引き続きメタボ予防や禁煙に

力を入れる他、フレイル・サルコペニアの予防、

認知症予防も見据えたサポートを

意識していきたいと考えています。

具体的には、痩せることをゴールにするだけでなく

・活動量や筋力が落ちていないか
・低栄養になっていないかどうか
・人との交流や知的活動はどうか
・本人の人生観にどう寄り添うか

といった観点で会話するということ。

相手の行動変容ステージに合わせ、

中には情報提供のみで終わることもありますが

繰り返しメッセージを伝えていけたらと思います。

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読んで下さりありがとうございます。読みやすいコラムを目指します。