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【1分フィクション】

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1分以内で読み切り可能なフィクション作品集。 2022年1月より週1本追加しています。(2024.4時点) 追記:2024年度は不定期更新
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2022年10月の記事一覧

いたずらっ子な君が好き

いたずらっ子な君が好き

向こう側から微笑む君は無邪気で可愛げがあって、誰にも負けないくらい元気いっぱい。

久しぶりだね

そんな風に言ってるようにみえる。

久しぶりだね

届いているかはわからないけど、僕も負けじと返す。

悪魔の耳にかぼちゃのパンツに加え、オバケのキャラクターが描かれたTシャツを着ている君。

もうちょっと統一すればよかったかな〜

そんな事言っていそうな顔で少し眉をへこませて悩んでいる君はなんとも

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私が泣き虫なのは

私が泣き虫なのは

私が泣き虫なのは

すぐ寂しくなってしまうから

私が泣き虫なのは

沢山怒られてしまうから

私が泣き虫なのは

わかってもらえない悔しさを隠してしまうから

私が泣き虫なのは

嬉々に共感してしまうから

私が泣き虫なのは

人を愛してしまうから

私が泣き虫なのは

空が暗くなってしまうから

でもね。

結局
私が泣き虫なのは

あなたがそばにいてくれるから。

貴方の嘘には疲れたの

貴方の嘘には疲れたの

貴方はいつも嘘をつく。

今気づきましたって言う嘘。
知らなかったって言う嘘。
あなたを助けるためだったって言う嘘。

そして正義を振りかざすんだ。

自分の嘘はつかなければならないものだと。
論理的で理性的で、筋の通る傷つけないための。

世間では当たり前の、嘘。

その嘘の結果はいつも私を悪者にするものだった。
私は意味のわからない腐った人間だから。
貴方の大事なあの子が同じ事しても嘘はつかな

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コットンキャンディー

コットンキャンディー

ふわふわと揺れる甘い糸

いつの間にか大きな白い塊になって

螺旋を紡ぐ美しくも脆い譜面を描く

口の中で奏でられるメロディーは甘ったるくて

脳に栄養を与えて与えて与える

すぐに溶けて消える儚さに合間見える美しさ

私の胸も顔もその美しさで溶けて緩んでいく

蜜の甘さに吸い寄せられる蜂や蝶のように
私はあなたの元へと駆け寄りたかった。

コットンキャンディーのような罪深いあなたに。

マジックフォレスト

マジックフォレスト

闇の中煌めく夜の木々。

みんな肌をオーバーに露出して激しく踊る。

音楽が鼓膜を深く揺らし、憎き全てを脳の外へと追いやることのできる唯一の時間。

肌は震えて、全て吹き飛ばすアルコール。

ただ、ただ、この時間が続けばいいのに。

どれだけ願っても"今"は虚しく私の前をスルリと通り抜けてゆく。

掴めない雲のように幻想となり、儚く散る。

夢の中だけでも幸せでありたい。

そう願いながらここにき

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