マジックフォレスト
闇の中煌めく夜の木々。
みんな肌をオーバーに露出して激しく踊る。
音楽が鼓膜を深く揺らし、憎き全てを脳の外へと追いやることのできる唯一の時間。
肌は震えて、全て吹き飛ばすアルコール。
ただ、ただ、この時間が続けばいいのに。
どれだけ願っても"今"は虚しく私の前をスルリと通り抜けてゆく。
掴めない雲のように幻想となり、儚く散る。
夢の中だけでも幸せでありたい。
そう願いながらここにきたけれど、結局今ある生活からは逃れられないことに気づく。
木と人に囲まれ、激しい音楽と酒とダンス。
その自分の姿をふと客観視してしまい、一瞬で奈落の底へと降り立ってしまう。
憐れであまりにも虚しい私。
みんながハッピーで楽しいのに。
私はここですら幸せになれないのだ。
マジックフォレスト。
魔法なんか幻想だ。
そこにあるのは無の全て。
私が欲しているものはなかった。
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