2024年9月前半の読了本+感想、活動報告
こんにちは!
文フリ大阪、終わりました!
とてもたくさんの人がブースに遊びにきてくれて感激。本当に嬉しかった。「やっと買えました」と言ってくださったり、「俺の推し本」で知ってくれて来てくれたり。本当にありがとう。エネルギーいただいたので、12月文フリでは、また面白いもの作ります!
そして文フリ札幌!今週末に迫ってきました!
札幌コンベンションセンターで開催です!
北海道の皆さまぜひお越しください!久しぶりに北海道に仕事で行けるので、めちゃめちゃ楽しみ!
2024年9月前半に読んだ本
①『松岡まどか、起業します』安野貴博
今年読んだ中でもベストの一つ。めちゃくちゃ面白いお仕事小説。起業のはじめのはじめから読ませてくれるので、感情移入&没入感が半端ない。文章もとても読みやすくて一気読みしてしまった。
著者は都知事選にも立候補したエンジニアの安野貴博さん。アプリやプロダクトの開発に詳しいだけでなく、自身も起業家であることからめちゃくちゃ臨場感があった。AIでどんなことが可能になるのか、そんな視点からも楽しませてもらえた。
安野さんがXで「新規事業創出の良い教科書だということで、新規事業部全員の読書課題になっているらしい」とポストしていたけれど、本当にリアリティあった。
人ひとり採用する難しさ、せっかく形にしたサービスをピボットさせないといけないこと、ランサムウェアからの攻撃など、次から次へと松岡に難題が降りかかってくる。資金が尽きたら会社は終わり。
僕もスタートアップでアルバイトしていたし、芸人やってなかったらどこかしらのスタートアップで働いていたと思う。
『セル・ビフォア・ビルド—作る前に売るのがスタートアップの定石だよ』なんて言葉が出てくるけれど、これは本当。まだプロダクト完成してないのに、販売していてびっくりした。作るしかない環境。
芸人の単独ライブも、ネタを作り終わる前にチケット完売とか全然あるので、スタートアップと似てるのかもしれない。締め切りはストレスにもなるけれど、大きな力をくれる時の方が多い。
また安野さんは「テクノロジーを使って、誰も取り残さない東京にアップデートしたい」と語っていたけれど、そんな思想もこの小説からふんだんに読み取れたし、ノラネコ社のサービスは具体策の一つかもしれないと思った。
AIとか、テクノロジーとか、スタートアップとか聞くと、うってなる人多いかもしれないけれど、難しくないよ!
俺もストックオプション欲しい!
第5話まであるんだけど、なんと第一話はnoteで無料で読めます↓↓
②『誉れ高き勇敢なブルーよ』本城雅人
最高のスポーツエンタメ。サッカー日本代表の監督選考をテーマに、騙し騙され、登場人物の思惑や欲望を感じながら、最終的にどうなるのかワクワクしながら一気読み。めちゃくちゃ面白かった。
著者の本城さんは元サンケイスポーツの記者でスポーツジャーナリスト。小説家としても様々なスポーツミステリーを書いている。
感想。
難航する監督探し、たった25日で合意しなければいけない緊迫感。怒涛の展開の連続でめちゃくちゃ面白かった。
主人公のキャラクター設定も面白く、かつて『日本サッカー界の裏切り者』と呼ばれた望月は、高校卒業とともに渡欧しバルセロナBを初め欧州各国でプレーするが、日の目を浴びることはなかった。黎明期の日本サッカー界を助けることなく、汚名は一生つきまとうこととなる。
日本代表の強化部長として3年前に監督人事に失敗。マスコミにすっぱ抜かれたことで、監督候補のピネイラへの提示額がバレてしまい、さらに多額を支払うローマに強奪される。
3年後、再び監督人事を任されることになった望月が、サッカー協会・スポーツ新聞記者・代理人・選手、それぞれの人間ドラマに隠された理由。連続ドラマで見たいけれど、森保さんが安定していてしばらくは無理そうw
③『ハリガネムシ』吉村萬壱
第129回芥川賞受賞作。
いやあ〜かなりグロテスク。芥川賞や文学というものの懐の深さを再確認。ほんと強烈。生半可な気持ちで読んだら後悔するかもしれない。
選考委員の石原慎太郎が『多くの国民がデフレとはいえなんとなく満ち足りた錯覚の内にある時代に、逆に妙なリアリティがあり、読む者を辟易させながら引きずっていく重い力がある』と評したように、本当に重く重く引きずり込まれた。
あらすじ。
物語の主人公は、高校で倫理を教える25歳の平凡な教師中岡慎一。アパートで独り暮らしをする慎一の前に、半年前に知り合った23歳のソープ嬢サチコが現れる。サチコは慎一のアパートに入り浸り、昼間は遊び歩き、夜は情交と酒盛りの日々を送る。
サチコの夫は刑務所に服役中で、ふたりの子どもは施設に預けたままだが、詳しい事情は明らかでない。慎一はサチコを伴い車で四国に旅立つが、幼稚な言葉を使い、見境なくはしゃぎまわり体を売るサチコへの欲情と嫌悪が入り交じった複雑な感情は、慎一の中で次第に暴力・殺人願望へと変容していく。慎一は、自身の中に潜在する破壊への思いを、カマキリに寄生するハリガネムシの姿に重ね合わせる。
感想。
面白い、との一言ではすますことのできない強烈な読書体験。特に主人公がサチコの傷を縫うシーンと、最後の工事現場でのシーンは一生忘れられない描写だった。自分の中にハリガネムシのように寄生していた暴力性をあくまで客観的に理解し、それでも止めることができない主人公は積極的に堕落しているようにも感じられた。自ら人の道を外れてしまった自分がどのような状況になり、どんな感情を抱くのか試したいという人間の怖さが見えた。自分やばいな、と思っても、普通は実行できない。
今後の予定
①9/22(日)『文学フリマ札幌』
https://c.bunfree.net/c/sapporo09/!/%E3%81%82/6
時間:11時~16時
場所:札幌コンベンションセンター 大ホール
入場無料
第一芸人文芸部は「あ-06」ブースです!
札幌はファビアンのみです!
第一芸人文芸部のレギュラー
① 毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
今週読んだ本の紹介、そのほか文学ニュースについて語ったり、活動報告も行なっています。お便りコーナーもあるので、質問等お待ちしております。
第一芸人文芸部の活動のベースとなっております!
② 毎週日曜16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』
毎週レギュラー放送中。アーカイブはBSよしもとのサイトから!
また放送から1週間後にBSよしもとのYouTubeチャンネルでも公開されます!
YouTubeは記事の下の方にまとめているので、ぜひ!
そして9月29日から4週にわたって、特番仕様になります!!
豪華ゲストも参戦!お楽しみに!
放送予定
9月22日 ♯12 野沢直子、インディアンス田渕
9月29日 特別編①
10月6日 特別編②
10月13日 特番(60分)
10月20日 総集編
拙著について
※)Amazon、読書メーター、ブクログなどで感想書いていただけたらめちゃくちゃ喜びます!!
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらに発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房 『本屋夜話』 (「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の「小鳥書房文学賞」を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
③『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』
ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。自信作です! ぜひゲットしてください!
アーカイブ
①(2024年7月〜)『第一芸人文芸部 俺の推し本』
④ (2023年10月〜2024年3月)Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
東野圭吾さん初のAudible作品『誰かが私を殺した』の配信を記念して、2024年7月24日~28日までの5日間に渡って実施されたイベント「真夏のミステリーライブラリー」で公開収録した特別編も配信中!