2023年2月の記事一覧
カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』(毎日読書メモ(469))
実家の本棚を整理していたら、カート・ヴォネガット(1976年まではカート・ヴォネガット・ジュニアという名前で活動していたので名義混在)の小説が沢山出てきた。
伊藤典夫や浅倉久志が翻訳したハヤカワ文庫SF、表紙はどれも和田誠が描いていた。最初友達に『タイタンの妖女』(浅倉久志訳)を勧められ、読んだら面白くて次々と読んだ。自身の第二次世界大戦従軍時のドレスデンの空襲の体験を織り込んだ『スローターハウス
今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』(毎日読書メモ(465))
昨年末マイブームだった今村夏子、2019年の短編集『父と私の桜尾通り商店街』(KADOKAWA、現在は角川文庫)を読んだ。芥川賞を受賞した『むらさきのスカートの女』(感想ここ)と前後して刊行されている。
忘れないように、それぞれの作品のざくっとした梗概を書いてみたが、読んでいない人には何が何やらわからないだけのまとめかも。
「白いセーター」一緒に住んでいる婚約者の姉から、半日間子どもの世話をして
『ふしぎ駄菓子屋銭天堂18』(廣嶋玲子・jyajya)(毎日読書メモ(464))
昨年9月に刊行された銭天堂シリーズ最新刊、廣嶋玲子・jyajya『ふしぎ駄菓子屋銭天堂18』(偕成社)、図書館で順番が回ってきたので早速読んだ。
平和な巻。敵役の六条教授が潜伏中で、目に見えるちょっかいを出してこないので(でも別に打倒紅子をあきらめた訳ではないらしい、という伏線は一応引いてある)、今回は、銭天堂の中で、駄菓子の製作に従事してくれている金のまねき猫たちに、自分一人でお菓子を作って売り
津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(毎日読書メモ(463))
津村記久子の書く、お仕事小説が好きだ。伊井直行が提唱した「会社員小説」というジャンルがあって、伊井直行の会社員小説もすごくいいのだが、津村記久子も負けてない位いい。『アレグリアとは仕事は出来ない』(感想ここ)とか、とてもよかった。
津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(日本経済新聞出版社、現在は新潮文庫)は、読み損ねていたら、その間にテレビドラマとかにもなっていたらしい。2014年から2015
宮内悠介『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』(毎日読書メモ(462))
宮内悠介『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』(幻冬舎)を読んだ。主人公は木下杢太郎、舞台は明治末期の東京、耽美主義、ロマン主義的な作家や画家が集まって結成した「パンの会」の会合で、会員が見聞きした事件についてああでもないこうでもないと謎解きをする、安楽椅子探偵スタイルのミステリー。
木下杢太郎...名前は昔から知っているよ、何でだろう、と思ったら、たぶん、鈴木三重吉が主宰していた童話・童謡