見出し画像

スプートニクの恋人と、私のスキのこと。

昨日も少し触れたのですが、今、村上春樹さんの『スプートニクの恋人』を毎日少しずつ読んでいます。


長編小説の中では比較的短いこの物語ですが、初めて読んだとき、直感的に好きだ、と思いました。
村上春樹作品の中で好きなものをあげて、と言われたら、はじめの方に口にすると思います。
(そのときによって変わったりもするので、厳密な順序づけは難しい…。)


最近になって、またこれを読もう、と思ったきっかけはこちら。


この中に、1999年当時、5年ぶりの最新作であった『スプートニクの恋人』についてのインタビュー記事があります。

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。


から始まる一節にぐっと心を掴まれたのは、私だけではありませんよね。

でもあれは、村上さんにとって小説を書くつもりもなく、スケッチみたいになんとなく書き留めたもので、最初はなんの物語も含んでいなかった、というのです。

一年くらいたって、そうだあれを使おう、みたいな感じで小説を書き始めたそう。


村上さんが、「徹底的にネジを締める小説」にしたと言うこの作品。

私も最近ようやく読み終わった『ねじまき鳥クロニクル』は、ストーリーのために文章を犠牲にしたのに対して、『スプートニクの恋人』は、余計なものはすべてはずして、自分が納得いくものだけを文体に詰め込んだ、とある。


「文体が物語を引きつけるのを待って」紡ぎ出された小説。

それまでに培ってきた文体を、徹底的に検証してみようと思った。

比喩を徹底的に多くしようというのも決めていた。


すごく好きなんだけど、その理由をうまく表現できない。

村上春樹さんの小説に対して、そう感じ続けてきましたが、少しずつかたちになって見えてきました。(まだ自信ありません、そんな気がするだけかも。)


最近、他の作家さんの小説をいくつか読んで、感じたこともあります。

小説を読み終えたとき、答えが与えられ、物語が完了すると、面白かった!感動した!というようなすっきりとした読後感はある。
でもやっぱり、なかなか"お腹にたまる"ような出会いはなかったりする。


もう一度読みたい、手元に置きたいと思える小説。
過去に手放した本たち、図書館で借りて読んだ本たち、をこつこつと再び手元に呼びよせては、あ、結局いちばん好きなものは変わっていない、と感じたりしています。


あと、最近自分が「書く」ということを意識するようになったからか、文体そのものにすごく注目するようになった、ということもあります。
ひとつひとつの文が、好きだと思えるかどうか。


このnoteでも、いろいろな方の記事を読ませていただきますが、内容がスキ!というのと、文体がスキ!というのがあります。

文体がスキ!は、すなわち、そこから伝わってくる人柄や雰囲気がスキ!となるので、内容に関わらず(もちろん大げさに言って、です。笑)、スキ!となってしまうのですね。

私の場合、内容が役に立つ、共感できる、ということ以上に、こんなすてきな言葉が紡げる、ということに羨望の眼差しを向けてしまいます。



なんだか真剣な文章を書く気持ちになったのは、止みそうもない雨に、今日のサッカーの試合が中止になったから。

でも、早朝6時集合までの逆算は、そのとおりに完遂しました。
会場までみんなで行ってから中止が決まり、引き返す、という…。


雨が降るのを見ながら、のんびりとした休日を過ごしています。

この雨のようすだと、明日の試合も中止かな。
(イエーイ。)
次男は残念がって、バタバタ暴れているけど。


みなさまも、よい休日を。




この記事が参加している募集

#読書感想文

189,330件

#振り返りnote

85,011件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?