仕事と家事・育児の両立、「あるべき」論
アラサー・アラフォー時期を心身健やかに生き生きと過ごしていきたい、という欲張り3人組が始めたポッドキャスト番組の5回目。今回は次女ともこがピックした、こちらのテーマについて話しました。
1. 家事の心理的負担
話の最初のネタになったのは2019年5月クーリエジャポンに載っていたこの記事。
この記事でとりあげられているのはフランスのブロガー、エマさんの漫画「Mental Load」の中にある「Fallait Demander(フランス語)」(英語:You should've asked) (日本語:言ってくれなきゃ わからないよ的なトーン )という作品が浮き彫りにしている「家事の心理的負担(mental load)」という概念。
「家事の心理的負担(mental load)」とは?
「カナダのケベック州にあるラヴァル大学(Laval University)の研究者ニコール・ブレ(Nicole Brais)が提唱したもので、やらなければいけない家事の全体を把握し、段取りや計画を行うという、目に見えない家事の負担のこと 」- クーリエジャポンの記事より
"That’s why it’s called the invisible work— because no one really sees it, but it is constant and consuming and exhausting." (「周りの人にはほとんどの場合気づかれない上に、毎日やらなきゃいけないことだし、エネルギーも体力も消耗すること。だから『目に見えない負担』っていうのよ」) - (Emmaさんの作品を取り上げている記事、The Mental Load - Beauty and Well-Being [2018年9月] より)
結構探すと英語の記事はいっぱいあるんですよね。世界的にみてもまだまだ異性カップルにおいてこの負担を抱えているのは女性が多いという点も浮き彫りになってきます。
三女まりが共有したように、これ、実は日本でも似たようなことが近年話題になっているようなのです。社会学者の平山亮さんによるこちらのシリーズなど、非常にリアルで興味深いです。
「名もなき家事」の、その先へ――“気づき・思案し・調整する”労働のジェンダー不均衡 vol.01 見えないケア責任を語る言葉を紡ぐために/平山亮
この平山亮さんはカナダの研究者ブレの使っていた「家事の心理的負担」に対して「感覚的活動」という名称をつかっていらっしゃいますね。
「『感覚的活動』は、ケアがケアとして成り立つために必要な、目に見えない(=頭のなかで行われている)準備や調整のことです。例えば家事だと、家族の好みや普段のスケジュールを把握した上で、一日の家事がうまくまわるように作業工程を考えたり、必要なものを揃えておくことなどが、『感覚的活動』に含まれます。」 - 「俺だってつらいんだ」に終始する男性の生きづらさ論/『介護する息子たち』著者・平山亮さんインタビュー【1】
高齢化社会である日本ならではかもしれませんが「介護」というキーワードに絡めたmental load(名もなき家事、目に見えない負担)の話は性別や世代を超えて多くの人に響く話なのかな、とも感じます。
2. 「目に見えない」の見える化
エピソードではedamame3姉妹がそれぞれのパートナーとどう家事の負担分担をしているか、という話をした上で、パートナー間での色々な認識のズレはどうしても少なからず存在するから言語化・見える化するのって大事だよね、という話になりました。
そこで三女まりが紹介してくれたのは家事可視化アプリYieto。最近は本当なんでも色々アプリがありますねぇ。
アプリを使わずとも、次女ともこが紹介していた「自称家事に協力的な旦那さんTED」のように、意識的に観察・データ収集してリアルを可視化しようとしている方も世の中にはいらっしゃるかもしれません。こんなパートナーさん、微笑ましいですね、笑。
このTEDさんは、みっちり計測してみたら奥さんのほうが自分より3倍の時間家事をしていた、という発見がショックだったようで、改めて見える化や客観的なデータがあるっていいね、という話になりました。
ちなみに三女まりが紹介してくれたデータ(出典:内閣府平成28年社会生活基本調査)も結構リアルですよね。
6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間は1日当たり:
・日本=1時間23分(女性は7時間34分)、先進国中最低の水準
・アメリカ=3時間10分
世帯の種類別に見ると
・妻が無業の世帯=(夫の時間)1時間15分
・共働きの世帯=(夫の時間)1時間25分
と、妻の就労形態にあまり影響されない、と・・。
もちろん平均はあくまでも平均であるので実際はもっと色々あるんだろうな、とは思うのですが、興味深い統計結果です。
3. 「あるべき」はどこからやってきた?
最後に、家事の心理的負担ということを考えたときに、負担をどういう風に自分が感じるかというのは、自分の考える「あるべき」にも少なからず影響を受けるんではなかろうか、ということを3人で話しました。
7ヶ月ほどパートナーと同棲生活をしている次女ともこのエピソードから3人の中で唯一「育児」というさらなるミッションを抱えている長女さおりのエピソードまで。
こんな記事があったねー、という話にもなりました。
その上で
「私たち夫婦の『あるべき』は「必要以上な『子供中心』を自分たちに強いることはしない。必要以上に『子供の喜びを自分の喜びにすり替えない』=大人たちも適度に、わがままである。ことをモットーとしてるのかも」
と振り返る長女さおり。
それを聞きながら、家事育児のあるべき論って、「どういう夫婦でありたいか」の部分にも繋がる話、だからこそ、それぞれのパートナーシップにおいて、自分たちが心地良いと思える、それぞれに合った形のオリジナル「あるべき」をデザインしていけばいいんだよね、としみじみした次女と三女でした。
もちろん、そのオリジナル「あるべき」をつくっていく過程はシンプルなものではない上に、人生のフェーズフェーズで柔軟に進化させていく必要もあるのだろうな、とも感じます。
実際に私たちの上の世代の人生の先輩たちも継続的に模索しているのだから。(その文脈で次女ともこが紹介していた本はこちら↓)
これを書いた人はアメリカ人ですが、こういうのを見ると、国を問わず、みんな模索しているテーマなんだろうな、と思わされますね。焦らず前向きに向き合っていきたいテーマだな、とも感じました。
その時にきっと大事なのは自分たちそれぞれに合った形を自分で見つけるんだという前向きな姿勢。わかりやすい答えはどこにも用意されていないけれど、周囲が決めた「あるべき」を受け入れるか、新しい別の形を見出すかは最終的に自分たち次第。そういう捉え方をする意志なのかな、と。
アラサー・アラフォーの私たちが向き合う様々なトピックにおいて、意識しておきたいメッセージだと感じます。
人生にはふたつの選択肢がある。その状況を受け入れるのか、状況を変えるための責任を受け入れるのか。デニス・ウエイトリー
「自分を解放してあげられるのは、自分しかいない」ボブ・マーリー
引き続きedamameメンバーは、こんな感じで、ゆらぎの時期を生きるアラサー・アラフォーとして、様々なテーマに向き合っていきます。
4. What's Next?
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それではまた次回!
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