勉強は嫌い、学びは好き。
「勉強は嫌いだけど、学ぶことはすきなんだよね。」
こんなことを言ったら、彼に怪訝な顔をされた。
何言ってんの?って。
彼に言わせればどっちも一緒だと。
どちらも何かを学習すると言う点でなんら変わらないと。
こんなような議論をコイツとはよくする。
今まで意見が一致した試しはないけど。
まぁ意見が対立してこそ
それが議論の醍醐味と言えるからいいんだけども。
彼とは小学校からの幼馴染である。
お互いの家が隣にあったことがきっかけで仲良くなった。
中学の時は部活も一緒で苦楽を共にした。
高校は別々になったが、大学で再会し今に至る。
口裏なんて全く合わせてない。
彼が同じ大学を志望していたなんて
入学するまで知らなかった。
それもお互いに一浪していたとは…。
意見は対立するのに
こういうところだけは息ぴったりだよな。
なんて周りの人間から言われるが
俺らからすれば心外だ。
◇◇
「そうかなぁ、わざわざ別々の言葉なのだから多少の違いはあるでしょ。」
「じゃあどんな違いがあるんだよ」
という言葉が返ってくることはわかっていたので
俺は聞かれる前にこう答えた。
「勉強は受動的、学びは能動的
っていう感じじゃないかな?」
先を越されたことに面食らった表情を彼は見せた。
やっぱりだ。彼のことはお見通しである。
俺はしてやったりの顔をした。
「勉強はいわゆるやらされている感がある。
でも学びは自主的な感じがするんだよね。」
「要するに、やらされるのが嫌いなんだろ??」
「ま、そういう事かな」
「ふ〜ん、なんかお前らしいなw
人一倍何かに縛られるのが嫌いだから」
彼に分かった気にされるのはなんか鼻につく。
お前に俺の何が分かるんだ?
まぁ確かに束縛されるのは嫌いだ。
だから将来的には企業に就職せず
フリーランスで働きたいと思っている。
「でも意外だったよ。お前が勉強嫌いなんて」
むしろそう言われたのが意外だった。
どうやら俺のことを
勉強好きなヤツだと思っていたらしい。
「お前よくいろんな参考書とか実用書を読み漁っていたから、てっきり勉強好きだと思っていたよ」
「それは俺にとって勉強ではなく学びだったからな」
「なるほど、それなら合点がいくわ。」
「そういえばいま何時d...」
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン。
「おい、このチャイムってさ…」
彼が口を開いたと同時に
俺は血の気が引いた。
「授業終わりのチャイムだ…」
「あの授業、出席あったよな…?」
「…うん」
「一回でも欠席するとs…」
「やめろ、それ以上言うなっ…」
サポートしてくれる神がいるとかなんとか…。