挿絵小説家ドンキー

コミpoとAIで挿絵小説をやってます。宜しく^^

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最近の記事

コミpoとAIによる挿絵小説(9)

 第三十三話  ゲレオンと別れた私はキューブ・ゼロの奥深くへと潜っていく。そこで密かにどこかと通信中の人物を見つけ声をかけた。 「シェリー」 「サクラっ!?」  シェリーは心底驚きつつ言った。 「違うの! 私はただ……」 「誤魔化さなくていい。あなたがダン・シエル一派と通じていることは、承知の上よ」  ズバリと指摘する私にシェリーは、タジタジだ。必死に反論を試みるものの、私が示す証拠を前にぐうの音も出ない。  やがて、堪忍したように白状した。曰く、肉親を人質に取られ脅されて

    • コミpoとAIによる挿絵小説(8)

       第二十九話  サイバー空間の復旧は未だ目処が立っていない。そんな中、地球で潜伏中の私達は異母兄弟のジョン兄と連絡を取ることに成功した。 「おいサクラ。一体、どうなってるんだ?! サイバー空間は壊滅寸前、しかもその原因は、お前だというじゃないか」  携帯端末越しに声をあげるジョン兄に、私はかぶりを振る。 「違うの。私は騙されたのよ」  シロウらとともに一連の流れを説明する私だが、なかなか理解が得られない。ただ、父に何かを仕込まれ、ダン・シエルに人柱にされたところをひょっとこ

      • コミpoとAIによる挿絵小説(7)

         第二十五話 「N350のE017……ここだ」  シロウが指定した座標軸へ逃れた私は、廃屋へと足を踏み入れる。一帯をうかがうと、ルンペンの溜まり場らしい。  そこでガタイのよさげな男がゾロゾロと現れ目の前を塞いだ。 「見ない顔だな。新入りか?」 「悪いが、ここはボスの支配下でな。訳あり揃いの輩ばかりだ。簡単に入れる訳にはいかねぇのさ」  いかにも人相の悪い男達は、たちまち私を取り囲む。その一人が手を出そうとしたところで、私はその手を取り関節技を決めた。  悲鳴をあげる男に驚

        • コミpoとAIによる挿絵小説(6)

           第十九話  ダン・シエル杯の詳細が公表された。エントリーしたサイバーファイターのリストには、現チャンプのゲレオンは言わずもがな、サイバーピースでお馴染みのコロッセウム闘技場の上位ランカーが名を連ねている。  ただ、その中に見慣れない名が入っていることを私は見逃さない。 「ZIL……間違いない。あのジルね。奴らが放ったサイバー空間での大量破壊兵器、ゼロサムの鍵を握るプログラムファイター……」  さらに私は公表されたダン・シエル杯の内容にも目を走らせていく。そこで痛感したのが

        コミpoとAIによる挿絵小説(9)

          コミpoとAIによる挿絵小説(5)

           第十五話  ドロシーとオズの逮捕から数日後、私は惑星ベガス・トキオ区のウルティマ機関を調べている。 「ここも、か……」  私は、もぬけの殻となった雑居ビルの一室に舌打ちする。本来ならば、ウルティマ機関の事務所がなければならないはずなのだ。  無論、一時的な閉鎖状態はありうる。だが、調べる限りことごとく実態がない。状態としては明らかに異常だった。  ――戦争を生業とする軍産複合体パンゲア・カルテル、これに対抗すべくダンさんが設立したウルティマ機関……のはずなのに。  私はリ

          コミpoとAIによる挿絵小説(5)

          コミpoとAIによる挿絵小説(4)

           第十二話 「かなりの情報が集まった。これはウルティマ機関が得た成果だ」  銀河一サイバー武道会を無事に乗り切ったダンさんは、自身の邸宅に私達を招くや笑顔でレポートを見せた。ジルの決勝進出を阻止し、ドロシー達姉弟によるゼロサム兵器投入を防いだのだ。  そのリスクに見合うだけのものはあったようで、これまでほとんど謎に満ちていたパンゲア・カルテルの実態が見えてきた。驚くべきはその規模だ。 「総資産が二億ギル!?」  バランスシートに目を走らせたシロウは声を上げる。収入もかなりの

          コミpoとAIによる挿絵小説(4)

          コミpoとAIによる挿絵小説(3)

           第九話  コロッセウム闘技場の騒動は、私達に多くの変化をもたらした。その一つが名前だ。陰の主役となったシロウは銀河にその名を轟かせ、事務所を行列の出来る税理士事務所へと押し上げた。  次々と舞い込む仕事に事務所が活況を呈す中、事の発端である依頼人アーロンがやって来た。 「お二人のご活躍、何よりでございます」  社交辞令から入るアーロンに私達は頭を下げる。そこからしばしの雑談を経てアーロンは、徐ろに切り出した。例のパンドラの一筆にまつわる案件だ。 「頂いた調査レポート、非常

          コミpoとAIによる挿絵小説(3)

          コミpoとAIによる挿絵小説(2)

           第四話 「ブラックバード株式会社、かぁ……」  私はシロウの助言から設立した会社に感銘を受けている。まるで自分の分身が出来たみたいで不思議な感覚よ。  その一方で、コロッセウム闘技場近辺にある例の土地案件も進行しているのだけど、ここで再びシロウの無茶振りが炸裂する。 「姉ちゃん、次はこれ」  指差すノート端末に映し出されたのは、銀河一サイバー武道会の概要だ。 「いい? 姉ちゃんはここで優勝して、ダンさんだけでなく、ヤマト社に内部協力者を作ってよ」 「あのねぇ、シロウ。アン

          コミpoとAIによる挿絵小説(2)

          コミpoとAIによる挿絵小説(1)

           第一話  華麗なる我が一族を紹介しましょう。まずは私、サクラ・ライアン十八歳。間違って女に生まれてしまった男勝りの格闘娘よ。空手、ムエタイ、合気、カポエラ、闘う系ならなんでもあり。  球技もいいけど、生身の拳でガチに殴り合う格闘技の方が戦う相手とぶつかる距離感ゼロで私向き。勝ち負けもハッキリ見えるしね。自慢の身体能力で……え、オツム? や、そっちはちょっと触れないで。  正反対なのが弟のシロウ・ライアン、十五歳。すでに大学を卒業し税理士の国家資格まで持つ超エリート。病弱で

          コミpoとAIによる挿絵小説(1)

          【挿絵小説】タックスキングダム 第九章

          1 神器  作戦を練る俺達だが、そこへ思わぬ人物が現れた。白髭先生の子にして現実世界で財務省主税局に籍を置く財前である。 「財前さん! この魔霊界に来るなんて、一体、どうしたんだ?!」  驚く俺に財前はニコリと微笑むや、思わぬ情報を口にした。ジャックの潜伏場所である。 「それは、本当ですか!?」 「えぇ、そこにジュリア女王も一緒です。人質にするつもりなのでしょう」  ここで財前は懐から謎のアイテムを取り出した。それを見たサクラが目を見開き声を上げた。 「まさか八尺瓊勾玉!」

          【挿絵小説】タックスキングダム 第九章

          【挿絵小説】タックスキングダム 第八章

          1 リー将軍  俺達は財前からもらった地図を片手に魔霊界へと乗り込んでいる。 「まさかこんな秘密ルートがあったとはな」  意外さを覚える俺だが、その傍らで興奮を隠せないのは蘭だ。どうやらはじめての異世界に感動を覚えているらしい。 「ほんまにファンタジーゲームの世界に来たみたいやわ」  これはあながち間違いではない。事実、この世界は剣と魔法で成り立っている。ただその方法は、少々独特だ。 「しかし澪桜、そのリー将軍というのは、信用出来るのか?」  サクラの問いに俺はかぶりを振る

          【挿絵小説】タックスキングダム 第八章

          【挿絵小説】タックスキングダム 第七章

          1 冬  季節が冬に近づきつつある。一世を風靡したバンド・タークスだが、ボーカルであるサクラの裏切りと失踪を受け目下、休業中だ。  なお、蘭達エルタも同様にバンド活動を休止させている。蘭の弟が亡くなり、喪に服すとともに自身の難病が発症し始めたことを受けての休止らしい。 「うちはもう十分、やったわ」  病院の屋上で達観気味に語るのは、蘭だ。事実、ボロボロの限界まで現役にしがみつく蘭を見ているのは、ツラいものがあった。 「けどアンタのとこのエロ校長には、世話になった。最後の望み

          【挿絵小説】タックスキングダム 第七章

          【挿絵小説】タックスキングダム 第六章

          1 白髭先生  ジュリア姫の罪を被った俺だが、幽閉された地下牢は変わった場所だった。大量の本が山積する二人部屋で、囚人達が「白髭先生」と崇める翁が入っているのだ。 「新入り。ジパング国王を殺害したそうではないか」  ほぼつるっ禿げながらも、小柄な背丈をピンと張る白衣姿の白髭先生に俺は、うなずく。だが白髭先生は、眼鏡の奥に独特の眼光を漂わせながらニヤリと笑い思わぬ返事を口にした。 「正直に言え。誰を庇った? 姫か?」 「え、や……そんなことは」  返答に窮す俺に白髭先生は「ま

          【挿絵小説】タックスキングダム 第六章

          【挿絵小説】タックスキングダム 第五章

          1 文化祭  文化祭が迫っている。校内が徐々に彩られていく中、俺達のバンド・タークスもその準備に追われている。厄介なのは、そこに蘭達のエルタが加わっている点だ。 「何でうちがアンタらのバンドに参加せなあかんねん」  文句を垂れる蘭に俺は「それはこっちのセリフだ」と言い返す。実はこれには、特殊事情が絡んでいる。 「蘭、うちの校長がお前のファンなんだよ。夏の音楽フェスでやったコラボが忘れられないらしい」 「あのなぁ。あれはスポンサーに言われて嫌々引き受けただけや。本心では……」

          【挿絵小説】タックスキングダム 第五章

          【挿絵小説】タックスキングダム 第四章

          1 コラボレーション  夏休みが終わりに差し掛かっている。何とか宿題を終えた俺は、税理士事務所で兄貴の手伝いをしている。 「まぁ、順調なんじゃないか?」  発足して間もないジャポーネ芸能事務所の試算表を入力しながら、兄貴は感想を述べた。  事実、初期投資から赤だった帳面は、黒に転じている。だが、そこは一寸先は闇の芸能界だ。いざというときのための保険は、積み増していた。 「税務面での心配はない。当面は大丈夫だろう。あとは澪桜、お前だ」  兄貴の指摘に俺は首を傾げる。見かねた兄

          【挿絵小説】タックスキングダム 第四章

          【挿絵小説】タックスキングダム 第三章

          1 ライバル  魔霊界で大いに暴れた俺だが、現実世界でもそれは変わらない。剣道のインターハイで並々ならぬ成績を残したのだ。  特に団体戦では俺とジャックのコンビで強豪校を次々に撃破し、惜しくも優勝には至らなかったが、それでも十分に満足のいく結果を叩き出した。  その一方でバンド活動にも精を出している。 「体が幾つあっても足りねぇよ」  ぼやく俺に苦笑するのは、ジャックだ。事実、例のテロ事件を機に知名度を得た俺達のバンド・タークスは、全国区となっている。  全てが満ちていく中

          【挿絵小説】タックスキングダム 第三章