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連載小説★プロレスガール、ビジネスヒロイン? 第一話 プロローグ

女子プロレス団体『SJW』の練習生ミナミは、技の魅力がきちんと評価されるプロレスの世界を作りたいという強い夢を抱きプロ選手を目指していましたが、同じ理念を持つ大沢社長によって正社員に雇用されました。 同僚や先輩選手と協力し、夢の実現に向けて経営改善と練習の両立に励みます。
経営課題、プロテスト、ヒール転向や他団体抗争など次々と直面するプロレス界の課題、選手と経営の両立に苦しみながらも乗り越えていくミナミ。やがて全ての事象は一つの事実に繋がっていきます。
彼女の努力はプロレス界に新たな風を巻き起こすことができるのか、そして彼女の恋愛関係は?
プロレスとビジネスを通じて成長していくお仕事恋愛小説です。

あらすじ299文字

第1話 プロローグ

 三千人で超満員のアオーレ長岡。大歓声と悲鳴が入り混じる混沌。
 リング上では、黒髪をお団子にまとめた女子プロレスラーが相手の体を抱え上げ、リング中央に叩き付ける。その瞬間、興奮の中でリング上に緊張が漂う。
 すぐさま、コーナートップロープに駆け上り、大歓声を繰り出す観客に向かって右腕をあげた。その人差し指は天を指す。
「いくぞー!」
 甲高い叫び声と共にトップロープから思いっきり高く空中に舞い上がり、背面方向にバク宙しながらリング中央に向かって円弧を描き飛んでいく。
 まばゆい照明の下を飛翔するしなやかなフォルムは、まるで天から戦いの女神が舞い降りてくるかのごとく芸術的な光景だった。
(なんて……美しいんだろう)
 回転により勢いがついた体を相手に浴びせる。
 ムーンサルプレスだ。
 リング全体を揺るがす衝撃が少女の頬にも伝わったような気がした。
 小学五年生の少女、平ミナミはリングサイドのパイプ椅子から立ち上がる。
 ただ、ただ目の前で繰り広げられる技の数々が力強く美しかった。
「ワン、ツー……」
 観客たちの熱意を含んで……
「スリー」
 今までにない歓声と狂気、そして会場全体を震わせるような振動が会場を包む。
 その圧倒的な熱狂の渦、真剣で高度な技と技のぶつかり合いの迫力に圧倒されたミナミは、この瞬間に女子プロレスラーを目指す決意を固めたのだった。

 それから一一年後。
 四月一日。
「新卒の新入社員、平ミナミだ。今日から経営企画を担当してもらう。みんな、よろしく頼むぞ」
 ミナミは女子プロレスを運営している『株式会社SJW』の社員たちに紹介されていた。
 ただし、女子プロレスラーとしてではない。一人の新入社員としてだった。
「よ、よろしくお願いします」
 拍手を受ける中、ミナミはどのような表情をしていいかわからず微妙な笑顔で応えていた。
(プロレスラー選手を目指しているつもりなのに、なんで新入社員になっちゃったんだろう……)





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