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エッセイ

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2019年11月の記事一覧

風のなかの棺桶

 寝ているあいだに携帯がなっていたようだ。
 着信履歴は昔のなかまのA子。珍しいな、う~ん。
 寝ぼけ眼で、こんどは誰かな?と携帯を見つめながら、折り返しの電話をする。
 やっぱり、、、ですか・・・
 こんどは誰かな? は、独り言のうえに冗談だったのに。
 悪い予感は当たる。
 死んだのは元橋さんだった。
 体調を崩し入院した後、突然逝っちまったらしい。
 元橋さんはボクがまだ青カン支援の市民運動

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ボクたちは川の流れになって

♪ねえ君、二人でどこへいこうと勝手なんだが、川のある土地に行きたいと思ってたのさ…♪
 ボクはボーとしている時、どうも歌を口ずさむ癖があるらしい。この時もなんだか夏も終わりかな、と思わせる夕方の風に吹かれ矢田川の河川敷に細く舗装された小径で自転車のペダルを漕ぎながら口ずさんでいた。
 川の北の岸辺を三階橋のたもとから東へ向かって走る。3メートル前を小さな自転車で走るのは1週間前に補助輪がとれて、嬉

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ほんとに私は私で、心はひとつか?@死にたい

と、いうような脳科学者による講演会があった。
多くの人は、私は誰でもない私だし、そう思っている心もひとつだけど本当にそうなのか?という内容だったのさ。
心ってのは、個々の意志とか欲望とか感情etcとかの個の意識だよね。
まあ漠然と私の心は私のもので、私の意識だと確認することもなく思っている。
けどね、脳科学からすると結構あやふやでそれほど確定的でもなさそうなのよ。
つまり、普段意識しているほど「心

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人間からの自由

歩けなくなってから何故か尾崎豊を聴いている。
歩けない繋がりなのか、不自由繋がりなのかは解らない。
ふと尾崎豊を思い出し、なんとなく聴いているのはそうしたタイミングなんだろう。

歌を聴きながら、
○○から自由になりたい。
○○から解放されたい。
ということのロジックが浮かんできた。

○○から自由になりたい、と感じるためには、まず○○の一員でなければならない。
○○が彼氏ならば、恋人同士という関

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歩けない@傾聴

歩けなくなってから3−5日がピークで全く歩けなかった。
所在なくTVをみる。
歩いている人々の姿が映し出される。
みな普通に歩いている、歩けないボクは「凄い」、と感心する。
歩けなくなって歩くことの凄さを再確認する。
あたりまえに歩けていたときは解らなかった。
失ってから、再確認できるなら、失うことの意味もあるかもしれない。
失わないと、当たり前を実感できないことが普通だから。
失ったことを取り戻

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