デコスケさん

【R14+】 メジャーに流通するコンテンツと、その波及に、つかず離れず言及します。『言…

デコスケさん

【R14+】 メジャーに流通するコンテンツと、その波及に、つかず離れず言及します。『言葉』や『物語』に向き合う地平を提供出来れば、望外の歓びです。DMにリク/校正/etc.どうぞ。※ 感情的、誹謗中傷、命令調などのトーンが強すぎる場合は、お返事を控えさせていただくことがあります。

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枢〔クルル〕

余寒に張り詰めていた強張りも解れ、ふたばの甲拆囂しき、薫風に巡りて現る萠の嫩芽を、瞬きの借景に行き過ぎる。もはや温暖とは言い難い猛夏の候、無尽に注ぐ赫々を執拗に避けながら、其れらは衆生の淫す享楽にも似て、夜半の寝覚に、熱に当てらるるを知る。紫幹翠葉に発せられる怨嗟の響きを、確からしく感じながら、常用のソレとは違う、少し離れた路線の駅へと歩く。吝かにせず、taxiを呼べば良かった、と瞬目に悔いる。 抑揚のない陽射しは一帯の凹凸を奪い、薄まった気層に拡がる白飛びした輪郭は、森羅

    • 『彼岸花の咲く島』には、ならない(「彼岸花が咲く島」中編)

      日本語は‘monologue’に寄った言語と、いわれることがある。 “ありがとう”を遡ると、‘有り難い’を参照し、更に敷衍していくと『(眼前に)有り得ないことが発生した』という、感嘆を露わす“独りごち”、に行き着くことになる。 無論、言葉は入れ物に過ぎず、任意に割り当てていく“連想配列”のように、必ずしも形骸(包み箱)と中身(本来的な謂)が一致している必要がない。仲間内で伝わる“符合”(exp.「先生」につけるあだ名等)に分かり易く、共有する相手に伝われば、その機能を果た

      • 信じる、と“信じてる”(「彼岸花が咲く島」前編)

        まだ長い文章を読み慣れていない頃、筆者のもつ“文体の癖”に阻まれ頓挫する、という内容以前の“選択”がままあった。漫画雑誌を読む際の、絵柄がどうにも受け付けずに後回しにしていく、そんな感覚に似ている。 一方で、必ずしも書籍類に限らないが、“積ん読”状態だったものをふと手に取り、“わたしは今、まさにこれが読みたかったのだ”と、時空を超えて自分にグッジョブする感じを、幾度と無く経験している。 今となっては、自分自身の“手懐け方”に慣れてしまい、開帳当初違和感があっても、こういう

        • 臆病な性格で威嚇することもあります

          就職して暫く経った頃、諸処の申し送りの後に、 “small-talk”は大事よ と言われた事がある。 有無なんて無いでしょ、とする、はみ出すそんな面倒臭を隠しきらない応接。教育係でもある彼女の‘善良’を纏う配慮に、表層に首肯しながらも、名状し難い感触をなぞった。治りの遅い屈曲部の傷のように、今でも不意に思い出す。 ☆ 職業作家は『言葉』の不具に挑み、戸惑い、彷徨いながら、時に先達の叡智に感心し、脱線し、振り回され、束の間ライターズハイに包まれて、冷静を取り戻すべくス

        枢〔クルル〕

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        • 俺ガイルアナリーゼ
          3本
        • やがて君になるアナリーゼ
          5本
        • 色づく世界の明日からアナリーゼ
          1本

        記事

          水田に揺蕩う「カルガモ」は、今際に何を見るか

          「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を初めて観たとき、この作品をどう回収すればいいのか、よくわからなかった。"感動ポルノ"的、"世界名作劇場"的、というpropagandaを警戒し、作品評価を留保するというものではなく、作品内に通暁する、とってつけたような'残酷さ'を、イマイチよく理解出来なかった。 残酷、という言葉は妙だ。 人為的、というnuanceを多分に含む。 予測不能に横たわる、accidentalな出来事に遭遇する。それは"不条理"と呼ぶべきで、残酷とは言い難い

          水田に揺蕩う「カルガモ」は、今際に何を見るか

          しょうゆびーむ

          したしみすぎててまめくささをかんじない よくよくみればごきぶりはねいろふくにはねればふるいちのいろ うんとおおきいボトルをかうのは ゆうきがいる 七五調の韻文詩のように、気がつけば日常に染み渡っている醤油。初めてひとり暮らしをする時、トイレットペーパーを買うことが出来なかった。雑多なものを買い揃え、兎にも角にも買い物に疲れきってトイレットペーパーを買う手前でついぞ立ち止まってしまった。資金も尽きた。今でもその頃揃えた100均のアレコレを、'壊れてない'という理由で使っている

          しょうゆびーむ

          'A MEMORY' is just a memory

          哀しいときに、'怖い話'は親和する。 ミステリーを途中でやめるとホラーになる、と言ったのは作家の貴志祐介であった。同じく作家の、よしもとばななは、depression[抑鬱]を分節することなく、肯定も否定もない地平に、ただ横たわらせていく。依存、もしくは依存症について言及するとき、よしもとばなな著『アムリタ』の冒頭数頁に、ほんの少し描写される、"妹"を想い出す。 芸能界に籍を置く'妹'。出会いと別れの強烈な繰り返しに、その息もつかない濃密さに、擦り切れるのも厭わず、'さも

          'A MEMORY' is just a memory

          'PERSONA'lization

          作家の平野啓一郎さんの唱えるconception[観念モデル]に、分人というものがある。 もう、10年くらい経つでしょうか。わたしも当時読んでいた『空白を満たしなさい©平野啓一郎』と、ほぼ同時期に、新書判で'分人'についての一考察を発表する。'intelligentsia'の役割というのか、漱石や川端や大江らに連なる試論の提出は、どこかold-skoolな、'文人'らしい矜持のある方なのだなと、そのactivationを、見るとはなしに眺めてみていた。 彼が、京大在学中に

          'PERSONA'lization

          校閲

          Forensic Accounting会計のセカイに、『知らないことはわからない』という'言い回し'がある。 当たり前過ぎる同語反復、と言えばその通り。'無知の知'や、或いは含蓄深く'知足知恩'〔足を知る恩を知るex.『高瀬舟©森鴎外』〕を連想する向きもあるかも知れない。だが、それらと同調する部分も多いが、少しnuanceが違うと感じる。 ここで簿記の仕組みを須〔スベカラ〕く解説するつもりはない。簡単に言えば、-永続的な企業運動を-出来るだけ金銭的な価額に還元し、理解可

          『街場の依存論』

          16歳くらいだったろうか。 書店で見掛けた本の帯に、すべての家族は異常である、という一文が添えられてあった。確か、翻訳物だったと思う。それを見てどう感じたか、今はもう憶えていない。その文言を、それを見た書店の風景を、今でもよく憶えている。その事実だけが、きっと重要なのだろう。 『外見の壁』養老孟司は、個性は外面的なところにしか顕れない、という。 'イケメン好き'という意味ではなく、内面的な自由を絶対に脅かさない、とするための反証的表現だが、似たものに、脳は全て奇形、というの

          『街場の依存論』

          コトバ────liveness

          『言葉化』されること'で'、事実性や現前[生々しさ]にひれ伏し、頽〔クズオ〕れてしまうヒトと、『言葉化』すること'が'、しばしば'離人症的'な感覚を呼び起こし、fake感[乖離]に苛〔サイナ〕まれるヒトに、二項分布しているよう感覚する。もしくは、'ひとりのヒト'の内側でも、体調や年齢周期によって、『言葉』に対す、'共感や違和'のサイクルを、往復循環しているのではないか。そんなことを予想する。 ひとつの作品を、ひとつの作品の内側だけで語るのは困難で、作品を横断的に、水平方向

          コトバ────liveness

          'ghost'の在りか

          ネコを飼っていると、通称"デビルフェイス"と呼ばれる'顔つき'に出くわす。"出くわす"、というのは、意図してそれを'させている'わけではない、という最低限の'親心'に発している。 "家出少年"保護してる白アッシュの長毛種かつ去勢済オスなので、傾向として、穏和かつ甘えん坊なのは、巷間いわれる通り。保護猫という履歴も関係するのか、弱いものには強く、強いものには弱い。考えうる限り、この世で最も姑息に、卑怯な戦い方をする。そして彼がきてから、ウチではめっきり虫をみなくなった。相関あ

          'ghost'の在りか

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          かつてでいう『援助交際』や『ブルセラ』、今でいう「デートクラブ」や「JKリフレ」等の、"未成年による性の切り売り"に言及する際は、常に'ひとつの命題'がついてくる。 『日本の未来』を見据えて、ある種の'良識'を振りかざした時、いわば斥力としての"彼女たち"を、目下の「他山の石」として'損切り'し、捨て置いていってしまう。その姿は、つまびらかに―――を露出しながら、"こんな事してちゃダメだよ"と、説教するオジサンと、大して変わらない。背景に、潜在的な『発達障害』や、文科省カリ

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          "火の鳥"を射殺したい

          書く、という作業は時に、思いもしない方向に転がる。"頭の整理"と言ったりもするが、良いことばかりではない。周期的にランダム発生する"不作の年"が、連作による土壌の摩耗を抑止したり、切実な被害を呼ぶ地震と津波が、内湾に沈澱する汚泥をシャッフルし、漁業資源にまつわるエコシステムを賦活したりする。 要は、"catharsis"をもたらす前駆には、相応する"充填の作業"があり、ヤマシタトモコが『違国日記』で言及するように、創作とは、"穴を掘って埋める作業"に全く他ならない。"澱"の

          "火の鳥"を射殺したい

          【have a strong desire to ~】

          『女子高生』を拾ったことは無いが、酔っ払いを拾ったことがある。 自宅マンション敷地内の駐車場に寝転がっていたのを、居住関係者と勘違いし、思わず声を掛けた。深夜遅く、死角に横たわると、端的に轢かれる恐れがあり、もし看過して事故が起きたら、心中穏やかでいられない。gender-schemeどちらにも寄らない服装と体躯、そして栗毛のモジャモジャゆえ、ぱっと見に性別が判らない。酩酊の相手に、幾つかの問答の末、一旦、部屋にいき、急須から淹れた煎茶を持って戻ってくる。熱がりながらも啜り

          【have a strong desire to ~】

          Devil,made,Devil.and,Devil

          オバマ元大統領の回顧録が出版された。原題"A Promised Land"はそのまま『約束の地』と訳される。自明ゆえに、或いはconflictを避けるがために、宗教性を剥奪したこの"お題"を聞いた多くの者は、"ZION"の四文字を思い浮かべる。 ‎ 1948年イスラエル建国。それを後押ししたのが、1900年初頭から顕わになる、"Zionism"の運動体であった。時はEurope再編となる、経済恐慌吹き荒れる世界大戦前夜。祖国をもたぬ異邦人に対す迫害は厳しさを増し、反作用にて加

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