【著者執筆】自分に向き合い、変わるのって、タイミングがすごく大事。
自分に向き合い、変わるのって、
タイミングがすごく大事。
「自分を変える」ってしんどいことです。
時に、今の自分を否定することになるので、勇気が必要だったりもします。
人によっては、過去の自分のイヤな記憶に向き合うことになるかもしれません。
もしも「変わりたいのに変われない」と悩むくらいなら、「今は向き合う時期ではない」と考えてもいいんじゃないかなって思ったりします。
自分の中に「変化を起こす」ってなかなか大変ですから。
僕が働いている精神科も、「病気を治す」という目的がありますから、患者さんにも説明して「変わっていく必要性」を理解してもらうことがあります。
でも、来てすぐ誰にでも伝えるわけではなく、今のこの人なら受け入れる余力があるだろうな、と思える状態のときに、タイミングをじっくり見て、ようやく話せることなんです。とても慎重になります。
自分に向き合うのって、タイミングがすごく大事なんですよ。
よく人を励ます意味で「やまない雨はない」という人がいますよね。悩んでいる人に投げかける優しい言葉かもしれません。
でも、今つらい人には「どしゃぶりの雨の中にいる私に、そんなこと言われても。今すぐなんとかしたいのよ」と感じる人もいます。
「いやいや、雨の降ってない場所から言わないでよ」と怒る人もいるでしょう。
それにね、人生の悩みごとは、雨と違って長かったりします。
人生には、やまない雨がめっちゃあるものです。
でも、やまないから絶望しろという話でもないので、もう少し話を続けますね。
人間って「環境を受け入れる」ことで対策できる生き物だったりします。
昔の人は、「雨がやまない。だったらどうしようか」と考えて、傘や雨ガッパをつくったりしました。あまりにどしゃぶりで雨がやまずに川が氾濫して困るときは、堤防やダムをつくったりしたのです。
つまり、しんどいときは、「いつやむのかな」と待つのも手だけど、いつまでたってもやまないときは、雨の降ってない場所から「いつかやむから」と言ってくる人の言うことを聞く必要はなくて。
それぞれのタイミングで「やまない雨」と向き合ってみて、対策を考えるのも一つの手ということです。
ただ、それにも、タイミングが大事だなって思います。
つねに「なぜ、雨がやまないのか」「やまないとしたら、どうしたらいいか」なんて向き合っていたらしんどい。
向き合い考えてみるタイミングを自分の中で探してみることは大切です。
今でなくたっていいのです。時々考えるだけでもいいのです。
この本を読んでくれているあなたに、時々は「今がタイミングかな」って思い出してほしいと思い、この話を書きました。
あなたが「今が自分のタイミングかも」と自然に思えたら、そのときに、「なぜ、雨がやまないのか」「やまないとしたら、どうしたらいいか」を考えてみてくださいね。
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著者について
藤野智哉(ふじの・ともや)
1991年生まれ。精神科医。産業医。公認心理師。
秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。
学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。
精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、メディアへの出演も多数。
主な著書に『「誰かのため」に生きすぎない』(ディスカヴァー)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)などがある。
★本編未収録の「あとがき」は、こちらの記事から!★
【未収録原稿を公開!】『そのままの自分」を生きてみる』あとがき|ディスカヴァー・トゥエンティワン (note.com)
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