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内的報酬と外的報酬のバランスをどう取るべきか?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#13】

電子版2020年5月28日、書籍版2020年6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボをご紹介していきます。

Q:内的報酬と外的報酬のバランスをどう取るべきか?

A:大きな内的報酬と、適度な外的報酬を目指すべき


最適なのは大きな内的報酬と適度な外的報酬

組織パフォーマンスを最大化するためには、内的報酬と外的報酬はどのようなバランスで考えれば良いでしょうか?
賃金などの外的報酬は、多すぎても少なすぎても問題が生じます。
賃金が少なすぎる場合、働く人の生活に支障が出る、不満から退職につながるなどの悪影響が起きることは想像に難くありません。
しかし賃金が多すぎる場合にも悪影響があります。
プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマンによれば年収7万5000ドル(約900万円)を超えるとそれ以上は賃金が増えても幸福度(生活の満足度)に影響はないそうです。
企業の負担を考えても、適度な外的報酬であることが重要だと言えます。
外的報酬は適度であること、そして内的報酬は大きいこと、これが最適な状態だと言えます(図表032)。

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外的報酬は内的報酬を邪魔することも促進することもある

外的報酬は使い方によっては内的報酬を邪魔することがあります。
例えば好きで勉強をしていた子供にご褒美(外的報酬)を与えてしまうと、それがなければ勉強をしなくなる、好きで熱中していた仕事に金銭報酬を与えられるとやる気がしなくなってしまう、など。
これをローチェスター大学の心理学者エドワード・L・デシは「アンダーマイニング効果」と名付けました。
一方で、何かの賞を目指して頑張るなど、外的報酬があることによって内的報酬が促進されることもあります。これを「エンハンシング効果」と言います。
コストをかけて外的報酬を増やせば、人はやる気になるわけではない、むしろやる気を削がれたり、幸福度が減ったりすることもある。
人材マネジメントの難しいところです。
逆に言えばコストをかけなくても内的報酬を促進する方法は工夫次第でいくらでもある、とも言えます。

今後8回は内的報酬の促進について考えていきます。
まず次回では、「働きがい」「仕事のやりがい」「働きやすさ」について確認します。

<シリーズはこちら>

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)
株式会社壺中天 代表取締役
壺中人事塾 塾長
株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー
株式会社ウィル・シード 人事顧問
株式会社ポニーキャニオン 人事アドバイザー
中小企業診断士
Certified ScrumMaster認定スクラムマスター
1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し現在に至る。
20年以上、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、書籍、人事塾などによって、企業の人事を支援している。主な著作に『図解 人材マネジメント入門』、『図解 組織開発入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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