1on1ミーティングの道具箱 - 第15回 プロのメンターが1on1のヒントとコツを紹介するシリーズ 道具:承認・勇気づけ
承認とは?1on1で積極的に活用したい承認とは?困難の克服を支援する勇気づけとは?承認の前に一人ひとりを見る/知る/合わせるのをゆがめるのは?成長と自律、ラポール形成へのヒントとコツをご紹介します。
継続的に結果を出していくには、粘り強さが必要です。
この記事を読む「3分ルーティン」を
ご一緒に続けながら現場で実践していきましょう。
「1on1ミーティングの道具箱 」シリーズ 第15回
現在地
はじめに
私たちは人生経験から身についた
よくない習慣に戻ってしまうこともしばしば。
それは自然なことであり、私を含む誰でもあること。
「1on1ミーティングの道具箱」シリーズで大切なことはこの3つです。
全編でご紹介する道具(方法、スキル)をジム通いをするかのごとく
一つひとつ職場で実践しながら鍛えていきましょう。
ラポール・心理的安全性を形成する
マネジャーとリーダーの違い
企業の継続的な成功、成長に不可欠なマネジャーとリーダーの役割。
ある時は、マネジャーだったり、リーダーだったり… ⁇
そもそもマネジャーとリーダーの役割は、何が違うのでしょうか。
諸説ありますので、極めてザックリとご説明します。
企業の中では、
成果を生み出す能力を持つリーダーと、
組織をマネジメント/管理する能力を持つマネジャーという
“2つの役割”を一人の人間に求めるケースが多くあります。
「今はリーダーとして振る舞おう」
「この場面はマネジャーとして判断しよう」と認識を切り分けて、
対処するようにするくらいでよいでしょう。
❕ リーダーやマネージャーなどの志向は、立場や環境によって大きく変化
する可能性もあり、それぞれのイメージは人それぞれに違うでしょう。
「~であるべき、~でなければ」 は、行き詰ります。
本シリーズでは、マネジャーの役割を基に構成しています。
マネジャーとして
・一人ひとりを観察
・一人ひとりの個性の違いに注目
・一人ひとりが成功できる将来計画を立てる
一人ひとりの個性の違いに、肯定的に
目が向けられるにはどのようにしたらよいのでしょうか。
まず、
「一人ひとりを見る、知る、合わせる」をゆがめてしまうのは
何かを考えてみましょう。
「一人ひとりを見る、知る、合わせる」をゆがめるのは
わたし達は、相手を客観的に観察しているつもりでも、自分が価値を
置いていることのみに注目してしまいがちです。
自分自身をを基準にして相手を見ると、その基準に合わない場合、
その人が持っている ”強み” を見落としてしまうこともあるでしょう。
結果として、その人を承認することも難しくなります。
自分の基準を脇に置いて、
相手を知り、その人特有の ”強み” に目を向けることが重要です。
※ 第4回・第5回「考え方のクセ・思い込みの解消」をご参照ください。
第3章 1on1ミーティングを立ち上げ、粘り強く継続する
前回の # 14 "Quiz & FUN"
この問いを考えながら自身の1on1ミーティングをふり返る。
承認する・勇気づける
承認する
❕=ポイント/注意点
1on1ミーティングにおける「承認」とは、判断することでも、
許可することでもなく、その人の行為を肯定的に認めること。
この意味における「承認」を、英語では
「アクノレッジメント (acknowledgement) 気づいたことを伝える」と表現。
「承認」とは相手の存在や強み/成長/変化に気づき、それを相手に伝える。
わたし達は誰かから認められたり、ほめられたりすると、
ポジティブな気持ちになり、考え方や行動も前向きになります。
わたし達の中には「認められたい!」という承認欲求があるからです。
人間の欲求(ヒューマン・ニーズ)には優先序列の階層が存在することからマズロー(米国心理学者)は、「欲求階層説」を提唱。
マズローによれば、”生理的欲求” が充足されると ”安全欲求” が出現する
という関係性を持ちながら、ヒューマン・ニーズは一段階ずつ、
より高次の欲求へと移行。
最も高次に位置づけられている”自己実現”は、”生理的”から”承認”までの
4つの欲求を満たさなければ出現しない欲求。
❕ 初期の5つの欲求段階 (1943) は自分の利益を中心に考える利己的欲求。
これが満たされると、次は他者に対して利益を与えたいと考える
利他的欲求(社会貢献など)が出現。⑥自己超越欲求 (1971)
承認する方法をいくつかご紹介しましょう。
100点満点でなくても、達成できたことやうまくいったことは、
その人の努力の結果として承認しましょう。
わたしの1on1ミーティングやメンタリングなどで多いケース:
All or Nothing (ゼロか100か)思考の傾向が強い人は、100点満点を求めて努力する一方で、理想通りの結果が得られなかったときには「全然ダメ!」と捉えてしまいがち。それが80%達成できたとしても、100%でなければ
ゼロ点と捉えてしまうのです。
「目標まの達成まであと一歩、というところまで到達できましたね」と
承認することで、相手は「すべてがダメではなかった」と認識できます。
何を成果と捉えるかがとても重要。
❕ All or Nothing 思考の傾向が強い人は、燃え尽きてしまう傾向も強い。
ステップ・バイ・ステップで、結果承認を欠かさずに
最終目標へ近づけていく強化法「シェーピング法」を活用しましょう。
今いる段階での結果をしっかりと承認することが、その人の自己肯定感
を高めて、次の段階にチャレンジする動機づけになります。
勇気づける
人それぞれに ”強み” があります。
しかし、困難に直面すると、その人の強みが十分に発揮できなくなります。
勇気づけとは、その人が本来持っている強みを引き出し、
困難を克服できるように支援することです。
勇気づけは、1on1ミーティングで積極的に活用したい承認です。
勇気づけとは、心理学者アドラーが提唱した概念。
アドラーは、人が困難を克服する力を勇気と表現。
その勇気を補充することを勇気づけとし、
褒めることと区別しています。
勇気づけは、その人を尊重する気持ちが基本。
そのためには、
勇気づける人と勇気づけられるの関係が対等であり
相手を評価するような態度ではなく
”横から目線” を意識して
その人に対する気持ちや感謝のことばを伝えたり
一緒に喜びを分かち合ったりするとよいでしょう。
勇気づけは、条件は不要で
内発的動機づけを可能にします。
「自分がやりたいからやる」「自分が決めたからやる」という
内発的動機づけの方が強いモチベーションを維持することができ、
自分で自分を勇気づけられるようになる、成長と自律
ラポール形成へと向かいます。
いかがでしたか?
相手を尊重する気持ちが何よりも大切であり、それを伝えることも大切。
次回、8/21 第16回から
第4章「一人ひとりに合わせる」に入ります。
実践的な考え方・方法・スキルのヒントとコツをご紹介します。
「1on1ミーティングの道具箱」シリーズを通して
複雑な状況をうまく処理したり、
コミュニケーション(会話/対話)を円滑に進めたりするために
一本やりではない、成熟したコミュニケーションができる「道具」を
身につけた「フレキシブルなマネジャー」を目指しましょう。
ポイント
メッセージ
人の育て方に迷ったときは、自分に質問するといい。「この体験を通じて、相手は何を学ぶだろうか?」と。そうすれば、必ず答えが見つかるだろう。
with all of my thanks and friendship
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