図1

「美容室」から

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3点に注目したい。
 1.情報非対称性が大きい
 2.属人性を小さくし、人の技がいきる領域を強化する
 3.科学ベースの施術により、品位が安定化し、安心感が高まる。

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A 美容室というのは属人性が高い。また、消費者が自宅で実施可能なものまでパッケージされていたのが今までである。最近の早い・安いカットは、消費者が自宅で出来る部分を切り離し、最小限の操作(カット)を提供することにフォーカスしている。これにより、提供価格は下がり、品位は安定化し、属人性からも解放されやすくなる。


B 美容室に行くたびに思うことが2つある。
 
 1.カット「以外」への特化モデル
 2.カラー・パーマに対する品位を科学的に安定化させる


A 髪を切った後の「洗浄(シャンプー等)」は自宅でも可能であり、ここを削ぎおとしたり、オプション化する店が増えた。しかしながら、「髪の洗浄が自宅でできないケース」が存在する。例えば、真夏の営業外回りで汗が噴き出したときに、顔・頭が気持ち悪い。自宅に帰って洗う人は、まず、いないだろう。


B 営業にかぎらずだが、仕事で汗をかいた後にデートがあるとか、外回りの後にピシッと決めたい商談があるとか、「せめて、首より上はすっきりしたい」という需要は存在するのではないだろうか。このセグメントに対して、「短時間低価格で、スッキリと頭を洗い髪をセットしなおす」という価値を提供できないものか。カットなどはしない。首より上を短時間低価格でスッキリさせることのみを、志向していく。


A カラーやパーマは非常に属人性が高い。問題なのは、消費者が美容師に伝えるイメージが曖昧であり、曖昧同士のコミュニケーションを介すこと。そして、髪質や選択する薬剤、そして処理方法により仕上がりが大きくかわること。


B 伝達イメージについては、色見本などの小さいものでは、まだまだ曖昧である。消費者のその日の顔を写真でとりこみ、タブレット上で、消費者の顔を操作し、仕上がりを見えるようにしていくことが重要である。細かい部分も消費者といっしょに、あーでもない、もっとこー・・・と修正していき、最終的に実現したい像(カット後の髪型)を明確に共有する。


A パーマもカラーも、原理的にはそこまで複雑ではない。消費者の髪情報(太さ、硬度、弾性、色調、表面ラフネス、組成分…等)と施術(パーマやカラー)条件の与える、最終結果(どんな色、どんなウェーブになったか…など)への影響をデータベース化すれば、共有した明確な感性像と消費者の髪の毛情報とから、施術方法を逆算できる。消費者の髪情報はすぐにその場で解析可能である。


B 消費者からみれば、あらかじめ「こんな髪型にする」という明確な映像を共有しており、それを実現できる理屈も明確であるため、安心感がある。


A このような科学ベースの方法を採り入れると、属人性が小さくなるため、美容師の意義が薄まるという反論が直ぐにでるが、それは間違っており、逆である。属人性を開放できる部分は開放すべきである。即ち、人の技がでる部分に対してより多くの時間をとり、より集中できるようにしていく必要がある。これにより、消費効用があがり、効率化する。


B またこのようなデータに基づく施術を実施していくと、消費者の髪質の変化もモニターしやすくなる。「ちょっと痛んでいますね。ヘアケア(+3,500円)した方がいいと思いますが、いかがいたしましょうか?」。美容室にいくとわかるが、情報の非対称性が非常に大きい。パーマAとパーマBの価格差が3000円あって、パーマ液がどうのこうのと理由をいわれても、消費者からみればどっちがいいかなんてわからない。納得できるようなできないような説明に頷き、推奨される方を選択する方が多いものだと思う。


A 情報非対称性に対して、データベースの操作をいれ属人性を薄めていくと、消費者の不利益が小さくなっていく。これは安心感にも繋がってくる。「どれだけ痛んでいるから、薬液Aを用いたケアがいい」「結果は、XXだけ変わる」「薬液Bの場合、3,000円安くなるが、その効果が弱く、このように数日で元に戻ってしまう(というデータがある。とデータから予測できる)」。


B 多くの業界で自動化が進んでいるが、自動化の一面は、属人性を薄める作業である。これの意味するのは、属人性の高い領域に対して、より集中して時間をかけ効用をあげるということである。日常生活をみわたせば、開放可能な人依存領域が沢山ある。


/2018.01.20 JK

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