だいもん

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無題

小学生の頃、私は雨が好きだった。 お気に入りの真っ赤な傘もさせたし、黄色の長靴も可愛かった。雨の匂いは私の好きな匂いだったし、びちゃびちゃに濡れて帰ってお母さんに髪を犬みたいに拭いてもらってる時、この世で一番の幸福を感じていた。 でも雨が降ると、きいちゃんも、みえちゃんも遊んでくれなくてつまらなかった。だってこんなにも雨で外がキラキラしていて綺麗だし、いつもは賑わっている公園もひっそりとしていて、順番待ち無しでブランコも滑り台も使い放題だったし、意地悪な男子も居ないし、言う事

    • 令和のプロレタリア文学

      ふと5月中に起業したいな〜と思い立ったはいいものの、地味に登記とかもろもろ含めたらなんだかんだ10万くらいいるらしい。あとなんでか全くわかんねえけど今月のクレカ支払いが50万とかになっててワオ!ということで5月の初週に唐突にUBER EATSの配達員のバイトを始めようと思った次第でございます。 まず配達員は自転車かバイクかで選べるんですが、自転車だるいしバイクにしよ〜ということでジモティーという闇フリマサイトで魔改造されたセピアを5万円にて購入。安上がりで済んだわラッキーと

      • スピーチ

        当時でも今でも一言も頭に残っていない校長や来賓のスピーチを聞き流して卒業式をぼんやり過ごしていた。途中からクスッ、クスッ、という音がいろんな方向からしていたので、スピーチしてる来賓がいくらハゲてておもろい顔してるからってツボっちゃ失礼でしょと音がしてる方を振り向いたらみんな泣いてた。失礼なのは完全に私でした。すみませんねハゲておもろい顔してる来賓。ふと髪をかきあげるふりして右斜め後ろに座ってる朱美の方を向いた。すると予想外なことに朱美もちゃっかりハンカチを目頭に抑えて涙を堪え

        • 春が来たんだ。

          春は出会いの季節だね。なんて無邪気に君が言うから別れの季節でもあるじゃんと意地悪に言ってみると、別れの後に出会いがあるから良いんじゃん、と中々いい事いうなあと関心してしまった。しまったと言うのは彼とはまだ付き合っている訳でも無いのでそんなに簡単にドキドキしてちゃいけないのだ。ソメイヨシノが満開で街が淡いピンクに染まって、こっちの心まで浮かれてしまうから春は困る。希望に溢れて上京して来る人達の希望の多さに押し潰されそうになりながら、その大半は希望が叶わないのになと思ってしまう事

          やべえやつの頭ん中

          「大体小説や漫画の主人公ってクセがあるんだよ。子供の頃から変わってましたとか、なんか可哀想な体験してますとか、んで、普通の奴は主人公じゃないんだよ」 そう小林が力説するのを政治家の演説並にうるさいなと思いながら聞き流しながらビールを飲みながら、ながらながらながら。ながら見はいけないとそういや子供の頃言わ「おい聞いてんのかよ」「聞いてるよ。お前ウザい」「なにがウザいだよ。大切な事だぞ、俺らみたいな奴は小説や漫画の主人公にすらなれないって話だぞ。自分自身の話ですらな」そこまで話が

          やべえやつの頭ん中

          とあるカップルの日常

          「だーかーらーポテチってサラダの仲間っしょ」 なにがだからなのかわからなさ過ぎて頭が痛い。 「ジャガイモって野菜じゃん?」 うわっ正論言ってます感出してきやがった。 「それを揚げただけでなんでお菓子扱いになるんよ。可哀想じゃん」 別に何扱いでもいい。体にあんまり良くないって言っただけなのに。それに可哀想ってなんだよ。 「だから今日も健康の為に俺はポテチ食ってんのね。偉い」 …閉口。 こんな感じでいつも私と律は合わない。 律はいつも子供じみた事を言っていて、私としてはもっとし

          とあるカップルの日常

          等身大のスタンド・バイ・ミー

          深夜家族が寝静まってもなお、当時病的にのめり込んでいたFPSゲームに没頭し、敵兵を倒すことにのみ全神経を集中していた。18時に帰宅してから真っ先にPS3の電源を付け始め、夕飯を手早に済ませ、本格的にランク戦に潜り込み気づいたら時刻はあっという間に1時を回ろうとしていた。しかしクランメンバーのチャット欄は依然盛り上がりを見せており、夜が更けるにつれ士気が上がっていくのが加速するチャット欄とヒートアップする対戦相手への罵詈雑言から見て取れた。しかし当時親から再三ゲームのしすぎで注

          等身大のスタンド・バイ・ミー

          ヤンキー

          「んじゃゴラァやるんか」「やれるもんならやってみろや」 「マジで調子こいとったら殺すぞ」「はあ?お前を殺してやんよ」 うわぁ、めっちゃ蹴ってる。あっ殴った。痛そー。 あっやり返した。ギェピー。 中1の夏、田舎の小さな山村で僕は(日本ヤンキー烈伝)というタイトルの番組を観ていて、これに出ているかっこいい人達はきっとヤンキーって言うんやわと思いながら、生まれて初めてヤンキーというものを見た。テレビの中だけど。 僕は夢中でテレビを見続け、ヤンキー達の一挙手一投足、一言一句を逃さな

          ヤンキー

          内定前夜

          3回生も終盤に差し掛かり、そろそろ就活準備しなきゃだの、長期インターンが終わりそうだの、OB/OG訪問のアポが面倒と周りがちらほら言い始めているのが嫌でも聞こえて来るので、そろそろ就活に専念しないといけない時期が来たかと腹を括った。 先が見えない深夜の六畳間で、子供の夜泣きにほだされつつもまずは就活の軸を決めようと試みた。付け焼き刃で入手した情報によると、闇雲に応募する前に就活の軸を定めておくと自分のやりたいことと実際の職務内容とのズレを防げるらしい。就活サイトに書いてある

          内定前夜

          レイブンとクロウ

          「ねえ、レイブンとクロウの違いって知ってる?」ニコニコしながらキミはいった。 「どっちも同じカラスでしょ?」と私が答えるとキミは待ってましたとばかりに続けた。 「ううん、同じカラスはカラスなんだけどね。確かによく似てるけど実は違いがあるんだよ。例えばー」 キミは名も知らぬ木に何羽か止まっているカラスの群れを指差した。 「あそこに止まってるのはレイブン、こっちにいるのはクロウ。そしてあれもクロウだね。今日はレイブンはあまりいないみたい。」 私はキミが指差す方によく目を

          レイブンとクロウ

          父と裏原とsupremeと僕

          「お前裏原知ってんの?」 突然、突然だった。僕が冷蔵庫を開けてパピコを取ろうとした時、父がいきなりそう言ってきたんだ。あまり会話の多い親子じゃないから心底驚いて「知らないよ」って慌てて付け足したみたいに喋ったら「お前ちょっと座れ」って言われたもんで、僕は緊張した。僕の「知らないよ」が気に触ったんだろう、でもなんで?言い方かな、それとも知らなかった事に対してかな?そんな事言われても知らないものは仕方ないのに。 取り敢えず対面に座るのも緊張するから対角線上に座って、父の出方を待っ

          父と裏原とsupremeと僕

          ブランドハップンスタンスセオリー

          ーーーーーーーーーーーーーーーーー ペンネーム、十六夜ココさんの投稿です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 「うぇい〜おつかれい〜!みんな元気しとうと〜?」 「元気も何もありますかいな〜とりあえずはよあがりゃんせ〜」 「まあ服脱ぎますか〜ぬぎぬぎ」 「はい全裸〜優勝〜全裸監督〜」 「てか疲れた〜今日は中華丼だよん」 「いやん美味しそうはあと」 「早く食べよ〜はあと」 「はー.......」 「もう疲れた。」 「ってことで今日も仕事のストレスとか憧れの

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          はげましくんの人生相談シリーズ⑦大人の余裕を身につけるには

          「大人の余裕を身につけたいです。どうしたらいいですか」(20代社会人) ーーーーーーーーーーーーーーーーー はげましくんの回答 ーーーーーーーーーーーーーーーーー すごく難しい質問だね。 質問してきてくれた背景を色々考えたんだけど多分会社で色々あって落ち込んじゃってるのかな。それとも恋愛でやなことあったのからキャラ変しなきゃって思ってるのかな。 アナ雪みたいなノリでいやいやそんなの"Let it go!" (ありのままでいいじゃん!)みたいにとにかく自分を持つのが大事み

          はげましくんの人生相談シリーズ⑦大人の余裕を身につけるには

          患者とつくった空想世界

          「ねぇ世界のはしっこはどうなってるの?」 「すごく高い壁があって行き止まりになってるんだよ」 「それはここからどのくらい離れているの?」 「100キロはゆうにあるだろうね」 「そっかあ遠いんだね」 「遠いからはしっこなんだよ」 お兄ちゃんはなんでも知っていて頭がよくて私とは正反対に出来ている。いつも不思議に思っている事を聞くとちゃんと答えが返ってくる、便利なお兄ちゃん。 だから私はお兄ちゃんが大好きだ。 なんせ私にとって世界は不思議に出来すぎていて、お兄ちゃんが居ないと不思

          患者とつくった空想世界

          ふと目覚めるとどこかうっすら白みがかった見慣れた3畳間の居間の炬燵に横たわっており、不気味なうすら寒さで目が覚めた。流石に寒すぎるので炬燵布団をひらりとめくり目をやると奥に白い光が刺していた。布団が少しずれて隙間ができているらしく、胴周りがピンポイントで炬燵のヒーターで熱され、腰回りや特に足先がひどく冷え込んでいた。直すのも面倒だなと思いつつふとあたりを見回すといつものように炬燵の上にみかんが何個かフルーツバスケットに佇んでおり、向かいにはおじいちゃんがうんうん唸りながら新聞

          それぞれの距離②

          ① https://note.com/demonordaemon/n/nea7bb4bfcd08 皓太> はあ〜。今日も今日とて何にもすることないな。 夜の嵐にしやがれまでなにしよかな。 と思ったけど去年で嵐解散してもうたから嵐にしやがれも終わってもうたんやったわ。 ほんまに悲しい。 でも今までほんまに感謝カンゲキ雨嵐やでほんまに。 大野くんはアートに専念。 松潤とニノはドラマと映画で役者業。 相葉くんは、なんやろ。相葉くんは相葉くんや。 好きなことやって生きるんやで。勝手

          それぞれの距離②