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ふと目覚めるとどこかうっすら白みがかった見慣れた3畳間の居間の炬燵に横たわっており、不気味なうすら寒さで目が覚めた。流石に寒すぎるので炬燵布団をひらりとめくり目をやると奥に白い光が刺していた。布団が少しずれて隙間ができているらしく、胴周りがピンポイントで炬燵のヒーターで熱され、腰回りや特に足先がひどく冷え込んでいた。直すのも面倒だなと思いつつふとあたりを見回すといつものように炬燵の上にみかんが何個かフルーツバスケットに佇んでおり、向かいにはおじいちゃんがうんうん唸りながら新聞に目を通していた。おじいちゃんが常に側に置いているちびちびつまむ用の食べかけのかっぱえびせんの袋が開けっぱなしになっている。寝起きで頭が回らずきょろきょろするこちらに目もくれずおじいちゃんは虫眼鏡で一語一句逃すまいとの形相で活字を追っていた。いつもと何ら変わりなく、これからも何も予定がない休日の昼下がりの余韻に浸りつつ、二度寝を決め込もうかなそれともおやつをキッチンに取りに行こうかな、いや炬燵布団を直すのが先だなとと色々考えを巡らせているさなか、ふと窓越しに映る粉雪に彩られた冬景色が目に入った。雪を被った瓦造りの屋根はまだいいが今にも干している玉ねぎや洗濯物にも雪がかかりそうになっている。そうこうしてぼんやり外を眺めているうちに広がりゆく白銀世界はこちら側にも及んだようで知らぬ間に意識が更に霞み、完全に遠のいていった。

二度目の寝起きはどれだけ時間が経ったのか分からないほどぐっすり寝落ちしていたようだ。かなりの時間を相変わらず少しだけ冷えた炬燵で過ごしていたようで、下半身のうっすらした寒さはさらに胴回りまで侵食してきた。相変わらずおじいちゃんは目を凝らして新聞を読んでいた。寒くないのか聞こうとしたけどあまりに真剣に読み進めているものだから問いかけるのをやめた。恐らくいつものように相撲欄を見ているのだろうか。しかし相変わらず目に見える全ての景色がどこか白みがかっており、現実とも幻想ともいえない白昼夢のような世界に迷い込んでいる感覚がした。流石にそろそろ起きようかと思うも体が思うように動かない。そうこうしている間に更に眠気が襲う。何回眠れば気が済むのだろうかと自分に呆れながらも、たまにはこんな日もあっていいかなと自分に言い聞かせ、ただただ睡魔に身を委ねた。

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