マガジンのカバー画像

がん と 生きること

154
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

【コラム】医療者に性・セックス・性生活に関する相談をするときの心得

【コラム】医療者に性・セックス・性生活に関する相談をするときの心得

※今からお伝えすることは私(看護師)の経験からの一意見です。

「医療者に性に関する相談をするときの心得」とえらそうな題名をつけてしまいましたが、ラフに、でもお時間あるときにぜひ一読していただければ嬉しいな思います。

本来ならば患者さんが医療者に対して「これって聞いてもいいのかな」と遠慮することは、できれば避けなくてはなりません。

しかし「忙しそうだな…」とか「なんだか威圧的!」とか「このタイ

もっとみる
5-2:安楽死に対峙する、緩和ケアへの信頼と不信~幡野広志と会う(中編)

5-2:安楽死に対峙する、緩和ケアへの信頼と不信~幡野広志と会う(中編)

(前編から続く)

幡野広志と吉田ユカ
「吉田ユカさんとは、お会いになったんですよね」
 どうでした、印象は。と、聞いたところで幡野は、
「ええ、お綺麗な方ですよね」
 と屈託なく笑う。こういうことを言ってもまったく嫌らしくないところが幡野の、人としての魅力なんだろう。

「ユカさんががんになって、僕のことを知って、どうしても会いたいって話だったんだけど、それだけでは会えませんからね。そしたら、撮

もっとみる
病歴⑧:抗がん剤治療開始

病歴⑧:抗がん剤治療開始

退院して、一週間もたたずに、再び入院した。
抗がん剤治療の初回のためだ。
新しい髪形は、病棟や緩和ケアの看護師さんたちが驚かせた。
それが結構、楽しかった。

入院した日に、薬剤師さんから使用する薬剤と副作用などの詳細なインフォームがあった。
初日には、まず、吐き気止めの経口薬が処方される。
点滴の内容は、抗がん剤が2種類、それに、吐き気止めと、過敏症を抑える薬が加わる。
抗がん剤には、アルコール

もっとみる
病歴⑨:髪が抜ける

病歴⑨:髪が抜ける

1回目の抗がん剤治療で大きなアレルギー反応を示さなかったことから、続けてやっていくことになり、早くも次の週には2回目の点滴を受けた。
2回目であっても、2-3日前から不安感が高まり、過呼吸を起こすのではないかと思うことが何度かあった。
3回目の時には、パートナー氏が付き添ってくれたが、その時に抜け毛が増えていないかと指摘された。
それまで自覚はなかった。
ちょうどその頃から、脱毛が始まった。

もっとみる

望まない延命と結婚式の狭間で

新型コロナウィルス感染症の影響で、3月末までに予定されていた学会、セミナーなどが、次々と中止、延期になっていきます。

対応にバタバタしつつも、遠方に出かけることが無くなり、心身は少し楽である日々です。

3月にNPOとして設立から丸5年を迎える希望の会。

この時間は、初心、今までの日々、そして、これからをみつめる機会なのだと思います。

【結婚式を楽しみにしていた人】希望の会の会員で、4年前の

もっとみる

望まない延命をさせる家族に罰則をへの危惧

SNS上で『本人の希望ではない延命をさせる家族』という言葉を目にして

胸が塞がる想いがしました。

以前、テレビの特集でも、家族が過剰な延命を申し出ているというような内容に取れるものがあり、その時も同じ不安を感じました。

罰則を決めれば解決するという意見を目にしました。

虐待、犯罪という言葉…

確かに、本人が望まないことをするべきじゃないし、本人の人生です。

ただ、家族も衝撃を受けて混乱

もっとみる
5-1:安楽死に対峙する、緩和ケアへの信頼と不信~幡野広志と会う(前編)

5-1:安楽死に対峙する、緩和ケアへの信頼と不信~幡野広志と会う(前編)


「幡野さんの病状は最近どうなのですか?」

 今日もある人から尋ねられた。
「幡野さんはいまどうしていますか?」と聞かれることもある。知っているはずがない。だから僕は、彼の担当医じゃないんだっつーの……。と思いながらスマホのカレンダーを繰ると、最後に会ったのは2か月前。そしてさらにその2か月前にも会っている。そして今月はもう3回も会う予定が入っている。
 なんだ、たしかに外来の患者さんと同じくら

もっとみる
4:スイスに行けない

4:スイスに行けない

 宿題になっていた、吉田ユカの病名「複雑性PTSD」。初診の時に紹介状に書かれていたものの、どんな症状や病態なのかわからなかったのだった。PTSDなら知っている。日本語では「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれ、1995年に発生した神戸の大震災のあとに大きな問題となったものだ。その定義は、国際疾病分類であるICD‐11によると

非常に脅迫的または恐ろしいイベントの暴露後に発症する可能性のある精神的障

もっとみる
病歴⑦:抗がん剤治療に向けて

病歴⑦:抗がん剤治療に向けて

前回の記事に書き忘れたが、退院前の術後治療についての話し合いの場で、医師からは抗がん剤の作用と副作用の説明と、抗がん剤では腫瘍は減らせるが消えないことも説明された。
抗がん剤がどんな風に作用するのかと言えば、その時の説明を覚えている通りに書くが、細胞分裂が活発な場所に作用するのだそうだ。細胞分裂が活発な場所は3か所。1つはがん細胞、2つ目は毛根、そして、3つ目に骨髄である。
がん細胞の細胞分裂を、

もっとみる