向かいの人 観察日記(仮) ハルミさんが退職する
職場で向かいの席に座るハルミさん(もちろん仮名)は、感情表現が豊かな人だ。
わたし(石崎秋子)から見てそれはオムツのない排泄行為、「おもらし」である。
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ハルミさんを観察するようで
臭いや音、表情でおもらしに気が付くと、心のおしりふきが自動反応してしまうわたしを観察する日記。
2020年8月に書き始めた「向かいの人 観察日記(仮)」
前回、続報を書いたのは
2020年10月29日。
あれから約1年半がたった今週あたま。
その知らせは突然だった。
月曜恒例のミーティングで、わたしより10も年下の専務から
「来月いっぱいでハルミさんが退職されます。まだ一ヶ月ありますから理由は本人が話されると思います。」
と報告を受けた。
当の本人は来客対応で席を外しており、そのほかの人の頭の上には透明な
「え」
が浮かんでいるような気がした。
もちろんわたしの上にも、である。
要するにこのことを、誰も知らなかった。
ようなのである。
事務所に戻ってきたハルミさんに専務が
「退職の件みなさんに伝えましたので」と言うとハルミさんは
「あ、はい、ありがとうございます!」と元気に答えたけれど、その後本人の口から続報が語られることはなかった。
ハルミさんが退職する、と聞いた時
わたしは驚きとともに素直に
「嬉しい」と思った。
わたしは
感情的な人が、そういう人がいる空間が嫌いだから。
でも
そう思った途端にも
いいや、ハルミさんだって悪気はないんだから!
わたしはなんて酷いことを考えるんだ!と
喜びとは相反する思考がわっしょいと浮かんでくる。
でも
「悪気がない」っていうのは
自分の気持ちを伝えたうえで相手が返す言葉
またはその逆(相手に伝える言葉)であって
湧いた感情を無理に落ち着かせるため、自分や誰かを黙らせる・・我慢させるために使うものではないよね。
だからわたしは
思い切り大げさに喜ぶことにした。
なんなら仕事帰りにケーキでも買おうか、と思ったほどである。
(結局お菓子にとどめた)
そして夕食後にお菓子を食べながら、にやにやした。
何度か相談もしていた娘にLINEをして、ハルミさんの退職を「嬉しい!」と伝えた。
いくら成人していたって子供にそんなこと言うなんて・・
という気持ちもよぎったけれど
娘からの返信は
そうだよ。
「好きなものは好き」と言える気持ち抱きしめるなら(「どんなときも」からの引用)
「嫌いなものは嫌い」と言う気持ちだって、ちゃんと抱きしめてやろうじゃないか。
わたしがわたしらしくあるために。
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