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大東京の小さなお庭|山本ムーグと楠見清の往復ダイアリー

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山本ムーグ(バッファロー・ドーター)と楠見清(ロックの美術館)による交換日記。音楽、アート、自然や日々の生活についてとらえどころのないものを交わしながら明日の準備をしていきます。
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2020年4月の記事一覧

2020年4月29日早朝 捨てることって、残した者を、より愛すること、なのかな

2020年4月29日早朝 捨てることって、残した者を、より愛すること、なのかな

楠見 清さま

整理収納、おつかれさまでした!
ところで、その中型のダンボール18箱って、なんて素敵なタイムカプセルなんでしょう!近未来の美術と音楽が好きな少年が、その箱を開ける瞬間を想像すると、胸が高鳴ります。

で、僕は実は処分するのが大好きで、それは、捨てるっていうより、煮詰める行為なんです。たとえばレコードなんかも、買う時点で、かなり絞ってるし、それだけで結構濃いレコード棚になってるんです

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2020年4月28日曇り時々雨。CDと青葉をザクザクと刈り取ったら

2020年4月28日曇り時々雨。CDと青葉をザクザクと刈り取ったら

山本ムーグ様

 まず冒頭の写真はiPhoneをポケットにしまうとき偶然撮れた散歩中の犬の駆け足の様子。あとで見てこれは撮った覚えがないので妙な気分に。でもちょっと未来派ぽいので貼っておきます。

 さて、レスポンスが遅くなってすみません。ここ3日間雑誌の記事を書いていたので。原稿仕事があるとどうしても日記とか手紙とか自分にとってピュアでありたい文章は手がつけられない。でも今日ようやくまとまって編

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2020年4月25日は晴れ、でしたね。で、もうゴールデン・ウィークに入っちゃってるの?

2020年4月25日は晴れ、でしたね。で、もうゴールデン・ウィークに入っちゃってるの?

楠見 清 さんへ

今回のお便りは、なんだか胸にすっと染みてきて、それこそ、感情移入してて、いつもながら情報は多いんだけどw、少し離れたとこにいる楠見さんが、こちらに向かって発信してるかんじが、ほんのり、伝わってきてて、それこそ、オザケンがつぶやいたところの、Human Distance みたいでー、えー、あー、いまはそんなきぶん、です!

https://lovegreen.net/garden

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2020年4月25日晴れ。アローンは状況で、ロンリーは心境。いまみんなどっちなんだろう?

2020年4月25日晴れ。アローンは状況で、ロンリーは心境。いまみんなどっちなんだろう?

山本ムーグ様

 ムーグさんの「今何してる? ぼくはメトロポリタン・ミュージアムでリヒターをひとりじめしてきたよ」という短いポスト、面白かったです。ゲルハルト・リヒターの作品ももちろんすごいですが、美術館で作品が見られない状況で、The Metが閉鎖中の展覧会をヴァーチャル公開しているのも面白いし、あの大きな会場にムーグさん一人しかいない光景を想像したら奇妙な夢のワンシーンのようでなんだか妙におか

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芝生の復讐|Revenge of the Lawns

芝生の復讐|Revenge of the Lawns

これはリチャード・ブローティガンの短編のタイトルで、読んでみたら予想したものと違ってたけど、いまでもすごく気になる表題に、相変わらず影響されてて、だから、いつか『嫌いな庭』っていう文章を書いてみたいなって思ってるし、それゆえ、植木の仕事でいろんなお宅のお庭を訪ねるとき、わざと悪意に満ちた視線であたりを見回して、書き出しの2.3行を諳んじる時間があったりするという、そんな些細な出来事が、実はいちばん

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2020年4月23日たぶん晴れ。 かたち と きもち

2020年4月23日たぶん晴れ。 かたち と きもち

楠見清さん、おはよー。

えーと、何から書こうかな?あ、そうそうロニ・ホーンのこと、書くね。
あのさ、あの作品のいちばんの核ってさ、あそこに写ってる女性の表情のわずかなちがい、でしょ。で、撮影の条件や展示の仕方をミニマルにすることで、その、差異を際立たせてる。

撮影は、アイスランドで、毎日違う屋外の温泉をめぐって行われたみたいだけど、日によって、お天気も変化してて、彼女の表情がそれをダイレクトに

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2020年4月22日曇り。
            椿と山茶花と牡丹と芍薬の花を並べて想像するのは無理

2020年4月22日曇り。 椿と山茶花と牡丹と芍薬の花を並べて想像するのは無理

山本ムーグ様

 クルマ=いちばんでっかいオーディオ機器っていう話、よくわかります。僕も自宅であまり音を出せないので運転するときには音楽を聴くのが半分目的化していました。バッファローもアルバム全部よく聴いてました(大音量でかけたいときのお気に入りは断然『Pshychic』)──といまこれ過去形で書いているのは、実は一昨年自家用車を手放してしまったから。なんか急に要らない気がしたんですね。このまま無

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2020年4月20日まだ雨なの? で、散歩についてすこし

2020年4月20日まだ雨なの? で、散歩についてすこし

楠見清さま

楠見さんは今日はずっとお家だったみたいだけど、この期間でも必ずしも家から出ちゃいけない、わけじゃなくて、運動のための散歩、はむしろ奨励されてるはず。ですよね?

なので僕はこないだは、手袋とマスクで防備して、自転車で小金井公園まで漕ぎ出して、そのまま止まることなく公園内を疾走してきましたよ。   

で、いまは逆に公園とか、人が多くて、ちなみに、小耳に挟んだところでは、河川敷、が意外

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2020年4月20日雨。家で仕事をしながらふと「密です」と独り言

2020年4月20日雨。家で仕事をしながらふと「密です」と独り言

山本ムーグ様

 柿の実の味を変えないために柿の木を接ぎ木するとは初めて知りました。接ぎ木の技術って一種の移植手術のようなもの? よく考えたら僕は紙を接ぐことがあります。観音開きや蛇腹折りなど本の中で折りたたんだページを作るとき、手製本だと自分で切った紙にのりで貼って接ぎ足すんです。そうやってページや拡張するみたいに(フィルムを編集するみたいに)植物も人の手でエクステンションできる。でも、新しい葉

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2020年4月18日雨から晴れ。 植物のこと

2020年4月18日雨から晴れ。 植物のこと

楠見清さま

植木の仕事をはじめてから、かれこれ4年を過ぎたんだけど、じつは、まだ、植物のことなんて、ほぼわかんなくて、、、だから、なんにも答えられないの。で、ほんと最近になって、植物がさ、ねこちゃんやわんちゃんみたく可愛くなってきてて、それはやっぱり、世話してると、愛着が湧いてくるでしょ。うん、でも、それもよくあることで、ぜんぜんふつうだー。

ましてや植物がコロナに打ち勝つなんちゃら、なんて、

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大東京の小さなお庭に

大東京の小さなお庭に

呼び出されて来たものの 人の気配がなくて ただ樹々だけが茂ってて 乾燥しかけの轍はくっきり影を落とし ほんとに近未来 核戦争後の東京みたい 「おーい、楠見さーん」 答えはない あれ? どこかで工場の機械音が聞こえる 規則的なリズムでなにかを回転させるような と思ったら それは無人の『くら寿司』の ベルトコンベアの唸りだった。

2020年4月18日雨。この非常事態は植物にとっては関係ないんでしょうか?

2020年4月18日雨。この非常事態は植物にとっては関係ないんでしょうか?

山本ムーグ様

 ムーグさん、昨日は電話でどうも。さっそくですが、交換日記? 往復書簡? ネット時代なのに適切な言葉がないけれど、とりあえずふたりでnote始めましょう。

 実はちょうど僕も誰かと文章を交わしたいと思っていたところでした。なんとなく今考えていることを言葉にして記しておきたい。やはり毎日家の中にいると日常に起伏がなくなって日にちの感覚がどんどんなくなっていくので日記をつけたほうがい

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