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2020年4月28日曇り時々雨。CDと青葉をザクザクと刈り取ったら

山本ムーグ様

 まず冒頭の写真はiPhoneをポケットにしまうとき偶然撮れた散歩中の犬の駆け足の様子。あとで見てこれは撮った覚えがないので妙な気分に。でもちょっと未来派ぽいので貼っておきます。

 さて、レスポンスが遅くなってすみません。ここ3日間雑誌の記事を書いていたので。原稿仕事があるとどうしても日記とか手紙とか自分にとってピュアでありたい文章は手がつけられない。でも今日ようやくまとまって編集者にメールしたところなので今はちょっとすっきりしています。

 コロナの影響でいろいろあって執筆にやたら時間がかかる。ずっと机に座って原稿だけ書いていられればいいのだけどそうもいかない。いま家族全員自宅にいるので先週から部屋の片付けや模様替えなどをしていて、ついに棚にある僕のCDをすべてダンボール箱に梱包することに。数えたことはないし数えるつもりもないけれど結構たくさん(中型のダンボール18箱分あった)。捨てないけれどしまっておくことに。家にいる十代の子どもはCDなくても音楽聴けると思っているから(しまう前に「なんでもネット上に音源があると思うなよ!」とちょっと毒づいてみたけど)、家族みんなの圧力でお父さんのCDは箱の中へしまわれることになった。アナログ盤はかろうじてまだ棚にあるけどこれも時間の問題かな。

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 CDを箱に詰めながらときどき手を止めて盤を眺めていたら、やっぱりCDはいいなあという気がしてきて、これを箱に入れてしまうのはものすごく惜しい気がしてきて切なくなってしまったんですよ。いま若者たちがヴァイナルに続いてカセットテープ再発見とか言っているけれど、そのうちCDも本当に世の中からいったん消えてからリバイバルするんじゃないか。レーザーディスクはパッケージに魅力がなかったから死滅したけれど、CDはやっぱりジャケットデザインが凝っているものが多いから(とくに自分はそういう特殊なデザインのものを聴かないのにジャケ買いしていたし)、コンパクトディスクのジュエルケースや紙ジャケにはLPジャケットとは違うフェティッシュがあるんですよね。何しろ30年も慣れ親しんだフォーマットだし、ヒップホップもスラッシュメタルも渋谷系もブリットポップもポストロックも全部CDがオリジナルだからなあ。

 本当はCDはやっぱり背表紙を全部見える状態にして並べておくことに意味がある(たとえ聴かなくてもジャンルごとにA to Zでストックしておきたい)んだけど。とにかくこの日の作業は苦痛でさみしくなった。結局バッファロー全部(偉いでしょう?)とブラー関連(デーモン・アルバーン好きなんです)と、あとiTunesで聴くと曲間の音が途切れることを知っている何枚かのライブ盤だけ箱に入れるのをやめて本棚の方に移設して強制終了。

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 あとは、家の植木の枝が今度は隣家に伸びているのを刈り取ったり。これも家族は誰も手伝わないので孤独な作業。植物の枝や葉を落とすのもなんだかCDの整理と似ていて心が傷む。いつも自己流で刈っているので枝の張り方もきれいじゃないから自分でもあまり納得いかないせいもあるし、僕は生えたい放題生えているイングリッシュガーデンみたいなのが本当は好きなんだけどなあ(とわかった風に言っているだけですけど)。

 結局、今回は枝をノコギリでずいぶん切り落とし過ぎた。作業が終わりに近づいた頃になってようやく気がつきましたよ──これムーグさん呼んでいっしょにやればよかったなあと(笑)。

 あとはZoomでミーティングを何本もしたりしているだけで毎日があっという間に終わってしまう。コロナ自粛がいま何日目なのかもうすっかりわからなくなってしまった。昼間の日差しは明るいけれど、なんだか出口の見えないトンネルの中を進んでいる感じがします。

楠見清



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