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青少年のインターネット利用状況等

青少年インターネット環境の整備等に関する検討会報告書から

子ども家庭庁の調査及び青少年インターネット環境の整備等に関する検討会に提出された資料を読み解きます。


|青少年インターネット環境の整備等に関する検討会とは

この検討会は、平成20年9月12日 内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)の下に設置された検討会で、現在は子ども家庭庁が所管している。

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等について検討を行うことを目的に設置・開催している。

|報告書に見るネット利用状況

報告書に掲載されているグラフを見ると、ネット利用時間がそれぞれの区分が前年より増加している状況ある。
なお、グラフは分単位である。

個別に見ると
○ 高校生のネット利用時間は、6時間超え(374.2分)、前年よりも約30分増
○ 中学生のネット利用時間は、282.1分(4時間42分)であり前年よりも
    5分程度増
○ 小学生(10歳以上)のネット利用時間は、226.3分(3時間46分)で、前年       よりも13分程度増
という状況であり、青少年全体でも296.9分(4時間 29分)と前年よりも16分程度の増となっている。令和3年及び4年と比較しても利用時間が年々増加している状況にある。

検討会報告書資料より転載

|ネット利用の目的は

下のグラフのとおりで、ほぼ全ての年齢で動画視聴が90%超と最多である。
音楽、ゲーム、検索上位を占めている。
この他に「勉強をする」が小学校入学後の7歳で50%を超えており、学童にも1人1台のパソコンやタブレット端末を配備する国のGIGAスクール構想の影響を受けていることも推察されるところだ。

|自分スマホ

スマートホフォンの専用率、つまり自分専用のスマホを持っているかというアンケート結果では10歳では65%が自分専用スマホを使用しているということだ。
9歳以下でも結構専用で使用している子もいるが、「10歳」が専用、非専用の分かれ目ということになるようだ。


|SNS に起因する事犯の被害児童数は高水準で推移

近年、SNS に起因する事犯の被害児童数は減少傾向にあるものの依然として 高水準にあ るようだ。

また 、 児童ポルノ事犯のうち、児童がだまされたり脅されたりして自分の裸体を撮影させられた上、メール等で送らされる形態の児童ポルノ被害 「児童が自らを撮影し た 画像に伴う被害」の被害児童数について は、年ごとに増減があるものの、高水準で推移している状況にある。

|増加傾向にあるネット上のいじめ

文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、
 “パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる。”
という結果が認められた。

件数は、小学校、中学校及び特別支援学校において年々増加しており、高等学校においては令和2年度に一旦減少した後は横ばいとなっている。

また、ペアレンタルコントロール調査においても、保護者が心配しているトラブルとしては「SNS・メッセージアプリ・ゲームなどで、いじめや誹謗中傷が発生する問題」(58.6%)が最も多かった。

| インターネット上の違法・有害情報に対する対応

インターネット上の違法・有害情報に対応するために近年法律の改正などが行われているので概要を記載する。

○「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」の一部改正(令和3年4月28 日成立、令和4年10 月1日から施行)
発信者情報開示請求について新たな裁判手続を創設するなどの制度的見直しが行われた。
また、誹謗中傷等の違法・有害情報の削除等について、法制上の手当てを含め、一定期間内の応答義務等を課すことによる対応の迅速化、基準の策定や運用状況の公表等による透明化等が明確化された。

令和4年刑法改正
「刑法等の一部を改正する法律」が制定された
令和4年6月13 日成立したが、そのうち、侮辱罪の法定刑の引上げに係る規定は、同年7月7日から施行され、侮辱罪の法定刑が「拘留又は科料」から「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げられた。

○「性的姿態撮影等処罰法性的姿態撮影等処罰法」の成立
令和5年6月16 日 、 「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」が成立し、同年7月 13 日から施行された。
 正当な理由なく、ひそかに 、人の性的な部位や人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分を撮影した場合や、正当な理由なく、 16 歳未満の者のこれらの性的な部位等を撮影した場
合(撮影対象者が 13 歳以上 16 歳未満 のときは、 行為者がその者より5歳以上年長の者である場合に限る。)は、同法による処罰の対象となった。

|おわりに

高校生以下(17歳以下)の青少年のインターネット利用状況を、検討会報告書等からみてみたが、利用者の低年齢化が進んでいることや、教育現場における小学校から端末を1人1台使用している実態を踏まえると、青少年がインターネットを利用するのが当然の社会であり時代になってきたと感じている。

これからは、「インターネットは危険だから使用を制限する。使わせない。」と いう考え方から 「賢く正しく使う(利活用)」ということを前提とした利用教育を推進していく必要があるといえよう。

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