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人新世SF、よりも環境問題SFアンソロジー「シリコンバレーのドローン海賊: 人新世SF傑作選」

<SF(129歩目)>
たぶん、一番新しいSFのトレンド。幾つかの作品は目が覚める思い。でも、オチがつけずらいテーマと感じた。

シリコンバレーのドローン海賊: 人新世SF傑作選
ジョナサン・ストラーン (編集), 中原 尚哉他 (翻訳)
東京創元社

「129歩目」は、環境問題を考える契機を与える作品集だと思いました。
ちょっと難しいが、欧米SFの視点だけでなくナイジェリア、バングラディシュ、中国から見た環境問題が刺激的です。

東京創元社のテーマ別アンソロジーの中でも秀逸です。
私は、御多分に漏れず、グレッグ・イーガンさん目当てで手に取りました。イーガンさんはいい。
でも、他の作家の視点も刺激的です。

「エグザイル・パークのどん底暮らし テイド・トンプソン」
読後、すごく心に残った。舞台が私たちに馴染みの薄いナイジェリアのラゴスだったからか。
同じようはプラスティックのゴミの問題を取り上げた中華SF「荒潮 陳楸帆」の方がSF的な完成度と読ませる筆力はすごい。
でも、テイド・トンプソンさんの視点は刺激的
同じ問題へのアプローチと物語の仕方に、色々な国の才能の刺激がある。
この様なアンソロジーに感謝です。

「菌の歌 陳楸帆」
中国の奥地での民俗学的な刺激、そして環境問題。
とても意欲的な作品です。「エグザイル・パークのどん底暮らし テイド・トンプソン」でも記しましたが、陳楸帆の才能は独自の視点で切り取れる能力です。
欧米型の環境問題と異なるアプローチが刺激的です。
読んだ良かった。

「渡し守 サード・Z・フセイン」
階級社会と格差。この切り出し方が、あまり欧米の作品の感覚に無いと思い読みました。
サード・Z・フセインさんは、バングラデシュの新鋭の作家とのこと。
このアンソロジーを手に取らなかったら出遭えてない。
この様な出会いがあるから、アンソロジーはやめられない。
視点がオモシロいです。

「シリコンバレーのドローン海賊 メグ・エリソン」
このアンソロジーで最もアメリカ的な作品。
描かれている世界はわかりやすい。且つ「ババゾン」が登場していて、クスリとしてしまいました。
いい作品なのですが、既視感はある。

編者のジョナサン・ストラーンさんの才能を感じる。
また、よく読み込まれている。また、アンソロジーを期待しています。
良かったです。

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