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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#政治

松村圭一郎「くらしのアナキズム」ミシマ社

松村圭一郎「くらしのアナキズム」ミシマ社

アナキズムというとすぐに「無政府主義」となるが、ここいうアナキズムは全く違う視点を提供している。国家の下にあっても、決して烏合の衆にはならず、「自らの生活、公共を守るための知恵を出し、潜在力を掘り起こしていく」ことを意味している。

当然、今自分たちがもっている常識、社会における前提のようなものを根底からとらえなおす作業が出てくる。その作業を起こすための資料としてまず著者はタイやミャンマーにおける

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マックス・ヴェーバー「職業としての政治」岩波文庫

マックス・ヴェーバー「職業としての政治」岩波文庫

「君主論」にならぶ政治学のテキストである。俺が政治云々とかいうのも、ちゃんちゃら可笑しいが、参院選が近づく中、まったく無関心ではいられず、書棚にあった本著を取り出して再読してみた。

この本が出た1919年は第一次大戦に敗れた混迷を極めるドイツ。その時代に「天職としての政治家」を待望していたヴェーバーの切実さが生々しい。下記の言葉に彼の哲学は凝縮されているように感じる。

政治家の資質について考え

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木崎喜代治「幻想としての自由と民主主義」ミネルヴァ書房

木崎喜代治「幻想としての自由と民主主義」ミネルヴァ書房


この本に出会った時は「あたり!」って感じだったのを今でも覚えている。
参議院選挙でまた「その場限りの虚構を演じる政治家たち」の熱弁を聞かされると思うと気が重いが、自由とか民主主義を考え直す機会とするならいい機会かもしれない。本著はこういった問題意識に存分に多くを示唆してくれている。

著者は「勉強しない自由」を主張するある大学生の話を聞いて、反論できなかった教授の反応から、きっかけを得たという。

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オルテガ「大衆の反逆」ちくま文庫

プーチンに熟読してもらいたい一冊

オルテガは20世紀初頭に活躍した哲学者、教育者、ジャーナリストであるが、スペインではオルテガ左派、オルテガ右派がその後生じるほど影響力をもった人物だ。この著作が書かれた背景には米西戦争に敗れ、スペインのプライドがずたずたに引き裂かれたこと、第一次世界大戦後、ナショナリズムやマルキシズムの勢いがましていたことがある。しかしこういったイデオロギーは大衆の知的閉鎖性の

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