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ごまちゃん

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#マンガ

風の故郷

風の故郷

僕の部屋の前を
吹いていたすきま風が
突然なにかを思い出したらし
故郷に帰っていくのを見たよ
きっとほら
風も誰かを
愛したりするのだろうな

燦々と晴れた日
どこまでものびるまっすぐな道
メタセコイア並木が
遠くて近い歴史の数々を
おしえている

将来という
不安なひとつぶが
砂漠にある桜桃の実のように
ほんのり甘く
実ってほしい

僕の部屋の前を
吹いていたすきま風が
突然なにかを思い出したら

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追憶線にのって

追憶線にのって

ぼくがここを出ていくとき
山が風が
海が空が
時間が光たちが
追いかける
そうさここを出ていくのは
ぼくがトップバッターなのだ
だんだん景色が変わってしまって
すきな時間がほどけていく
ぼくがここを出ていくとき
朝が夜が
夕方が昼下がりが
川が森がトンネルが
追いかける
いつまでも、いつまでも
ぼくはゆっくりと
おもいだす

春よいそげよ

春よいそげよ

僕の棲む部屋
遠い遠い彼方の街
桜が舞い散る音がきこえる
僕は中学校のころに
いちばん好きだった
エッセイを
校庭で読んだことを
おもいだす

春よ あせらないでおくれ
でもすこしだけ
早歩きでこっちに来てくれたなら
僕は君とふたりきりで
話したいから

春よ 寄り道はいいけれど
迷子にはならないでおくれ
青い灯が点滅し始めた
私はしまうまに乗って
あなたの面影を感じたりする

ああ 
春よ
これ

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