見出し画像

【ビジネス書出版社社長の四方山話】本屋がいまできること

先週水曜日の朝日新聞で、ジュンク堂書店の有名書店員の福嶋聡さんが「本屋がいまできること」というテーマでインタビューを受けていました。

福嶋さんはたくさんの著書を持つ有識者で、関西出張で書店を伺ったときにたまにお会いするのですが、今度お会いしたときにいろいろとお話をしたい内容を取材では話されていました。

「書店、特に多くの本を置ける大型書店は、社会の変革器であるべきです。売上データだけに頼っていたら、今ある社会の欲望や格差の増幅器にしかなりえません」

「マーケティングや宣伝が研究され、売れる本はより多く売れるようになりました。書店現場はそうした本をさらに売れと発破をかけられます。しかし、僕は店長時代、『この本はこれだけ売れたんやったらもういいやろ』とよく言っていました。過去のデータを追うだけでは、社会の閉塞に風穴をあけるような新しい本を発見することはできないからです」

「この本が売れたから似た本をもっと作ろう、となる。でも編集者自らが価値を認められないような出版物を『売れる』という理由で出していたら、出版は衰退していくのではないでしょうか。そもそも読者は、同じような本を何冊も読みたいわけではないはずです。本当に面白い本は、どのコーナーに置いてよいかわからない本です。そうした本こそ書店の棚を作り、また変えていってくれる」

「お目当ての本を探すと同時に思ってもいなかった新しい本に出会いたい人は多いと思います。ネット上でピンポイントで検索していると世界が狭くなりますが、リアルな書棚では、知らなかったことや予想もしなかったこと、嫌いなことが、いやが応でも入ってくる。そんな迷い込む体験ができるのが本屋という場所です」

以上、一部記事を引用しましたが、他にも深く頷くことばかりのインタビュー内容でした。

技術的、経済的、人口的な変化により、書店と出版社が社会に必要とされていることは大きく変わってきています。変わっているだけで無くなるわけではありませんが、変化に対応できないと、企業としての存在が無くなることは明らかです。

各社企業理念にあるように、書店にも出版社にも社会的意味があります。企業理念や仕事の意味を再考することで、いまできること、これからできることが見えてくるはずです。

そんなことを感じさせてくれるインタビューでした。

▼クロスメディアン公式サイト


▼採用情報
クロスメディアグループでは、共に働く仲間を募集しています。詳しくは当社の採用サイトをご覧ください。