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【文フリレポ①】文学フリマ東京を終えて【出店ポイント】

文学フリマ東京レポ①

大阪に帰ってきて、もう3日も経ってしまいました。

今回の東京の旅は、新たな出会いと発見、楽しみが沢山ありました。

「やっぱり、東京はチャンスが多くあるよ」

兄は文フリの前日にそんなことを言った。
きっかけというものが沢山あるのだという。

エディトリアル演習という授業では、雑誌を作ってきた先生に大学の広報誌を作る方法を教わり実際に制作する。

その先生は何度も同じことを言った。

小説家、出版関係になりたいのなら、出版業界と繋がりを作らなければならない。ちょっとしたライティングはみんな自分の近くの小さい範囲で頼み合う。それはバイト募集なんかでは絶対出てこないし、知る術もない。
だから、まずツテの中に入り込まなければならない。

実にそうだと思う。ライティングをバイトで募るのは結構な当たり外れがあるだろうから、身近なレベルの知っている人に頼む方が楽であろう。

でも、ツテの中に入るのが普通は難解ではないか?

有難いことに私は、兄が出版業界に入ってくれたのでそれがどれだけ繋がりになるかは分からないが1つ目の門をクリアしたと言える。
しかも、有名な出版社であるからより有難い。
これは本当に恵まれている事だった。

文学フリマ当日、兄の家から出発して会場に向かった。沢山の本が入った重いスーツケースを兄が運んでくれる。めちゃくちゃ楽をさせてもらっていると改めて思った。

一般開場30分前ほどに会場に着くと、もうすでに長蛇の列が形成されていた。一般来場者がもう既に集まっているのだ。

「ここから先は地獄の暑さですー」なんていうスタッフの声が聞こえる裏側の出店者用の入口から入場した。

隣のブースの方は私の前回の記事を読んでくれたそうで、参考にしたと言ってくれた。

本当にありがたい話だ。
何かしらの足しになっていたら、と思う。

さて、私は相変わらず準備が足りない人間なので、わーわーっと急いで設営をする。

今回は、写真詩集2冊とショートショート集1冊、そしてチェキと無料配布を準備していたため、少しテーブルの上がごちゃついている。

設営が完了して、ツイートでもしようと思った頃に開場され、人が沢山入ってくる。

それはもう、びっくりするぐらいに。

この時にツイートしてからほとんどスマホを触ることすら出来ないレベルであった。
東京は怖い。

そこからはもうずっと接客の時間であった。
有難いことに私を目的に来てくれる人が少なからずいて、始めから本を売ることが出来た。

私は無料配布を500枚刷ってきた。

それがこれだ。私は今、カラータイツを愛好している。流行させたい。というより私の写真を通して好きになってもらいたい。
そして、次の文フリではカラータイツ写真集を作る予定だから今のうちに多少なりともフォロワーさんを増やしておきたい。

これは、写真学科の友人であるりかちゃんに撮ってもらったものだ。

だから、裏面は名刺のようになっている。
これは、文フリ大阪で感じ、noteにも書いた攻略法であった。文フリにおいて、客引きは難しい。そこで、無料配布を渡すことで本は買わずとも作風が伝わり、1秒でも視線を奪うことが出来る。

文フリ京都では100枚だけショートショートを載せたものを持っていったのだが、一瞬ではけた。

今回はたくさん刷ったので容赦なく声掛けをした。ビラ配りである。

「これだけ貰ってください」
「無料配布だけでも!」

そういって、貰ってくれた人に「ありがとうございます!」とニッコリする。
それは本当に心からの言葉だ。
貰ってもらえると本当に嬉しくて、嬉しくて、やったー!って思う。簡単なので!

そんなことを続けているとどうだろう。

意外とこのポストカードを見て、1回過ぎたのに「お、」と足を止めて戻ってきてくれる人が思ったよりも多かった。

そして、ポストカードを見て「素敵!」「綺麗」「可愛い」と連れの方と喋る方が結構いた。数人で来ていた人の1人に渡した時、他の人もその貰った人の手の中にあるポスカを見ようとしていた。もちろん、その全員にあげるのだがその時に「ありがとうございます!」と言って貰える。

これは、前回のショートショートでは起きなかったことだ。
今回は写真をメインに端っこに短歌を載っけるという文字情報の少ないものだ。脳に負荷をかけない視覚でパッと伝わる写真を貴重にしたからこそすぐに「素敵」だけが伝わり、目を奪うことが出来たのだろう。

そして、気になってもらえ、本を手に取ることに繋がった。

この成功に関しては、本当にりかちゃんのおかげだ。有り難すぎる。

そして、不思議なことにポストカードを一度断り私のブースを通り過ぎた後、折り返してポストカードだけを貰いに来た人がいた。とてもオシャレな古着系の男性2人にそのような行動を取って貰えるとは思わず、嬉しくなった。

このポストカードでとても大きな出会いをした。

文学フリマも残り1時間ぐらいになった頃、ある男性の方がやってきた。彼は手にポストカードを持っていて、「さっき貰ったこのポストカードが気になってさ、見に来たんだ」と言う。

「わ、そんな風に戻ってきてくれる人がいるなんて!りかちゃんありがとう!」と喜んでいた。

『何されてる方なんですか?』

「僕は本を作る人間で、前文庫本の写真集を出したんだよ」

『わー、すごいですね、素敵です!』

「(スマホで本を見せて)これ、とか、朝日の賞とってさ」

……?

……?ん??

『めっちゃいいですね!今日も出店されてるんですか?』

「いや今日は、担当の作家さんが出店してるから見に来たんよ。ケルンの会でさ」

……?!ケルンの会と言えば新川帆立さんが所属している女性作家のグループじゃんか。え、なに?

『あ、もしかして出版社の方なんですか?』

「そうそう、𓏸𓏸社で文庫作ってるものです」

そこで私は衝撃と共に、後ろに座って買った本を読んでる兄の存在を思い出した。あ、この人も出版社の人間だ。

『そうなんですね!あ、この人、兄なんですけど、この人も出版社で働いていて……』

兄を紹介して、名刺交換をさせていただいた。
するとそこには「編集長」と書いているではないか。
こんな機会は滅多にない。
兄がいなければ、名刺をいただくことも無く確信を持つことなく終わっていたかもしれない。

しかも、たまたま兄が翌日その会社さんの新卒の方とご飯に行く予定がある、と話の話題もあった。
こんなことって!

さすが、東京だ。
兄にとってもいい出来事だった。
彼もまだ新卒で、まだまだツテも何もない人間だろう。
私は、兄にそういう繋がりを作ることが出来たということが嬉しかった。

その方は私の本を買っていってくださった。
ポストカードにはこんな威力があるのかと、本当にびっくりした。

また、時間は遡る。
会場を回っていた兄と母が誰かに挨拶をしていたのが目の端に入った。
誰だろう?友達かな?

そう思っていたのだが、その人を連れて私のところにやってくると兄の出版社の文芸担当の上司であるという。
こんな広い会場で、兄とその人が出会うということは結構な奇跡に近い。お互い来ているということを知らずに長蛇の列を超えて巡り会えるだなんて、滅多にないだろう。

ご挨拶もできた上に私の本を買ってくださった。
なんて恵まれているのだろう。

私はポストカードを配ることに全力を出した。
本を買わなくてもいい。
ただ、認知してもらう。
まず、意識の中に一瞬だけでも『小柳とかげ』の存在が入ればいい。

だから、たくさん声掛けをした。
良かったらこれを!
と、配る。

それをしていると、ブースの前の道に人がいなくなる瞬間がほとんどゼロに近いため、ずっと立って人と関わっているのだ。

飲み物を飲む時間もない。
もちろん、ご飯を食べる時間もない。

なんなら、宣伝のためにツイートする、という時間もない。
母親からのLINEにも気づかないほどである。

東京は人が多いのう。びっくりやで。

レポは次の記事で。

文フリ出店攻略法

今回も『売る』という目線で、文学フリマの攻略法を考えていきたいと思います。
今回の前半戦で書いたものを再度まとめさせていただきます。

【名刺ではなくポストカード】

前回の文フリ攻略法にて、『名刺かポストカードを無料配布せよ!』と書いたわけですが、今回名刺を作って分かったことがあります。

名刺は……配布しても意味が無い……。

引きが絶望的に弱い。
私の名刺がシンプルすぎたのが問題点なのかもしれませんが、
名刺は人物の情報しかなく、
作品の雰囲気までは伝わりきらないです。

『後』には繋がるかもしれませんが、
『今』、文学フリマ会場での販売には繋がりそうにはないです。

名刺は小さいため他の本に紛れ込んでしまうのでしょう。会場ではたくさんの無料配布が配られているので、その中で紛失してしまう可能性は高いです。

そこで、ポストカードは紙が強く少し分厚いため、微妙に存在感があります。
アイキャッチとして無料配布を作るのだとしたら、情報を詰め込むのではなく、作品の中の象徴的な写真やイラストを置いて、その横に一番お気に入りで自分っぽい文章を置いたポストカードを制作するのが手ばやいように思います。

チラシなどでもいいとは思いますが、捨てやすいのでゴミとして処理されやすい可能性が高い……。

そして、私のポストカードはほぼ名刺なのです!(この記事の上の方にある写真を見てください)
裏面にTwitterやnoteなど作品を置いてる場所を書いておくと良いでしょう。
写真面は作品として完成させて、
裏面に誰のものであるかを伝える。
写真面が作品として成り立っていればいるほど、Twitterなどに戦利品として上げてもらいやすくなります。

【会場で積極的に声をかける】

今回の文フリは広すぎて音が入り乱れていましたが、私の左右前などをみても客引きのような行為をしている方は少なかったです。

他の方のレポ記事を見てもやはり、地蔵状態で作品をおすすめしようとしてない人が多かったようです。

これは、東京だからでしょうか?

私が初参加した大阪では、もうそりゃ…めっちゃ客引きをする。びっくりするぐらい商業的。
商いの街大阪、なだけある文フリです。

だから、私も「客引きしていいんだ!」と積極的に声をかけることにしています。

そこで、先程のポストカードが役に立つのです。

もし、ここで無料配布がない場合
客引き=本を買え
だと思われ、客引きをしている時点で「買わないから逃げよ」とお客さんは逆サイドに行ってしまいます。

これはとても多い。
嫌がられるのは承知の上で頑張りたいですが、ここで「無料配布だけ貰ってください」と訴えると
客引き=無料配布=宣伝だけしたい
と本を買うよりもグッとハードルが下がります。

それでも勿論、嫌がる人はいますし「そんな売りたいんかきしょ」とか「客引き怖い」と思ってる方も少なくないと思います。もしこれが半数だとしても、もう半数は「何となく貰っとこ」「まあ無料なら」と思って、貰ってもらえます。

意外と人間は声掛け待ちだったりします。
「声かけられたらちょっと見てみようかなと思ってるけど、こっちも見てない人の所には行きずらいな」と思うことは多々あります。
私たちは常に「言い訳」を求めているのです。

ナンパにおいても、一人の人に声をかけるよりも2人組の人に声をかける方が成功率が上がります。
それは、もう1人が満更でもなさそうだから、という言い訳が手に入るからです。
心理的に「自分が自分の意思でついていったというのは恥ずかしい」と感じ「友達が行きたそうにしてたから」と責任転嫁することができるなら気が楽になるというものです。

文学フリマの会場でも「声掛けられたから」と受動的にお客になるという風にしなければ、能動的に客になるのは恥ずかしいのです。

また、普通に「本を届けようとしてない人の本は手に取るに至らない」という点があります。

あの空間には、何千冊の自主制作の本があります。
出版社という本を知っている人間がお墨付き貰って出されたものしかない本屋とは違って、当たり外れの大きい界隈です。

その中で、一冊の本を取るには結構な判断が必要になります。

そこで情報が少ないものは手にとれません。

売ろうとしているという作者の態度すらも、本の情報になるのです。

静かにしている人、地蔵のブースに近づくのは覚悟が必要です。他に買おうとしている人もいない。もし近づいたら売り込んでる人より一人しかお客さんがいない可能性があって、買わずには返さんってなるかもしれない、だから怖いはやめとこうとなるのではないでしょうか?

だから!
本当にもっと声をかける、かけなくとも、
前の道を通っている人の言動を見ておくのが大事です。

ここに私はいます!
生きてます!
やる気があります!
本を届けたいです!

目線だけでも一般参加者に向けなければ、
人は声がかけづらいです。

実際にポストカードを貰って、少し速度が遅くなってそのタイミングで少し気になり、まあ見てもいいか、と思って私の本を手に取ってくださる方は多かったです。

声をかけやすい雰囲気を作るというのは本当に大事です!

他の人が見てるからサラッと見てすぐに逃げれるな、と思ってもらった方が本に目を向けて貰えます。

以上2つを先にお伝えして、次回またお会いしましょう。たくさんの出来事がありましたので、数回に分けさせていただきます。参考になりましたら、Twitterなどでシェアして貰えると幸せです。

通販もやってますのでよかったら、ご購入よろしくお願いします。

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