お題

#読書感想文

本を読んで感じた気持ちや考えたことを、言葉にしてnoteに残してみませんか?おもしろかった本の感想や学びを「#読書感想文」で教えてください!

人気の記事一覧

瀬戸内晴美「女の海」読書感想文

瀬戸内晴美を読まなければ。 のちの瀬戸内寂聴の『いのち』を読み終えて思った。 それを著す95歳の瀬戸内寂聴は、体の不調で書くこともできなくなりつつある。 ラストには自嘲する。 今まで400冊以上書いたがベストセラーがない。 もう片目が見えなくなっているし、ペンを持つ指も曲がっている。 それでも断筆することなく未練がましく書いていると、3ページほどとりとめもない。 が、最後の一文だけは力強い。 あの世から生まれ変わっても、私はまた小説家でありたい。それも女の。 こ

スキ
636

浅田次郎「天切り松 闇がたり 第1巻」読書感想文

天切りとは夜盗の手法。 深夜に大屋敷のてっぺんに上り、風に吹かれて腕を組んで、ズイッと仁王立など決めるのが劇的。 そして、瓦4枚を外して入り込んで盗る。 闇がたりとは、盗人の話法。 6尺四方から先には声が届かない。 松とは村田松蔵。 老齢の元夜盗。 9歳で盗人の一家に入った大正6年から大正12年頃までの、見たこと聞いたことが語られる。 「鼠小僧のそのまた昔、富蔵藤十郎が大内山の御金蔵からかすめ取ったる四千両。江戸の華てぇ荒芸を今日の今日まで伝えてきたこの松蔵が・・・」

スキ
613

レイモンド・チャンドラー「待っている」読書感想文

ハードボイルドの大作家とは知っている。 現代の作家にもお手本にされていて、あちこちの本の作中で紹介もされている。 1回は読もうとは思っていたけど、今までに読んだハードボイルドって、それほど好きにはなれなかったので躊躇させていた。 しかしながら。 期待してない読書のほうがおもしろい場合が多々ある。 試しに読んでみた。 この本には、5編が収められている。 4つの中編と、1つの短編。 終わりにある短編の題名が『待っている』となる。 感想テイストがちがう。 今までなんだった

スキ
299

【書評】藤本タツキ『ルックバック』-凡人として生きるということ-

はじめに3度目の正直 私が藤本タツキの『ルックバック』を読んだのはこれで3度目である。最初に読んだのは読み切りとして初めて掲載された時。当時『チェンソーマン』が話題になっていたため、この作品も大いに注目されていた。初読の感想は「面白い」であった。それ以上でもそれ以下でもなく、なぜ面白いと思ったのか追求するほど心が揺さぶられた訳でもない。 次に読んだのは『さよなら絵梨』が掲載された時である。その頃世間の注目は藤本タツキそのものに移行しつつあった。その時流に乗り、読み返そうと

スキ
252

司馬遼太郎「草原の記」読書感想文

空想に付き合っていただきたい。 という書き出し。 次に1行が空く。 モンゴル高原が天に近いということについてである。 と続く。 それからの語句のチョイスがいい。 天、空、馬、草、という語句が、モンゴル高原の様子を目に浮かばせる。 なんか詩的だ。 今回の司馬遼太郎は。 この本を目にしたときから、絶対におもしろいだろうなと思ったのは当たりだった。 というのも。 司馬遼太郎は、大阪外語学校で蒙古語を専攻していた。 作家になるずっと前から、モンゴルに興味を抱いていた。

スキ
612

又吉直樹「火花」読書感想文

読んでみると、おもしろいの一言しか感想が浮かばない。 それでは読書感想文にならないので、もっと考えてみた。 まずは文章のテンポがいい。 セリフがアクセントになっていて、読んでいて気持ちがいい。 話すことを仕事としている人の成せる技なのか。 148ページという短い物語の中に、20歳から32歳までの12年間の場面が、流れるよう書かれて収まっている。 あとはなんだろう。 以外なおもしろさ、というのはある。 ギャップというか、落差というか。 話題づくりの、陳腐なタレント本かと

スキ
713

✩ 文学夜話 ✩ ドリアン助川『太陽を掘り起こせ』の読書感想

✩ この記事は私の分析よりも本の紹介がメインなので、定期購読されていない方も全文が読めるように設定しました ✩ ドリアン助川さんの小説『太陽を掘り起こせ』(2024年3月発売)を読み、心に残る作品だったので、具体的なストーリーにはあまり触れないで(今後読まれる方のために)、最初の部分と構成と推測される作品の意図についてお話ししたいと思います。 この著者をご存じない方もいるかもしれないので、簡略に紹介しますと、小説家・エッセイスト・詩人であり、歌手(叫ぶ詩人の会)でもありま

スキ
174

本屋大賞2024

ノミネート作すべて、無事読破📚 今年はひとりで、ジュッと短期戦でした。 それもまた良きかな。読んだ順。 『リカバリー・カバヒコ』青山美智子 唯一ノミネート発表前に図書館で見つけ、1時間半で読んだ。昨年度ノミネート作『月の立つ林で』と同じ構えをもっていた。『赤と青のエスキース』『お探し物は図書室まで』もそう、もう型が決まっている。短編で、それぞれが繋がっている。誰にでもわかる。ほろほろする。それが悪い、ということがない。安心するし他の作品にも手が伸びやすい。そして今作。不安

スキ
660

東野圭吾「手紙」読書感想文

ほとんどの受刑者が読む本ではないのか? 差入れ本の中では、この『手紙』がダントツに多かった。 1週間に1冊か2冊は、差入れされてるのを見かけていた。 2年目からは図書係も兼ねていたから、この本を目にする度に『また “ 手紙 ” が入っている』とずっと思っていた。 受刑者は、差入れされた本は必ず読む。 好きじゃないから読まない、なんてことはない。 本とは、これほどうれしく感じるものなのか。 力が沸くものなのか。 いつも手にする度に思っていたし、皆の様子もそうだった。

スキ
672

創作大賞感想 めぐみ ティコに覚悟を問われる。

彼女のエッセイを読みました。このエッセイに至るまでの経過を、少しだけ私は知っています。 もし、自分の書いたものが誰かを傷つけるかもって思ったらどうしますか? これが、このエッセイを書きたいと言った最初の質問だったと思います。それと、もう一つ。 キッカケがないと書けない。 これだったと思います。キッカケというのは、もちろん創作大賞にあたります。こういうことがあってそれを理由に出来るのなら自分を出せるかもと考えたのだと推察しました。彼女は以前から不妊治療を挫折したその後の

スキ
137

シュガーバーニングからファットバーニングへ 第918幕

本日は、ヘルスドクター アイザック・H・ジョーンズさん著(医学博士 白澤卓二さん[監修])の『世界のエグゼクティブを変えた 超一流の食事術』をみなさんにご紹介したいと思います。 著者である、アイザック・H・ジョーンズさんは、子供の頃発達障害と診断されたが、自然療法(砂糖を控え、良い油を摂る)で、わずか4ヶ月で特別クラスから普通クラスに入り、その後どんどん成績が上がっていき、23歳で博士号を取得、大学院を首席修了し、ファンクショナルメディスン(機能性医学)のドクターとして活躍

スキ
182

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』|読書とはノイズである

映画『花束みたいな恋をした』を下敷きに、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を論考していく一冊。サブカル好きが高じて付き合うようになった麦(菅田将暉)と絹(有村架純)。しかし、社会人となって働くようになってから、麦はサブカルから離れていってしまう。そこから着想を得て書かれたのが本作らしい。 日本の読書史を振り返っていく構成がすごい。印刷技術の発展によって本が市民のもとに明け渡されてから、現在に至るまでの日本国民の読書の変遷を描いてくれる。見えてくるのは、本とともにいつも

スキ
333

『ライ麦畑でつかまえて』(The Catcher in the Rye)J.D.サリンジャー ~ここは、「勝ち負け」を決めるための場所なんかじゃない!                                      

今回は、昨今では村上春樹氏の翻訳でも知られる、「ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)」(1951)を取り上げます。 すでに多くの評論や解釈が行なわれてきた作品なので、ここでは特に個人的に印象に残った人物や場面などを挙げ、感想は末尾で少し述べるにとどめておきます。 尚、記事内の日本語訳の一部は、野崎孝氏版(白水Uブックス)をベースに少し調整を加えさせていただいております。 クリスマス前夜、ある少年の孤独な三日間 まず、作品の概要をまとめておきます。 主

スキ
415

色ならターコイズブルー

レーダーチャートが好きだ。来世でグラフに生まれ変わるならどのグラフになりたいかと問われたら「レーダーチャート!!!!」と喰い気味に答える準備があるくらいにはレーダーチャートのことが好き。ちなみに「来世で生まれ変わるなら」シリーズに対するわたしの回答、家電なら「炊飯器」、卒業式の歌なら「巣立ちの歌」、ふりかけなら「混ぜ込みわかめ」です。よろしくお願いします。 おいおいおいおい、急に「レーダーチャート」なんて横文字を出して、置いてきぼりにしてくれるなよ。わかります、そのお気持ち

スキ
200

「2030年の東京」を読んで

「2030年の東京」読了致しました。不動産プロデューサーである牧野氏と、「未来の年表」でお馴染みの河合氏のおふたりが、2030年の東京における予測と課題、提言をセットにアツい対談を繰り広げている本です。文庫本200ページ未満、半日もかからず読み終えるのに、内容が濃密でついつい夢中で読み進めてしまいました。 仕事、家族、街、暮らし、老後の章にわかれています。どの章も旧来の社会における価値観の転換が必要と説いていて、特に東京における社会のあり方を変える必要があると。 終身雇用

スキ
139

【QOL爆上がり】私の人生を変えた本ベスト5

突然ですが、皆さんは本を読む習慣はありますか? 私は学生時代の頃は全く本を読む習慣がなく、自堕落な日々を送っていました笑 就職活動を始めてから、 「やべぇ!自己研鑽しなきゃ!本読まなきゃ!」 と思い立ち、本を読み始めました。 読んでいて「面白い!」と思う本がたくさんあったので、今でも読書する習慣は続いています。 そこで今回は、私の人生を変えた本を5冊ランキング形式で紹介していします。 第5位 第5位は 「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教

スキ
114

【読書】覚悟の論理 

どうもVISION合同会社植田仁です。 同志社大学を卒業し、味の素株式会社に入社、26歳で起業しました。 キャリア、経歴を積んでいく中で、読書は本当に大切だと感じています。 石丸伸二氏の著書「覚悟の論理」は、 彼の安芸高田市長になるに至った経緯や、その際大事にした 哲学やリーダーシップの信念を詳細に綴ったもので、読み応えがありました。 明確なビジョンと使命感「覚悟の論理」は、石丸さんの強いビジョンと使命感に満ちています。 彼は、市長としての役割を単なる職業ではなく、社会に

スキ
283

読書日記|港町食堂

 奥田英朗さんの紀行エッセイを読みました。飛行機ではなくて、船で長旅。そこから港町で美味しい魚料理を食べたり、ママさんのいるスナックへいったり。キラキラ旅行エッセイぽくないのがいい。  本の中で私も気になる福井敦賀の記載もあって、旅の予習になりました。私は船旅ではなくて、おそらく電車の旅になるかと思います。でも市場の情報などは、大変役に立ちました。  ここでおいしいお魚料理が・・・。お得情報が知れると、自然と笑顔になりますよね。洒落た旅行雑誌とは、ひと味違う切り口の展開が

スキ
75

『空の絵本』読んだ本 ご紹介!

素晴らしい絵本なんです。 荒井良二さんの、空の絵が、ページをめくるたび、ほう、、、とため息が出ます。 長田 弘さんの文章… 詩? もステキです。 全文、書き写したくなりますが、私の一番好きなところは、嵐を表現した描写の後の 。 。 。 この文と絵の見開きページは、本当に美しいです。雨上がりの明るくなってゆく空と、雨に濡れて、洗われたように、緑の草花や木々が自然の薫りを放つかのように、光を受けて、新鮮な空気感を現しています。 。 。 。 この見開きページは、山並みの緑色と、

スキ
107

【読書】いざってときの捉え方を学ぶ

VISION合同会社 植田仁です。 様々なかたとお会いし、その方のご経歴やキャリア、今何を大事されているかを知ることはとても学びになります。 講演会を開くときにもその学びを分かち合ったりしています。 今回の読書。 著者はクイズがお好きなだけあって、本の読み方進め方もクイズ形式でとても興味深く、一気に読めました。 一流は何を考えているのか その他大勢から抜きん出て、圧倒的な結果を生み出す「唯一無二の思考」著者 西沢泰生氏特に私が学びとなったものを抜粋して取り上げたいと思いま

スキ
667