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反響が大きかったもの

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これまでの記事のなかから、反響が大きかったものを集めました。 スキが多かったもの、コメントをたくさんいただいたもの、ビュー数が多かったものを中心に選んでいます。
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#思い出

あの夏の悲しみについて思うこと

あの夏の悲しみについて思うこと

7月が来るといつも、祖父をなくした夏を思い出してしまう。

父方の祖父母は、認知症の初期症状が認められた頃、わたしの実家に同居するようになった。わたしは小学校高学年だったと思う。

認知症はあっという間に進み、大好きな祖父が弱々しくなっていくさまをわたしも苦しみながら見るほかなかった。そして、祖父は最期を老人ホームで迎えた。

中学校の期末テストを受け終えたところで、担任の先生に呼ばれた。

「お

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おまもりチーク

おまもりチーク

わたしがチークブラシを握ると、娘たちが寄ってくる。

朝、彼女たちが起きる前にお化粧を済ませておくようにはしているけれど、ときどき寝坊してしまう。とくに春休みになってからは。

去年の春、マスク着用が自由化されたことを受け、チーク(頬紅)を新調した。

シャネルの定番品「ジュ コントラスト」。発色がよく、ささっと撫でるだけでも頬が色づくので重宝している。手持ちのチークのなかでメインを張る存在だ。

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きれいごとの効能

きれいごとの効能

「ん? そいつぁ聞き捨てならねえな!」。思わず、時代劇に出てくる人物みたいなセリフを口にしそうになった。

ちょっと単価の高い喫茶店でコーヒーを飲んでいたときのこと。私は人と待ち合わせをしていて、コーヒーの値段にそわそわしながらカップを持ち上げていた。お、お高いわ……。

近くのテーブルに大きな声で話す男性がいて、いやでも会話の内容が耳に入ってきた。

「世の中の人間は80%がアホ。そのアホをどう

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後悔と、心のこりと、優しさと。

後悔と、心のこりと、優しさと。

優しさにふれて感激したことがたくさんある。私はたよりない人間なので、ときどき心優しい人が助けてくださる。見ていられないほど危なっかしいのだろうと、反省してばかり。

なかでも、6年前の妊娠中は接する人みんながあたたかかった。あの優しい世界に身を置けるなら、もう一度マタニティライフを送ってみたいと思うくらいだ(思うだけ)。

とはいっても、妊娠初期はつわりがひどく、吐き気をこらえて涙目で通勤していた

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