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僕は君になりたい。

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自作の小説をまとめています。連載中です。 美少女アイドルとして奮闘する男子中学生の葛藤の日々を描いています。不定期ですが、月2話ほどのペースで投稿しています。
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記事一覧

僕は君になりたい。 第34話「告白のリミット そして僕は2月を迎える」

僕は君になりたい。 第34話「告白のリミット そして僕は2月を迎える」

#34

一つの使命を果たしたことには間違いない。

僕は、メンバーたちに「8月31日で卒業する」ことを伝えたと、誠さんに報告した。

「そっか…、ご苦労さん。何か言われたか?」

「いや。むしろ、淡々としてた。まあ、仕方ないことだもんね…オレのことバレたら、皆んなだってヤバいんだし」

「…まあ、そうだな」

誠さんは、少し心ここに在らずな様子で、書類を眺めながら僕の話を聞いていた。

「誠さ

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僕は君になりたい。 あらすじ

僕は君になりたい。 あらすじ

中学2年の4月1日、榊原流伊はたまたま誘われて見に行った、地元アイドルグループ「あじさいガールズ」で1番冴えないメンバー黛薫ことカオルンのステージ上の姿に心を奪われるが、数日後、カオルンが救急車で運ばれたことを知り、居ても立ってもいられず、情報を得る為、また彼女に会うため、彼女の所属する芸能事務所のオーディションに"女装"で受けに行く。当然男子の自分が本当に受かるはずがないと思っていたのに、社長に

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僕は君になりたい。 第33話「告白のリミット 終わりの日を告げる僕」

僕は君になりたい。 第33話「告白のリミット 終わりの日を告げる僕」

#33

今朝、歯を磨きすぎてしまったようで、まだ歯茎が痛い。先程からずっと歯茎を舐めている。

それというのも、この緊張のためだ。

先日、言いそびれた話をしたい、と久々に自分からメールを送った。
改まった場を設けることを、何となく避けていた。勢いで済ませたかった。
が、それは皆を動揺させるだけだと前回のことで悟ったので、あらかじめ大事なことを言うというスタイルで望むことにしたのだ。

学校の

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僕は君になりたい。 第32話「告白のリミット 心が折れた僕と初デート」

僕は君になりたい。 第32話「告白のリミット 心が折れた僕と初デート」

#32

1月も半ばを過ぎた。

あかりが、療養から戻ってきた。

1週間ぶりだったが、あかりが倒れたのは、冬休みを終えて、今年まだメンバーでのレッスンもわずかしかしていない頃だ。
ゆえに、なんだか久しぶりに会う気がした。

僕が綾香から聞いた彼女の僕への気持ちについて、僕のほうから問いかけることはないと思う。あかりもまた、それを今更声に出して僕に告白することはないだろう。

そう。

彼女は僕に

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僕は君になりたい。 第31話「告白のリミット 手紙を読んで自分と向き合う僕」

僕は君になりたい。 第31話「告白のリミット 手紙を読んで自分と向き合う僕」

#31

土曜日の朝、僕は事務所脇の花壇の周りにできた霜柱をザクザクと音を立て、踏み潰しまくっていた。
誰も見ていないのを確認してから、むき出した白い歯みたいな霜柱の島々をゴジラみたいに粉砕して回った。
ガキな遊びをしていると思われたっていい。この行為は今の僕にとって、単なる遊びではない。

あかりは大事をとって、約1週間の休みを取るという。

「なにしてんだ? お前」

ビクッとして、顔を上げ

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僕は君になりたい。 第30話「告白のリミット 乙女心に動揺する僕」

僕は君になりたい。 第30話「告白のリミット 乙女心に動揺する僕」

#30

あかりが、倒れた⁈

どうして?

「…発作が、出ちゃったんだね」

ポツンと、美咲がつぶやいた。
その瞳には、暗く濃い影が落ちる。

「発作?」

僕が訊ねると、美咲はため息をつき、僕と西山先生を交互に見ながらうなずいた。

「あの子、てんかん持ちなんだって」

「てんかん…って?」

「まあ、脳神経的な病気らしい。あかりの場合、興奮しすぎちゃうと、もう突然身体が硬直して気を失っちゃ

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僕は君になりたい。 第29話「14歳のハート 仕事始め、僕の歌声に酔えって?」

僕は君になりたい。 第29話「14歳のハート 仕事始め、僕の歌声に酔えって?」

#29

僕らは、有名なカメラマン柳生至成氏に写真を撮ってもらった後、本日メインの仕事である、レコーディングのスタジオに向かった。

軽い発声練習を合同でやった後、僕らは別々のブースに入り、それぞれのソロをリハーサルした。
これには花岡先生も同行し、美咲、僕、綾香、あかり、の順で稽古をつけてくれた。

なぜこの順番なのかといえば、バラード、ソウル、ロック、ポップス…とだんだん曲調が速くなるからだ

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僕は君になりたい。 第28話「14歳のハート 新年早々、僕の三角関係って」

僕は君になりたい。 第28話「14歳のハート 新年早々、僕の三角関係って」

#28

年が明けた。

近所の「邑木八幡神社」に初詣した。
大きくはないが、この辺りの神社といえばこの神社で、昔から「むらきさん」と呼ばれ、親しまれていた。
僕と高柳は、それぞれ親に頼まれて持参した去年の御札や御守をお焚き上げ所に預けてから、参拝の列に並んだ。
まだ午前中だったが、もう100人は下らないであろう参拝者が列を成していた。

「…普段はだれもいなくてしーんとしてんのに、やっぱ、正月

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僕は君になりたい。 第27話「14歳のハート 恋を知った僕の落ち込む年末って…」

僕は君になりたい。 第27話「14歳のハート 恋を知った僕の落ち込む年末って…」

#27

恋? 恋?

僕は、綾香に恋してるのか?

心の中で、僕は1人キョロキョロと「恋」というものを探していた。

綾香の顔が浮かんでくる。

それ以外の人は、浮かんでこない。

カオルンは僕の中で既に「憧れの人」というカテゴリーに分類され、「好き♡」なんて言うのは畏れ多いため、恋愛の対象ではないようだった。

マジか…。

僕の中に「あり得ないことベスト10」があったとしたら、その上位をか

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僕は君になりたい。 第26話「14歳のハート 不機嫌な僕の最近の悩みって…」

僕は君になりたい。 第26話「14歳のハート 不機嫌な僕の最近の悩みって…」

#26

撮影時に、僕がスマイルを要求されたのは、最後の1枚だけだった。
コンセプトの中に「ゴシック」の重々しい感じと気高さ、精巧な装飾人形、無表情、などという要素が含まれていたからのようだ。

みんな陶磁器のような白い化粧をした。少し色黒の美咲は首まで白く塗られていた。

なのに、僕だけはいつもと殆ど変わらない薄化粧に薄い頬紅まで差された。
そんなに僕の顔は蒼白としていたのか?
先日の嘔吐から

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僕は君になりたい。 第25話「14歳のハート ゴスロリでも可愛い僕って…」

僕は君になりたい。 第25話「14歳のハート ゴスロリでも可愛い僕って…」

#25

トイレの鏡を覗くと、おしろいを塗りたくったわけでもないのに、僕の顔は真っ白で唇は真紫色になっていた。頭はフラフラし、身体は力を失ってペラペラな紙人形みたいに倒れそうに揺らぐ。

蛇口を捻って、口の中をゆすいだ。

まだ少し気分が悪い。

「……くそっ。何なんだよ、オレ」

冷たい水で顔を洗った。水飛沫が胸を濡らした。

胸くそ悪い。

とんだ、恥をさらしてしまった。

鏡の中の自分を、

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僕は君になりたい。 第24話「聖夜の夢 聖夜の僕は主役になれた?」

僕は君になりたい。 第24話「聖夜の夢 聖夜の僕は主役になれた?」

#24

メンバーたちから、プレゼントをもらった。
『のどケアセット』だという。
吸入器とハチミツとのど飴だ。カンパして買ったらしい。

それと、個々からもそれぞれもらった。

美咲は、紺の手袋とペンケースだった。なぜその組み合わせになったのかは分からないが、ペンケースは汚れてきていて、そろそろ買い替えようと思っていたのでちょうど良かった。デニム地の丈夫そうなものだ。

あかりは、陶芸教室で作っ

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僕は君になりたい。 第23話「聖夜の夢 好きな人はいますか?」

僕は君になりたい。 第23話「聖夜の夢 好きな人はいますか?」

#23

僕は、綾香からの手紙を机の引き出しにしまった。

「はああぁ…」

大きなため息が出た。

「…昨日までと何も変えなくていいからねって、そんなの無理だろっての!」

僕は机の上に突っ伏して、独りもだえながら唸る。

「うーん…」

落ち着かず、今度は天井を見上げてのけ反っていると、ドアをノックする音がして姉が顔を出してきた。

「流伊、もう12時過ぎだよ。寝なさいよ」

「…なあ姉貴。

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僕は君になりたい。 第22話「聖夜の夢 胸がドキドキしませんか?」

僕は君になりたい。 第22話「聖夜の夢 胸がドキドキしませんか?」

#22

その夜、僕はなかなか眠れなかった。

雨を降らした雲は既に遠く、家の外は美しい星空の安らぎに包まれているはずなのに、僕の心臓はドクドクと肋骨を激しく打ち鳴らし、体中に血液を大量に流している。

布団の中で、胎児のように背を丸めてジッとしているのにも関わらずだ。
それに、暗がりの中、目はバッチバチに冴え切っていた。

…明日、大丈夫だろうか?

今日は突然で動揺もあり、何も考えられなかっ

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