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僕は君になりたい。

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自作の小説をまとめています。連載中です。 美少女アイドルとして奮闘する男子中学生の葛藤の日々を描いています。不定期ですが、月2話ほどのペースで投稿しています。
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記事一覧

僕は君になりたい。 第26話「14歳のハート 不機嫌な僕の最近の悩みって…」

僕は君になりたい。 第26話「14歳のハート 不機嫌な僕の最近の悩みって…」

#26

撮影時に、僕がスマイルを要求されたのは、最後の1枚だけだった。
コンセプトの中に「ゴシック」の重々しい感じと気高さ、精巧な装飾人形、無表情、などという要素が含まれていたからのようだ。

みんな陶磁器のような白い化粧をした。少し色黒の美咲は首まで白く塗られていた。

なのに、僕だけはいつもと殆ど変わらない薄化粧に薄い頬紅まで差された。
そんなに僕の顔は蒼白としていたのか?
先日の嘔吐から

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僕は君になりたい。 あらすじ

僕は君になりたい。 あらすじ

中学2年の4月1日、榊原流伊はたまたま誘われて見に行った、地元アイドルグループ「あじさいガールズ」で1番冴えないメンバー黛薫ことカオルンのステージ上の姿に心を奪われるが、数日後、カオルンが救急車で運ばれたことを知り、居ても立ってもいられず、情報を得る為、また彼女に会うため、彼女の所属する芸能事務所のオーディションに"女装"で受けに行く。当然男子の自分が本当に受かるはずがないと思っていたのに、社長に

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僕は君になりたい。 第25話「14歳のハート ゴスロリでも可愛い僕って…」

僕は君になりたい。 第25話「14歳のハート ゴスロリでも可愛い僕って…」

#25

トイレの鏡を覗くと、おしろいを塗りたくったわけでもないのに、僕の顔は真っ白で唇は真紫色になっていた。頭はフラフラし、身体は力を失ってペラペラな紙人形みたいに倒れそうに揺らぐ。

蛇口を捻って、口の中をゆすいだ。

まだ少し気分が悪い。

「……くそっ。何なんだよ、オレ」

冷たい水で顔を洗った。水飛沫が胸を濡らした。

胸くそ悪い。

とんだ、恥をさらしてしまった。

鏡の中の自分を、

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僕は君になりたい。 第24話「聖夜の夢 聖夜の僕は主役になれた?」

僕は君になりたい。 第24話「聖夜の夢 聖夜の僕は主役になれた?」

#24

メンバーたちから、プレゼントをもらった。
『のどケアセット』だという。
吸入器とハチミツとのど飴だ。カンパして買ったらしい。

それと、個々からもそれぞれもらった。

美咲は、紺の手袋とペンケースだった。なぜその組み合わせになったのかは分からないが、ペンケースは汚れてきていて、そろそろ買い替えようと思っていたのでちょうど良かった。デニム地の丈夫そうなものだ。

あかりは、陶芸教室で作っ

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僕は君になりたい。 第23話「聖夜の夢 好きな人はいますか?」

僕は君になりたい。 第23話「聖夜の夢 好きな人はいますか?」

#23

僕は、綾香からの手紙を机の引き出しにしまった。

「はああぁ…」

大きなため息が出た。

「…昨日までと何も変えなくていいからねって、そんなの無理だろっての!」

僕は机の上に突っ伏して、独りもだえながら唸る。

「うーん…」

落ち着かず、今度は天井を見上げてのけ反っていると、ドアをノックする音がして姉が顔を出してきた。

「流伊、もう12時過ぎだよ。寝なさいよ」

「…なあ姉貴。

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僕は君になりたい。 第22話「聖夜の夢 胸がドキドキしませんか?」

僕は君になりたい。 第22話「聖夜の夢 胸がドキドキしませんか?」

#22

その夜、僕はなかなか眠れなかった。

雨を降らした雲は既に遠く、家の外は美しい星空の安らぎに包まれているはずなのに、僕の心臓はドクドクと肋骨を激しく打ち鳴らし、体中に血液を大量に流している。

布団の中で、胎児のように背を丸めてジッとしているのにも関わらずだ。
それに、暗がりの中、目はバッチバチに冴え切っていた。

…明日、大丈夫だろうか?

今日は突然で動揺もあり、何も考えられなかっ

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僕は君になりたい。 第21話「聖夜の夢 告白してもいいですか?」

僕は君になりたい。 第21話「聖夜の夢 告白してもいいですか?」

#21

スティックティーの発売宣伝イベントが始まった。

雨にも関わらず、大勢の人が集まっていた。
彼らはてるてる坊主を作る以前に、大雨でも無関係に足を運んでくる人種なのだろう。

僕らは、商品をピーアールするコーナーで紙コップにそれぞれの味のお茶を手渡された。
美咲は『抹茶オレ』、あかりは『レモンティー』、綾香は『ピーチティー』を「美味しい〜!」「あったまる〜♡」などと感想を言いながら、一口

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僕は君になりたい。 第20話「聖夜の夢 君は僕の何を見てますか?」

僕は君になりたい。 第20話「聖夜の夢 君は僕の何を見てますか?」

#20

雨が降っていた。
しとしとと地面をじんわりと湿らせていく静かな雨だ。走る車が弾く水の音で、ようやく雨が降っているのだなと、窓から離れた室内にいた僕は感じた。

3枚目のシングルが発表されることになった。
やはり、夏、秋と出したので、冬も出すことにしたらしい。

僕は来年の秋冬はもう『星キャン』にはいないのだな…と、ふと思ったりした。

なんでもタイトルは『聖夜の夢』と書いて『クリスマス

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僕は君になりたい。 第19話「聖夜の夢 ルイボスミルクは好きですか?」

僕は君になりたい。 第19話「聖夜の夢 ルイボスミルクは好きですか?」

  #19

中間テストは、思ったほど悪くなかった。
ただあの高柳に誤りを指摘された数学の1問だけが悔しくてならなかった。

風に落葉が舞い狂う季節。

商店街をぶらついていると、偶然に美咲の姿を見かけた。
何かを探しているようだった。
「彼氏へのプレゼント?」と訊ねたら、なぜか僕に「欲しいものを言え」と脅してきた。
僕の欲しいものが、彼氏のプレゼントの参考になるとでも思ったのだろうか。
ひどく必

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僕は君になりたい。 〜番外編〜 「美咲のプレゼント」(後編・救世主)

僕は君になりたい。 〜番外編〜 「美咲のプレゼント」(後編・救世主)

電話に出たときは、元気はなかったが、まだ声が出せていた。

それなのに、その翌日から…声が出せなくなる心の病『失声症』になってしまったと、流伊のマネージャーをしている蝶貝誠さん(社長のご長男だという)から聞かされた。

あかりと綾香にも、私から伝えた。

「流伊くん…大丈夫かなぁ、声出せないなんて、かわいそう…」

「うん…今は、そっとしておいてあげたほうがいいんやろうか。ねえ、美咲ちゃん?」

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僕は君になりたい。 〜番外編〜 「美咲のプレゼント」 (前編・出会い)

僕は君になりたい。 〜番外編〜 「美咲のプレゼント」 (前編・出会い)

…もうすぐ、クリスマスだ。

ジングルベルが商店街のアーケード通りにBGMで鳴り響き出した12月。

私は、柄にもなく「プレゼント」を物色していた。

 *

「美咲ちゃん、知ってる? 本当の誕生日」

私は、四ノ宮美咲。
アイドルグループ『STAR☆CANDLE』の芸名『星名美咲』として活動している。
1番年長の16歳であった為、リーダーに抜擢された。

私といま会話しているのは、サブリーダーの

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僕は君になりたい。 第18話「ルイのうた ファンへ捧げるルイのうた」

僕は君になりたい。 第18話「ルイのうた ファンへ捧げるルイのうた」

#18

冬の匂いが濃くなった11月下旬。
夕方になり街灯に照らされたイチョウの葉が、光を放つように黄色くさざなみ立つのが窓越しに見える。風が強い。

僕は、母と共に社長室の窓から、それを眺めていた。

「私たちの認識の甘さで、流伊さんは勿論、ご家族にも大変な思いをさせてしまいました。申し訳ございません…」

社長は、そう言って頭を下げた。
だが、僕はべつに社長のせいだとは思っていなかった。母が

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僕は君になりたい。 第17話「ルイのうた 復活、愛をつぶやく僕」

僕は君になりたい。 第17話「ルイのうた 復活、愛をつぶやく僕」

#17

4回目のコールで、彼は出た。

ー流伊、か?

「そう、だ、よ…」

か細い声で僕は答えた。
「心配かけて、ごめんな」と言うつもりだったのに、ちゃんと声にする自信の無さから、すぐ言えず…

ー大丈夫、か?

また、彼に心配の言葉をかけさせてしまった。

「ああ…」

自分が不甲斐ない。

ー何があったのか、後で聞いてもいいか?

「…あ、うん。い、言える、範囲…でなら」

わずかな沈黙

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僕は君になりたい。 第16話「ルイのうた 満月の光を浴びる僕」

僕は君になりたい。 第16話「ルイのうた 満月の光を浴びる僕」

#16

玄関に立ちすくんだ僕を見つけた母は、何も言わずに僕を抱きしめた。
瞬きをすると、涙の粒が弾けてまつ毛を濡らし、視界を歪めた。
まだ出勤前の父もやって来て、玄関にうずくまり、僕の靴を脱がし、母と一緒に家の中に僕を誘導した。
姉は既に大学の『早朝ゼミ』があると言って、早くに出ていていなかった。

2階にどうやって上がってきたのか、覚えていなかった。
やはり父が先導してくれたのだろうか。

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