ノクト

日記。

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夢の欠片

 夢を見てると、必要以上に感情を揺さぶられることがある。もう時が止まっている友人に出会えたりすると、別の選択肢や彼らの現在について想いを馳せて、心が沈んでいくことがあります。互いの人生が交わる瞬間は、あまりにも短い。インターネットに浸っていると感覚が麻痺してしまいますが、学生時代の友人ともなれば、これも必然なのですね。ただ、何もかも超越して再会できる点においては、夢の利点であるなと思ったりもします。  夢の中を彷徨っていると、思わぬ収穫を得ることもある。本当に偶然が重なって

    • 特別

       計画を立案するのは深夜であることが多いなと、ふと思いました。現実色の土に埋まった欲求を、夜のスコップで掘り出す。それは宝石のように煌めいて、休日を彩ってくれる。計画は突発的なことが殆どですが、いずれも心を弾ませてくれます。  さて。そんな訳で、今日はミニシアターへ行きました。目的地には自転車で向かったのですが、これが本当に良かった。快晴の下、空色を眺めながらペダルを漕ぐ。陽炎が立ち昇るアスファルトに、頬を撫でる冷たい風。寄り道をすれば、木漏れ日が微笑んでいて、見知らぬ神社

      • 記憶

         今日は公園でピクニックをしました。陽光が漏れる木陰の下、チキンやサンドイッチで彩られた弁当を囲む。新緑に満たされた空間は、何よりも穏やかで。この暖かい白光に、溶けてしまってもいいと思いました。余白に浸る時間って大事だ。  そうして、ネモフィラ畑や木造民家を散策しながら、精神を潤わせていく。中でも、老人の職人が語る、盆栽の解説が良かったです。『人間の顔みたいに、盆栽にも前後がある』とか『互いの主張を衝突させないよう、盆栽の間には小さな花を置く』とか『百年も経つと、縦に筋が入

        • 好転

           最近は、漠然とした鬱を抱える休日が多かったです。平日は寧ろ元気で、これは退勤後にアドレナリンが分泌されているのではないかと思ったりします。時間を捻出し、全能感に溺れながら作業をする。それも悪くはないのですが、休日に反動が来てしまうのは問題です。そこで、突発的に予定を立てました。  快晴の下、見知らぬ土地を散策する。少し寄り道をしながら、坂道を登っていきます。そうして辿り着いたのが、レトロ自販機の集合地です。砂利が舞う駐車場に、レトロな自販機が立ち並ぶ。昭和を彷彿とさせるフ

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        夢の欠片

          灰色

           本当は寝るべきなのですが、そろそろ海に戻りたくなってしまったので、こうして文章を綴っています。  ずっと抱えていた肩書きを外し、社会の欠片になる。学生時代の後悔は、正直ほぼ無いです。現実と創作に注力し、大切な記憶を築くことができた。人との別れに対しても、真摯に向き合いました。大切な言葉を贈り、沢山の言葉を貰った。幾つもの祝福が、桜色の光で未来を照らし、不安を振り払う。社会へ出る直前は、心が凪のようでした。入社式前日まで作品制作をしていたのも、とても良かったです。  そう

          放課後

           中学の同級生と会いました。成人式から、不定期に飯を食べる関係が続いていますが、かなり気に入っています。もう2年も経つようで、時の流れは本当に速いなと思うばかりです。  夕飯を終えると、大抵はコンビニへと向かいます。菓子やジュースを携えて、公園で駄弁るのです。ただ、今回は公園へ寄らず、歩いて帰ることになりました。夜は寒いですからね。  電車なら10分ほどの距離を、1時間以上掛けて歩いていく。夜に包まれた街道で、何も考えずに駄弁り、ゆっくりと家路を辿る。この放課後みたいな時

          好きなもの

           誰かと会う際には、美味しい店へ行くことが目的になっている。逆に言えば、食事以外のスケジュールが未定のまま、当日を迎えることが多いです。今日もそうでした。  午前中に食事が済み、半日ほどの時間が余りました。明確に行きたい場所が定まっている訳ではないので、感性に身を委ねて散策していく。最初は渋谷近辺を歩いていたのですが、少々相性が悪く、下北沢の方へと移動しました。情報過多な街は、どこか窮屈に思えたのかもしれませんね。  下北沢では、寄り道のような散歩ばかりをしていました。ス

          好きなもの

          海底

           藍月なくるさんの1st LIVE「クラリムステラ」へ行きました。深く、どこまでも深く海底へ沈み、神殿のような煌めきを眺める。全身で蒼を浴びる体験は、本当に良かったです。  感情が染み渡る歌声に、残響のようなステージライト。藍月なくるという概念が乗った波動を浴びながら、どこまでも海底に潜っていく。あの時間は、あの瞬間は、彼女だけの世界で全てが構成されていた。世界の終末と共に煌めく、鮮烈なバックライトが特に印象的でした。あの数秒で、どこまでも余韻に浸ることができた。  それ

          逃げ場所

           現実に押し潰され、緩やかに身体が沈んでいく。かつて安寧の場所であったインターネットですら、今は微弱な毒を浴びる場と化してしまい、逃げ場所として機能しなくなってしまった。この状態に陥ると、現実の音を全て遮断したくなってしまう。  いつか、文章を書き綴ることは救いだと語った。溢れ出る感情の負債を反芻させて、文字として排出する。文章を書くという行為が特別好きな訳ではないが、弱ったときに縋ってしまう存在が文章であるのも事実だ。最果てに眠る自己の本質は、淡い光が灯っているイメージが

          新春を巡る

           昨日は初詣に行きました。年明けから作業ばかりで、全然陽の光を浴びていませんでしたからね。少し遠くの神社まで行き、屋台が立ち並ぶ境内を練り歩く。数十は余裕である屋台の看板を眺めながら、新春の空気を堪能します。元々屋台目当てで訪れたのですが、ここまで多いと、何を食べるかでも迷ってきますね。食欲を掻き立てる匂いが空気に馴染んで、賑わいと共に気分を高揚させていく。そうして選んだのは、生姜焼きのタレを和えた鳥皮焼き。少し道から逸れて、お焚き上げを眺めながら食べていきます。マヨネーズで

          新春を巡る

          ずっと遠くへ

           数年ぶりに本を読みました。ここ数年は手軽な娯楽に慣れてしまい、腰を据えて本を読むことから遠ざかっていたので、本当に良かったです。返却日という〆切に追われるのも、偶には悪くありませんね。  本というのは遅効性の劇薬のようなもので、文章に浸る時間が長くなるにつれ、ずっと遠くの現実へと旅立つことができる。読み始めは周囲の雑音も認識でき、余計な思考が入り混じった中、本を読んでいるという状態を自覚できる。ただ、その感覚は徐々に薄れ、やがて意識は文章と同化し、境界線が曖昧になって幻想

          ずっと遠くへ

          死を意識した日

           久々に幼馴染から連絡が来た。気になって確認すると、それは訃報だった。思い出すのに数秒掛かったが、確か小学校の同級生だった。 「事故で亡くなった」  たった一行なのに、その言葉は酷く重かった。幼馴染の方は最近まで交流があったようで、そんな状態にも関わらず、訃報を伝えてくれた幼馴染に、何と言葉を掛けたらいいか分からなかった。しばらく考えてから、幼馴染を慮るような文面で返した。  亡くなった友人は、小学校で交流が止まっている。だから、当時の記憶を思い出すことはできても、そこ

          死を意識した日

          救いと祈り

           電車に揺られて、ただ小説のことばかりを考えていた。呆然と歩いてるときは、常に何かを考えていることが多い。水底へ潜っていくように、自己の深層を覗き、無為な思考を循環していく。  文章を書いてるときは、正直あまり楽しくない。勿論、キャラやストーリーについて考えてるときは楽しいが、それを文章に起こしてるときは大半が苦痛だ。  例えば、絵を描いてるときは楽しい時間が多い。可愛いキャラクターが生み出され、どんどん彩度が上がっていく瞬間は、快感物質が過剰分泌されて、全能感さえ抱く

          救いと祈り

          夜にジャズが溶けていく

           夕食後、どこか物足りなさを感じて菓子類を漁るときがある。今日もそんな日でした。塩味を求めて探索するも、本当に何もなかった。そのまま諦めてもよかったのですが、今日は偶々元気が残っていた。そうして、散歩がてら業務スーパーへと向かいました。  夜の業務スーパーでは、ジャズが流れている。昼間はポップな音楽が流れているので、何だか別の店へ来た気持ちになる。この何とも言えない非日常感が好きで、いつも足が弾んでしまいます。閑散とした店内を歩き、お菓子コーナーを眺める。目当ては、勿論じゃ

          夜にジャズが溶けていく

          どこまでも飛んでいく

           今日はずっと寝ていました。最近は作業ばかりしていたので、イベントが終わって気が抜けてしまったのかもしれない。1年ぶりに参加したコミティアは、本当に楽しかったです。リアルイベントでしか味わえない空気が、そこにはあった。同人誌は、気が遠くなるほどの時間と熱量がないと完成しない。それなのに、あれほどのサークルが参加してるのはとても嬉しい。それに、会場を散策すると、自分の「好き」を詰め込んだ本たちが見渡す限りにあり、さらには予想もつかない角度からアプローチしているサークルもあって、

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          郷愁と卒業

           久しぶりに日記を書きます。最近は、夏の暑さや原稿に追われていることを免罪符に、全然書いてませんでしたからね。  さて、今日は『響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』を観ました。何気ない会話から動作まで、あらゆる要素に学生の瑞々しさが感じられて、青春に消し飛ばされそうだった。中高生のとき、「なぜ高校生を題材にした作品が多いのだろう?」と疑問に思っていましたが、ようやく解を得た気がします。そりゃ、苦悩も喜びも、日常の会話まで何もかもが眩しい時期があれば、迷わず題材に

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