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海底

 藍月なくるさんの1st LIVE「クラリムステラ」へ行きました。深く、どこまでも深く海底へ沈み、神殿のような煌めきを眺める。全身で蒼を浴びる体験は、本当に良かったです。

 感情が染み渡る歌声に、残響のようなステージライト。藍月なくるという概念が乗った波動を浴びながら、どこまでも海底に潜っていく。あの時間は、あの瞬間は、彼女だけの世界で全てが構成されていた。世界の終末と共に煌めく、鮮烈なバックライトが特に印象的でした。あの数秒で、どこまでも余韻に浸ることができた。

 それに、演出も本当に良かったです。蒼に満ちた、深海に溶けていくようなステージから、突然の暗転。世界は薄桃色に包まれて、偶像のステージへと切り替わる。そこからFAKE IDOLが流れるのだから、興奮せずにはいられない。概念と質量を併せ持った、彼女の世界に没入させるライブでした。

 ライブ終盤。クラリムステラという造語が、ペンライトの星々を見て光になったのだと。これがクラリムステラなのだと彼女は語っていました。このとき、彼女に宿った感情が、声を通して染み渡っていくような気がしました。その言葉の節々から、誰よりも、何よりも、藍月なくるの世界を大切にしているのが分かりました。本当に良かった。
 
 今日の体験は、きっと海底に保存されます。蒼の記憶は、ずっと片隅で生きていく。藍月なくるの欠片は、きっと幾年も眠り続けるのだろうなと思います。

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