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新春を巡る

 昨日は初詣に行きました。年明けから作業ばかりで、全然陽の光を浴びていませんでしたからね。少し遠くの神社まで行き、屋台が立ち並ぶ境内を練り歩く。数十は余裕である屋台の看板を眺めながら、新春の空気を堪能します。元々屋台目当てで訪れたのですが、ここまで多いと、何を食べるかでも迷ってきますね。食欲を掻き立てる匂いが空気に馴染んで、賑わいと共に気分を高揚させていく。そうして選んだのは、生姜焼きのタレを和えた鳥皮焼き。少し道から逸れて、お焚き上げを眺めながら食べていきます。マヨネーズで彩られた鳥皮を、細切りのキャベツと一緒に頬張る。賑わいに少し酔いながら、旨味の快楽に浸っていきます。肩の力を抜くと、冬の空気が肌を撫で、炭火の匂いが漂ってくる。これ以上の贅沢は、中々ないでしょうね。

 さて、これだけ数が多いと、通常では出会わないような屋台もある。鮎の塩焼きや甘酒といった正月特有の屋台も珍しかったのですが、唐辛子とガラス細工くじの屋台が特に良かったです。市場で宣伝するように語る老人の、ひょうたんが大量に並んだ唐辛子の屋台。透き通った動物が飾られている、ガラス細工くじの屋台。ガラス細工の方は、その特異さから人が全然集まっていませんでした。折角なので引いてみると、小さな兎のガラス細工が当たりました。嬉しい。

 他にも、初代ポケモンの袋で販売していたベビーカステラや、マヨネーズかけ放題にバター付け放題といった独自要素で差別化を図っている店もあったのですが、これ以上は屋台に囚われてしまうので割愛。

 そうして参拝を済ませ、おみくじを巫女さんから受け取る。和と言う空間において、巫女さんの衣装は何よりも神聖に感じる。純白に朱が添えられ、静寂を彩っていくのですね。これも、和に惹かれる一因でもあるなと思います。

 かなり満足して神社から出ると、いつもの癖で小道へと足が進みました。感性に従って歩いていくと、塗装の剥げた鳥居に出会った。奥には小さな祠があって、その隣には錆び付いた看板と閉じたシャッターが佇んでいました。薄暗い空と混ざり合い、存在感のある静寂が漂う。寂れた雰囲気が本当に良くて、何度もシャッターを切りました。あの空気を写真に閉じ込めることはできませんでしたが、この光景と出会えたのは、紛れもなく奇跡だと思います。

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