見出し画像

好転

 最近は、漠然とした鬱を抱える休日が多かったです。平日は寧ろ元気で、これは退勤後にアドレナリンが分泌されているのではないかと思ったりします。時間を捻出し、全能感に溺れながら作業をする。それも悪くはないのですが、休日に反動が来てしまうのは問題です。そこで、突発的に予定を立てました。

 快晴の下、見知らぬ土地を散策する。少し寄り道をしながら、坂道を登っていきます。そうして辿り着いたのが、レトロ自販機の集合地です。砂利が舞う駐車場に、レトロな自販機が立ち並ぶ。昭和を彷彿とさせるフォントや色彩が、心を躍らせます。少し寂れた遊園地のような、そんな趣があった。どの機械を眺めても、遭遇するのは未知ばかり。母親に買い物を中断させ、デパートのゲームセンターを巡ったときのような、いつしか失われた輝きが、そこにはありました。

 ずっと遠い郷愁に浸りながら、購入するものを選ぶ。何でも買えるのは、大人の特権ですね。まず選んだのは、トーストの自販機。40秒ほど待つと、アルミに包まれた正方形が出てきました。しっかりと焼かれた、コンビーフサンドです。これが一番美味しかった。少し焦げた匂いを堪能しながら、塩味の効いたコンビーフサンドを食べる。パンの甘みも混ざって、とても美味しかったです。他にも、テリヤキバーガーや肉蕎麦も食べました。購入から食事まで、全ての工程が楽しすぎる。かなりの満足感に浸りながら、青空を眺めました。こんなに充実してていいのか。

 その後は、また散策をしました。桜で彩られた田舎道を抜けると、そこには花で満ちた公園があった。空色のネモフィラを見て、それからブランコに乗りました。知らない土地での散策は、自分だけの景色に浸れるので大好きです。

 こういった、雪が染み渡るような感情を、すぐ零れてしまう景色を、物語に落とし込みたいし、いつまでも大切にしていきたいなと思いました。今日は良い日だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?