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雑誌「1番近いイタリア」

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雑誌「1番近いイタリア」に関する記事。 マンマのイタリア家庭料理研究家Aoi Aurora、こと中小路葵が編集長を務める季刊誌です。 コンセプトは「日本の家庭で楽しむイタリア料…
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2024年1月の記事一覧

編集後記(「1番近いイタリア」Vol. 16 2024冬号)

編集後記(「1番近いイタリア」Vol. 16 2024冬号)

フェイスブックに「2年前の思い出」として、ボローニャに着いた日の写真が上がってきた。駅のホーム、赤い高速列車、食べたパニーニ。あれからちょうど2年。大学院を卒業して、ボローニャに残ることを決めて、ボローニャに家を買ったり、ボローニャ大学の博士課程に進学したり。広く17州の家庭を訪ねたり、深く農家料理を研究したり。失恋したり、新しい恋が愛に変わったり。自分にとっては激動の2年で、赤ちゃんが生きていく

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「1番近いイタリア2024冬号(Vol.16)」刊行!

「1番近いイタリア2024冬号(Vol.16)」刊行!

「1番近いイタリア」2024年冬号を刊行!

あっという間に第16号、4年目に突入しました。
温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2024年冬号巻頭エッセイは「カターニャの煙」、シチリア島かターニャでの短編です。

マンマのレシピ集、今号のテーマ食材は「海の魚

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カターニャの煙

カターニャの煙

目の前の通りに出た大きな炭火焼きコンロからもうもうと上がる煙に、まだ高い太陽からの光が乱反射する。煙の向こうには大きな体をした肉屋の店主が忙しそうに手を動かす姿が霞んで見える。通りに並べられたプラスチックのテーブルには高校生くらいの若者が輪になり、たっぷり肉が詰まった大きなパニーニを頬張る。煙の中をテーブルを縫うようにウェイターさんたちが足早に料理を運ぶ。私たちのテーブルの横をまた一人、お皿を抱え

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