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2023年10月の記事一覧
自選短歌「はないちもんめ」
みんな寝ている教室の窓辺から
見る夏雲とプールの匂い
ベランダに閉じ込められて笑ってる
十四の俺のあだ名〈スマイル〉
長過ぎた変声期まだ覚えてる
声にならない吾の悲鳴を
遊戯王カードだったら強いのに
俺のターンが来ないババ抜き
担任が仲良くしろと皆に言う
吾だけいないホームルームで
軟骨のピアスもパーマ金髪も
中二の俺を守るシールド
夏休み明けに刈られて丸坊主
ピアスの痕がやけにまぶし
自選短歌・其の三 「黄昏をとめたい」
月曜の朝からぜんぶやめちまえ
それができたら誰も死なない
朝晩と中島みゆきで励まされ
ユーミン聴いて泣いてる馬鹿だ
「難しい問題ですね」そうですね
予定調和が居心地いいね
チラシだけやたら過剰な映画見て
B級の意味噛み締めている
「ショーシャンクの空に」を見てから思うこと
ビールの美味さはロケーションだと
西洋人のフリした東洋人たちが
大口開けてチップをねだる
「正解」があちらこちらに
自選短歌「アイラブユーを」
東京は雨雲かかる中秋の月を濁して夜は深まる
ホッピーとハッピーが似てると笑う
君と飲んでる吾はハッピー
君のこと知ってるようで知らなくて
泣いてる君には月見だいふく
お互いの名前を足してキープした
ボトルのようにすぐにからっぽ
直感が冴える悲しみ夜の淵
届け届くな我がテレパシー
明日には変われるような気がしても
眠ずに迎えた同じような朝
似合うよと貴方が褒めたイヤリング
枕の下にひとつ
自選短歌「あまりにも夏」
空の青 海の蒼さに南風(ぱいかじ)は
僕の青さを撫でて吹きゆく
プリズムに抱かれて散る夏の午後
クリームソーダの泡(あぶく)のように
二人して飲んだオリオンビールから
君に見せたいブルーが香る
指笛に呼ばれるように手をかざし
潮風(うすかじ)撫でるエイサーの夜
中華街、キンパイビールに歓喜した
恋は夏色まるで台湾
出会う前からの約束
ジャームッシュ映画で恋の付箋回収
煙に巻く 浮気心