自選短歌「アイラブユーを」
東京は雨雲かかる中秋の月を濁して夜は深まる
ホッピーとハッピーが似てると笑う
君と飲んでる吾はハッピー
君のこと知ってるようで知らなくて
泣いてる君には月見だいふく
お互いの名前を足してキープした
ボトルのようにすぐにからっぽ
直感が冴える悲しみ夜の淵
届け届くな我がテレパシー
明日には変われるような気がしても
眠ずに迎えた同じような朝
似合うよと貴方が褒めたイヤリング
枕の下にひとつ隠して
君の書く言葉が好きでいつの日か
君が紡いだ詩(うた)を読みたい
タップひとつクリックひとつで
見えてくる世界でなにを見るというのか
車窓には涙を流す奴もいて
人生とやら運ぶ山手(やまのて)
大切なヒトモノコトを大切と
知らざる馬鹿になりけり我は
吾もまた代替可能な「役割」を
担い担われ生きながらえる
汗ばんだグラスに氷がこだまする
溶かしてほしいこの沈黙も
水滴に君のようなもの映り
やがて流れて消えてなくなる
哀しみも知らぬ男の分際で
アイラブユーを詠んでくれるな
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?