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#148【ニュースから】Mrs. GREEN APPLE『コロンブス』MV公開中止

今日もお読みくださってありがとうございます!

今日は、これまでに2回だけやったことのある、「ニュースから」にします。ライフハックまだあと2回分くらい書きたいのですが、これは時事性が大事だと思ったので。

なお過去の「ニュースから」はこちら(今回の事案とは全く無関係)↓↓

#7【ニュースから】耳の異変は即受診を!|中途半端高IQくらたの休職日記 (note.com)

#8【ニュースから】 京アニ放火事件から社会が考えるべきこと|中途半端高IQくらたの休職日記 (note.com)


序論

前提1 事案概要

ことの次第は下記リンクの通り。

くらたはMVが公開停止になってからX(旧Twitter)で知ったので、MVを動画としては見ていませんが問題を指摘されているいくつかのシーンの画像は見ました。

前提2 くらたとMrs. GREEN APPLE

前提として、くらたは、「Mrs. GREEN APPLEの楽曲の中で好きなものがある(僕のこと、私は最強)」「大森元基さんは歌モンスターだよね」という感じでミセスのファンというわけではないが好意的に見ている、という位置関係です。

だってさー「僕のこと」ってすごくない?
くらたは毎年受験シーズンのカロリーメイトのCMって好きなんです。
若い人が頑張っているところ見るのって好きだし、自分の受験期思い出して、がんばろ、と思える。
(もちろん、SNSでは嫌いという意見も読んだことがあります。その気持ちもわからなくはない)

僕らは知っている 奇跡は死んでいる
努力も孤独も 報われないことがある

Mrs. GREEN APPLE『僕のこと』から引用

ほんとそれな!努力は必ず報われるなんて嘘。
わたし自身も、周囲の友人を見ても、ほんとそれ。
でもさー、その立脚点に立った状態から、「それでもこの世は生きるに値する」とあの圧倒的歌唱力で歌い上げているわけじゃないですか。
なんという人間賛歌。
最近、人文学の意味というかめざすものって究極そこにある気がしているので、ああまいったなあ、かなわないなあ、と思わされるのです。
なんかこれ、たぶん前にも書きましたね。重複すみません。

前提3 くらたの世界史習得度

くらたは、某公立大学人文学部国文学専攻のくせに、大学受験は世界史選択でした。国文学専攻の人で世界史選択者なんてわたししかいなかったです。ふつうは国文学や国語が好きだったら日本史も好きで、日本史を選択して受験するものらしいです。

もともと中学から日本史より世界史のほうが好きだったことと、高校日本史で鎌倉時代の北条家が覚えられなくて、世界史選択に決めました。あのひとたちただでさえ苗字同じなのに「〇時」とか「泰〇」とか多すぎませんか?

でも、結果的には世界史選択で国文学科でもそんなに困らなかったです。
文学を学ぶ上で必要なことは、都度調べればよかったので。

閑話休題。
世界の先住民族の歴史と言うことで言えば、くらたは先住民族のくらしや文化に興味を持つ人間であります。理由は……わかりません。ただ好き。
くらたは、ピーターパンではタイガーリリーが好きだったし、ディズニープリンセスの中でも『ポカホンタス』はかなり上位で好きです(今では、史実と異なる・ネイティブアメリカンが支持していないなどのことは知っています)。
また、小学生のころからアイヌ文化に興味があって、本多勝一『アイヌ民族』とその漫画版・石坂啓『ハルコロ』を愛読して育ちました(『ゴールデンカムイ』は未読です、ファンの方すみません)。
大人になってフラを10年以上習い、『モアナ』も大好きです。

こういう先住民族を好きで歴史を追っていくと、どうしても異民族から受けた侵略の話を避けて通ることはできません。
『ポカホンタス』、ピーターパンのタイガーリリーはまさに今回話題となったネイティブアメリカンでコロンブスらによって侵略されました。
アイヌは和人に侵略されました。
ハワイ王朝はアメリカによって支配を受け、ハワイ語もフラも禁じられた歴史があります。現在では、リリウオカラニ女王が幽閉されたことを歌った歌や踊りもあります。

本論

くらたの私見

今回くらたは、『コロンブス』と聞いて直ちにきな臭さを感じることはできませんでした。タイガーリリーとポカホンタスが好きなのに、コロンブスに対して解像度低かったのは反省です。
どちらかというとナポレオンのほうにあまりいいイメージがなかったです。なんか、そんな無邪気に戯画化していい人物じゃなくね?って感じたし、偉人とも思っていなかった。
なおベートーヴェンに悪いイメージはありませんでした(合唱部なので、ベートーヴェンの曲ってなんか難しかったな、くらいの印象)。

でも、コロンブスとナポレオンとベートーヴェンがそろって冒険をする、というストーリーって「???」という感じで、その取り合わせに必然性というか、うまさというか、面白みというかはまったく感じませんでした。
今でも思っています。
なんでコロンブスとナポレオンとベートーヴェンだったの??

先住民族「教化」の歴史について語る しらスタのおしらさま

ぜったいに出るとは思って待ち構えていたが、やっぱりしらスタのおしらさんが動画を出してくれました。
Mrs. GREEN APPLEのファンであり、大森さんとの対談動画も出されている中でのこの発言。おしらさんだって大好きなミセスに関してこんな動画撮りたくなかったろうに……出してくれて感謝!
『コロンブス』というタイトルですでに不穏な気配を感じていたその感覚がさすがだし、Mrs. GREEN APPLEへの愛ゆえの葛藤に知性と誠実さと愛を感じました。

この動画の内容、もうほとんど同意しかない。
このひとは物事を見る解像度の高さと、地と図の地の取り方の広さ(視野の広さと言ってもいい)と、それらをきちんと言語で語る知性がほんとうにすごい。
ファンだけにかなりミセスに同情的な論調にはなっているものの(ミセスじゃなかったらその差別性についてもっと切れ味鋭く論説していると思う)、コロンブスの侵略性だけでなく、ホモサピエンスからアジアにおける近代日本の侵略の歴史にまで触れていて、世界における日本、世界におけるMrs. GREEN APPLEという視点から、この話題についてほとんどのことを語ったのではないか。

ただ、日本人が黄色人種として差別される(Yellow Monkeyとして猿に例えられる)ことには触れていたけれど、人種差別の話題の際に「日本人は黄色人種で被差別側なのになぜか白人側に自己同一視しがち」という点には触れていなかったです。
やっぱりミセスの三人が「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」に扮して、類人猿は別の存在、しかも類人猿を教化する、という役割分担がものっそいよくない気がする……。

そもそも、日本人が日本語の歌で「コロンブス」と題して、コロンブス(15世紀イタリア)とナポレオン(18-19世紀フランス)とベートーヴェン(18-19世紀ドイツ)を出すって、よく考えたら不自然じゃないですか?
おしらさんは動画で「夏目漱石とか出せばよかった」と言っていますが、そのあたりのことを言ってるのかなー?
もちろん日本人が日本語で歌う歌なので夏目漱石(19-20世紀日本)でもいいけど、「年代別の歴史上の人物」(後述)という話なら、始皇帝(紀元前3世紀中国)とかチンギスハン(12世紀モンゴル)とか出してもよかったよね。アジアの中の日本なんだし。

大森さんのコメント

Mrs. GREEN APPLEの公式サイトでは、大森さんの名前で、「Mrs. GREEN APPLE 「コロンブス」ミュージックビデオについて」という長文が掲載されています。

これまでの作品で表現されてきたことを踏まえれば、大森さんの記名文書として真摯に考えを表明する姿勢はとても好ましいと感じました。

……が。

ふむー。

よくよく読んでいくと……

ふむう……。

・年代別の歴史上の人物
・類人猿
・ホームパーティー
・楽しげなMV

年代別の歴史上の人物かあ……。

そのキーワードで、なんで「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」+「類人猿」の取り合わせにしたのかが謎~~。

類人猿だけが時間的に遠すぎるし、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」が時間的にも地理的にも近すぎる。
なんで15~18世紀という400年間の、ヨーロッパに限定したんだろう?

日本は東アジアの島国だぜ。

そしてホームパーティとは。
ピアノや騎馬を教える描写を入れておいて、ホムパとは……?
「ものを教える」側に自分たちを配する発想自体にグロテスクさもちょっとあるように感じてしまいます。

ええ~。
なんか読めば読むほど、すんごい狙って、わざと、差別的な内容にしたとさえ思えるような内容。
ほんとに「たまたま・意図せず・こういう内容に」なる~??

でも、大森さんのこれまでの作品を見るにつけ、わざわざ狙って差別的な内容にするとも思えない。

だとすれば、ほんとうに「不勉強で歴史の知識がない」ということから、ここまでのことになっちゃうものなのかな~??

「教化」のグロテスクさ

「ものを教える」側に自分たちを配する発想のグロテスクさについては、ドラえもんに似た話があったのを思い出しました。

のび太が、「現代の道具をもって未開の時代に行けば自分は王様になれる」とかなんとか言ってタイムマシンで大昔に行き、結果痛い目を見る話。
調べたところ、『石器時代の王さまに』(7巻:初出1971年)ですね。

ドラえもんで思い出したけど、『ぼくよりダメなやつがきた』(23巻)でも、のび太が自分よりもできのわるい多目くんに対して、勉強を教えてマウントを取る場面があります。

ドラえもんでは、「乗り越えられるべきのび太の悪いところ」として描かれる構図であったと言えそうです。

もっと直接的に、先住民を「教化」することの問題は、『ポカホンタス』で1994年に歌になっています。
ポカホンタスが、イギリス人入植者ジョン・スミスに問いかける歌です。

なんにも知らないっていうけど
なんにも見たことないっていうけれど
なにもかもが分かるというの
知らないことばかりよ そうでしょう

(中略)

ああ あの木の高さ もし切ればわからない
月としゃべる狼の声 あなたには聞こえない
山の声と歌を歌って 風の絵の具で絵を描く
そして初めて答えがわかる 風の色は何色か

『カラー・オブ・ザ・ウィンド』(ディズニー映画『ポカホンタス』より)

この歌大好きなんですけど、身の回りのディズニーファンでも知っている人があまりいなくて、しょぼん……。今はディズニーランドのパレード「ハピネス・イン・カラー」でポカホンタスの山車…じゃなかったフロートがあるので以前よりは浸透しているかな。

閑話休題。
先住民には先住民の生活や文化があり、一方がなにかを「教える」という立場に立つこと自体が傲慢なことなのです。

まとめ

ぜんぜんまとまらないけどまとめ

ネットで読んだ情報ですが(一次情報当たれよ)、今日のMステで大森さんが「歌えることに感謝」というようなことを言っていたとか。

ここまでの情報からこの件に関するくらたの感想は(ほんとに感想レベル……すみません)

今回の動画の内容は、現代に生きる世界的アーティストが世界に向けて発信するのにふさわしい内容ではなかった、意図して作ったのかと思われるほど差別的な内容だったとさえ思います。
それは制作時意図していなかったからといって、許されるものではなく、MV非公開はやむを得ない措置だったと思います。

ただ、大森さんがこれまでの作品で表現してきたことや、記名の文章から、制作時に差別を意図して作ったものではない、という言説には一定の信憑性があるとわたしは感じました。
(だとしたら不勉強甚だしいが)

これをきっかけとして今後どう振る舞っていくか、どのような作品を作っていくか、とにかく今後次第、という感じでしょうか。

また、「コロンブス」という曲名の時点でおしらさんのようにきな臭いと感じることができなかったくらたにとっても、不勉強を突き付けられ、改めて勉強しなおすきっかけとなる出来事でありました。

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